英語・ダイエット・その他徒然なるままに

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この'that'は何?(2)

2019年12月14日 21時32分14秒 | 英語
前回の続きです。

なんだか変テコなthatがあるけどこれは何?ということでしたが、正解からいうとこれは

先行詞明示のthat

と呼ばれるもの”の仲間”です。

先行詞明示のthatというのは、that以下の名詞を説明する関係詞節が後ろにあるよ、ということを予告するthat、です。ただし、”明示”とは言っていますが、別に先行詞がわかりにくい場合に限らず、先行詞が簡単に判別できるような場合にも使われることがあるようです。おそらく、「例の、あの、」というようなニュアンスを醸し出したい時に使われるのでしょう。そういう意味、つまり、詳細の説明が後ろに来るという意味で、”後方参照”とも呼ばれます。

はい、この程度のことはご存知の方も多いと思います。そうです、こんな話はまあ誰でも知っているといえば知っている(知らない人は勉強不足!)。実は、今回私が話題にしたかったのはこういう事ではありません。

ここでもう一度、前回の例文を良く見て下さい。あの例文には関係詞など含まれていませんよね。だったらどうして「先行詞明示のthat」なんて話を持ち出したんだ?そう疑問に思われると思います。

実は、私が最初にこの例文を見たとき、このthatを文法的に説明することができなくて困ってしまったのです。しかし、説明はできないと言っても上に述べた”先行詞明示のthat"は知っているので、多分これとほぼ同じ用法のthatなんだろうな、と想像することはできました。なぜかって?それは、このthatが”後方参照”をしていることは意味的にほぼ明らかで間違いなさそうだからです。

でも、それ以上の確信を持った説明はできませんでした。はい、このthatが指している'employee'という単語は関係詞の先行詞にはなっておらず、with以下の句によって説明されているだけです。このように、後々関係詞節によって説明される名詞だけでなく、それ以外の修飾要素によって説明される名詞を後方参照するようなthatの用法もあるのか?ないのか?そこがはっきりとしませんでした。参考書や辞書に当たっても、そこまで書いてくれているものはありません。

しかし、ついに、以下のような説明をしているサイトを発見して、なるほど!と納得できた次第なのです。

「先行詞をはっきりさせるため、先行詞の前に that / those を付けることができます。なおこの that / those は関係節以外の修飾語句の修飾先を明示するのにも使われます。」
(「翻訳の泉」翻訳教室 第7回 関係構文の話、より抜粋)

赤字の部分です。つまり、このような用法のthat(やthose)は、後ろで関係詞によって説明されている名詞だけでなく、それ以外の修飾語句によって説明されている名詞を後方参照する場合もあるのです。

このことを明記している説明は私は初めて見ましたし、今のところ上記以外の箇所でこのことを説明している媒体も見つけられていません。

最後に。今回のケースは実例に遭遇したのが先で、その後で根拠となる文法説明を探り当てたわけですが、結局言いたいことは、ある程度の文法知識と経験があればこのような見たことない構造の英文が何者なのかを推測する(そして自分の中で確信を持って咀嚼/消化する)ことがある程度可能になる、ということです。実際に私の類推は当たっていたわけですから。

正直、力がある人間はこのような能力を持っているので、見たことがないような例文、ちょっと探してもなかなか解説が見つからないような一風変わった例文に対しても自分なりの解釈を与えることができ、その結果、消化不良にならずに自分なりの”文法体系”の中で上手く処理してしまえるのです。逆に力が無い人は説明を聞いたことがない例を自分なりに咀嚼することができないので、即消化不良になってしまうのです。

ドンピシャの説明・解説を聞いたことがなくても頭を使って類推しろってことです。この姿勢がないと、人から教わったことがない事はいつまで経っても身につけられないまま、ということになってしまいます。

P.S.
音読やコミュニケーションもいいけど、あなたはここまで英文の隅々に気を配って、妥協せずに処理しきる勉強をしてますか?