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温泉旅がメインの生活。酒とグルメとミステリ小説、ごくたまに失恋の話。

関西風の出汁文化が素晴らしい

2016-10-28 16:18:32 | グルメ


食べ物の嗜好は、その地方の食文化に影響されることが多い。たとえば、うどん
の出汁にしても関東と関西、もっと大きく分ければ、東日本と西日本、ずいぶん
と好みが違う。

仕事の関係で、茨城県竜ヶ崎市の男と知り合いになった。その男が初めて関西に来
て、昼ご飯にうどんを食べた。「なんだこれ。出汁が薄そうじゃないか。大阪の人
って、出汁もケチってるの?」と、冗談ぽく言ったので、「ちがう、ちがう。関東
のように醤油で真っ黒じゃなくて、上等な昆布で出汁を取っているからこの色にな
るんだ」。

「昔から関西は日本海を巡る北前船で北海道から昆布を買い付け、京都、大阪とこ
の味が定着しているんだよ」と言うと、「へ~」と言って出汁をすすった。しかし、
今までの味覚が舌の上に何層もコーティングされており、すぐには昆布出汁の旨さ
が分からない。「でも、やっぱり薄いよな」と言って、彼は物足りなさを訴えていた。
これは20年前ぐらいの話である。

しかし、今は関西風のうどんしか食べないと彼は言う。いったんこの味に慣れると、
醤油うどんは塩辛さばかりが舌に残ってしまい、高血圧の心配をしてしまうらしい。
本当は、どちらも同じくらいの塩分なんだが…。

浜松から40半ばの女性が大阪に出張で来た。その女性がこの出汁の旨みにハマってしま
った。ごく普通の定食屋さんで、おでんを食べたらしいのだが、おでんの具よりも出汁の
まろやかさ、繊細さにびっくりしたと言う。大阪には5日間いたのだが、食事はうどん、
おでん、そしてお好み焼き、串カツと、大阪定番のB級グルメばかり食べたらしい。
そして食の観念、舌の観念ががらりと変わったと言うのだ。

「でも、静岡にも有名な静岡おでんがあるじゃないか」と言うと、「いや、あちらは真っ
黒の出汁の中に浸かっていて、そんなに味がしないので、鰹節なんかを掛けて食べるんで
すよ。関西風とは全然違います」と説明してくれたが、よく分からなかった。そのあと、
偶然にも伊豆旅行があり、温泉ホテルの屋台で静岡おでんを売っていて、夜食で同行者と
食べてみた。

大皿に山盛りに盛ったおでん(すべて串刺し)を前にビールで乾杯。さっそく6名でおでんを
小皿に取り、口に入れたが皆の表情が堅い(笑)、おでんそのものも硬めだったが、関西人に
はまったく合わない味だった。ひとり3本で18本おでんを盛っていたのだが、12本+食べ残
しがずっとそのまま残ってしまった。「お姉さん、ごめんな。皆さん、夕食を食べすぎて腹
が一杯らしい」と、従業員にホロウを入れたが、その女性は首を傾げて笑っていた。

別に静岡おでんのまずさをやり玉に挙げているのではない。日本は多彩な食文化があり、
その土地、その土地で味付け、好みは変わる。だから、幼少時からこのおでんを食べてい
る方々は文句なしの味なんだろうと思う。でも、一応、日本全国を旅した俺から見て、や
っぱり味付けの旨さは関西かなあ?


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