車での病院の送り迎えが、必要になった実母のために、私の運転時間は、異常に長くなってきた。
しかたないけど、疲れる。
私の家から、実家まで1時間くらい、
そこから病院まで、さらに、少しある。
週2回、運転にもあきる。
しかし、慣れすぎた私の運転が、事件を起こすのです。
火曜日のお昼ごろ白金あたりを走っている時、
斜線変更をしようとしたターコイズブルーの私の国産車に、
後ろからスピードをだしてきた、グレーの高級外車が、
「ブブーブブー」と、恐ろしいほどのクラクションならし、
威圧してきたのです。
しかたなく、ベンツの後ろで車線変更をし、
あんなクラクションの鳴らし方をする人は
どんなヤツがなんだろうと、興味がわき、ついていってみた。
とにかく、加速がいいのか運転が乱暴なのか、ベンツは速い。
けど、負けない私が運転するノート。
軽いカーチェイスは、危ないけど、
なぜか、めちゃめちゃ頭に血がのぼり、
こうなったらどうしても、顔を見たくなった。
東京タワーの近くで、信号が赤になり、
止まったベンツの真横に、そっと、ノートをとめてみた。
そして、恐る、恐る、ベンツの運転席を見るため、顔を右に向けると、
なんと、左ハンドルだった外車の運転席は、予想以上に近く、
はっきり、運転手の顔が見えてしまった。
キチンとスーツを着た若い男の人だった。
しかも、優しそうなイケメン君ではありませんか。
若くして成功した青年実業家って感じ。
お顔を見た瞬間、頭にのぼっていた血が、急に下がりはじめ、
あまりに無謀な自分の行動に怖くなってきた。
気をつけよう、運転中は冷静に、
そして、謙虚な気持ちを忘れずに・・・
