これ!どう思います?

マスコミがあまり報道しない様な問題を、私なりに考えてみます。

中小企業で必要な人材の育成 (2)

2023-08-21 07:44:35 | 会社の活性化
【はじめに】
 『習うより慣れよ』と言う”ことわざ”が有ります。難しい仕事でも、若い時から日常的に取り組むので有れば、普通の人間でも出来る様になります。 逆に、優秀な人間でも、学校を卒業して10年とか、20年後に難しい仕事に取り組むのは苦痛になります。 私は70歳を過ぎて、「それが、人間の本質だ!」と思うようになりました。

 大企業では、めったに必要にならない仕事を担当する専門の社員を雇う余裕が有ります。 然し、中小企業には余裕が有りません。

 日本には沢山中小企業が有り、日本の産業を支えています。 中小企業で時々必要になる仕事を手伝う機構を国が設けるべきだと考えています。

『シルバー人材センター』は、庭の草引き、買い物や賄い等の分野で活躍する様になています。 『ダイヤモンド人材センター』と言う機構を作って、貴重な人材にリタイヤ後にも活躍してもらうと、中小企業が活性化出来ると思います。

★★★ 中小企業と数学 ★★★
【中小企業で数学が必要になって来た背景】
 需要が少ない分野(ニッチ市場)でも、昔は大手企業が何とか(細々と)頑張っていましたが→→ドンドン撤退して→→現在は中小企業だけが残っています。 製造ラインに必要不可欠な機械/装置でも、数年に一回しか注文が無い装置では、中小企業さえも撤退してしまったケースも有ります。

 ニッチ市場では、技術的に難しいと思われる機械/装置は、多少高くても大企業に発注していましたが、今では中小企業で作って貰わざるを得なくなっています。→→その為に、時々ですが中小企業で工学計算(強度計算など)やシミュレーションプログラムが必要になって来ているのです。

【鉄は熱いうちに打て】
 私の経験では、東大や京大の工学部卒の社員でも、入社後数年間、数学やプログラム作成が必要で無い部署に配属されていると、プログラム作成は”言わずもがな”で、計算でも少し難しいと四苦八苦していました。

 大抵の大手企業には『研究所』が有るので、大学を出て直ぐに計算やプログラム作成が不可欠な仕事に付く事が出来ます。 私の様に特別優秀で無い人間でも、最初から研究所に配属されると計算やプログラム作成が好きになります。

 技術志向の中小企業でも、工学計算が必要になるのは年に何回しか有りません。 従って、数学が得意な大卒を雇っても、難しい計算が出来る様に育てるのが難しいのです。

【某社の対策】
 社員百数十名の精密加工企業(M社)では、年に数回、幾何学を用いた計算が必要でした。M社は、高校で幾何学を教えていた先生を定年退職後に顧問になって貰っていました。先生が年老いると→→定年間近(まぢか)の先生を紹介して貰っていました。

余談) M社はヨーロッパ製の高価な工作機械を結構沢山所有していました。工作機械の輸入商社のOBを顧問に雇って、日本で開催される工作機械の展示会に持ち込んだヨーロッパ製の工作機械を格安で入手していました。 工作機械メーカとしては、展示品をヨーロッパに持ち帰る費用を考えると、安い値段で売った方が得なのです。


★★ ダイヤモンド人材センター ★★★
 冒頭に『ダイヤモンド人材センター』の設立を提案しましたが、私が考えているセンターの役割を以下に書いておきます。

【ダイヤモンド人材センターの役割 ①】
 多分、大手企業で騒音と振動対策の仕事をされていた方だと思うのですが、定年後に高速フーリエ変換器(FFTアナライザー)等々の騒音/振動測定器を一式買い揃え→→ワゴン車を買って→→奥さんを助手にして→→遠方まで騒音と振動を測定に行く方がおられました。

 M重工の研究所が、騒音と振動を測定し、原因究明をする商売をしていました。日本で一番権威が有ると言われていました。顧客からM重工の報告書を見せて貰った事が有りますが、原因の特定は出来ていませんでした。

 原因を究明するには、問題になっている機械装置の特性を十二分に把握する必要が有るのです。単に測定するだけで無く、想像を逞しくして考察しながらデーターを採取しなければなりません。ある特定の運転条件の時だけ振動や騒音が大きくなるケースが多々有ります。運転条件によって、ドンナ違った事が起こるのか?

 高熱が出ても風邪とは限りません。医者は問診、尿検査、血液検査等々して、場合によっては大きな病院でX線CT検査やMIR検査を受ける様にアドバイスします。

 私は昔、大きな振動を発生している製紙ラインの診断を依頼された事が有ります。(私の前に、M重工が振動を測定していましたが、原因究明は出来ていませんでした。) 何日も掛けて各部の振動を測定しました。私が出した結論は「建物の強度不足」でした。一級建築士を呼んでもらって、建物の補強について検討しました。1億円を優に超える工事が必要と言う結論になりました。工事完了後に運転を再開した時、振動が大幅に低下していたので胸をなで下ろしました。

 ダイヤモンド人材センターが、騒音/振動測定者に当該の機械に詳しい人を紹介して、コンビで仕事をして貰ったら、原因を究明出来るケースが増えると思います。

(余談) 私は若い頃から、騒音と振動が問題になる何種類もの機械の仕事をして来たので、高速フーリエ変換器の扱いには慣れていました。最初に出向した会社で、高速フーリエ変換器を買って貰って、製紙工場で騒音/振動対策をアドバイスする仕事もやりました。

【ダイヤモンド人材センターの役割 ②】
 直線状の鉄や木材を組み合わせた構造物が有ります。 これを『骨組構造(トラス構造/ラーメン構造)』と呼びます。

 三次元CADと、有限要素法と言う計算ソフトを使って骨組構造物の設計を請け負う個人設計事務所が有ります。 十数年前に設計事務所を立ち上げた時、「やって行けるのか?」と思いましたが、今でも頑張っています。 ダイヤモンド人材センターが、特殊な仕事が出来る会社を調査して→→インターネット上で紹介したら→→中小企業を活性化出来ると思います。

【ダイヤモンド人材センターの役割 ③】
 機械製造の中小企業に出入りしている設計事務所の社長が、工学計算が必要と思われるケースで、計算が出来る人を紹介する商売を始めようとしました。私も2回依頼された事が有ります。

 2回とも結構難しい計算が必要でした。 計算書を持参して、設計事務所の社長と顧客に説明に行ったのですが、2社とも計算内容が全く理解出来ませんでした。「こんな難しい計算が必要なら、開発は断念する」と言って、結局一銭も払って貰えませんでした→→商売にはならなかったのです。

 「難しい計算が必要になったら、ダイヤモンド人材センターに相談したら何時でも優秀な人を紹介して貰える」体制が整ったら、中小企業の社長さんは、難しい機械の開発に取り組む様になると思います。

【ダイヤモンド人材センターの役割 ④】
 金属が破断すると→→原因によって異なる模様が現れます。走査型電子顕微鏡と言う極めて高価な装置で写真を撮って原因を究明します。原因究明には知識と経験が必要です。

 機械の部品が破断するトラブルが発生すると→→人身事故が発生する恐れが有るので→→徹底的に原因を究明して→→対策を講じる必要が有ります。昔は、大手企業には破断面の模様に詳しい専門の社員が一人か二人いました。大企業でも破断トラブルは、年に2~3回起こるか?どうか?です。専門社員を置く余裕が無くなった会社も出て来ているので、非破壊検査を行う会社が、「破断原因の究明」を行う様になっています。

 ダイヤモンド人材センターが、定年退職した金属の破断に詳しい人に、キーエンスの電子顕微鏡などのコンパクトな機器を貸し出して、自宅で仕事を続けて貰う様にすべきだと思います。 頭さえしっかりしていたら、体力が低下しても、この仕事は続けられます。

(余談) 2010年頃に連結社員が5,000人以上いる東証一部上場の企業(T社)が製造した機械が破断し→→重さが50kgほど有る部品が、作業員の直ぐ近くに落下した様です。T社には破断面模様の専門社員がいなかったので、別の会社に原因究明が依頼されました。 私は、破断面の写真を見せて貰ったのですが、疲労破壊した時に現れる典型的な模様(ビーチマーク)でした。 乗用車や食品で不具合が発生すると、『リコール』が行われますが、この時、T社は内密に処理して、リコールはやりませんでした! ”くわばらくわばら”

(余談 :キーエンスの電子顕微鏡) 1995年頃、キーエンスの営業マンが、「電子顕微鏡を使って見て、感想を聞かせて欲しい」と言って来ました。当時、私は『紙』に関連した研究開発をしていたので、種々の紙の表面を観察して見ました。 光学顕微鏡では見えない、繊維の絡まり方が、紙の種類で違う事が分かりました。

 「種々の分野の研究で使用出来る」と思い、是非とも購入したかったのですが、非常に高価(700万円ほど?)だったので、断念せざるを得ませんでした。

 キーエンスの電子顕微鏡は沢山売れている様で、現在は、中古品市場が出来ているので中古品を300万円以下で入手出来ます。破断面の観察/写真撮影にも利用されている様です。

【私の工学計算の経験】
 私は大企業に就職したので、専門書を沢山所蔵した図書館が有り、研究所に支援を依頼する事が出来、国立の研究所や大学の支援も得る事が出来ました。 出向して中小企業で働く様になると、専門書が殆ど無く、JISハンドブックも有りませんでした。 小遣いで専門書を買い揃えました。欲しい本は大抵絶版になっていたので、日本で唯一残っている自然科学系古書専門店『明倫館書店』に探求書として依頼して入手しました。10年間ほどで、100万円以上使いました。

 JISなどの規格は、国はインターネット上に公開して無償で読める様にすべきだと思います。印刷する前にデジタル化されますから、手間と金はそんなに掛からないと思われます。 (日本規格協会は猛反対すると予想します。)

 中小企業で仕事をする様になって、一番困ったのは❶材料の機械的性質、❷物性値等のデータを集める事でした。通商産業省に外郭団体を作って、工学計算に必要なデーターを収集/整理して、インターネット上に公開して欲しいです!

★ JIS(日本産業規格)等の規格を、インターネットで無料で読める様にする。
★ 材料の機械的性質や物性値等のデータを整理して→→インターネット上に公開する。

(余談 :関西国立国会図書館) 国会議事堂の近くに国立国会図書館が有ります。 2002年に『関西国立国会図書館』が出来ましたが、トンデモナク交通が不便な所に有ります。友人が所有する一戸建ての草引きに行った時、近所を探索しようと歩いていたら、関西国立国会図書館を見付けました。一番近い駅は、近鉄の木津川台駅だと思いますが、駅の近くには一軒も店が無く、タクシー乗り場も有りません。駅からだと、1.5kmほど有ります。

 法律で、日本で出版される図書は全て国会図書館に納入しなければなりません→→納入されると→→蔵書印と(年月日の入った)受入登録印が押されます。 特許が出願されたとします。その発明が、出願年月日前に出版された図書に記載されていると、特許権を得る事が出来ません。 この時、図書に記載された『発行年月日』では無く、国会図書館の受入登録印の年月日が判断基準になります。


★★★ 余談 :中小企業診断士は活躍出来るか? ★★★
 1982年頃、私は東京勤務でした。事務所から数百メートルほどのビルに、中小企業診断士の教室が有りました。ポケットマネーを出して、定時後に何か月か通いました。私は大学で機械工学を学んだので『財務/会計に関する知識』が乏しかったので、極めて多忙でしたが中小企業診断士の教室で勉強したのです。

 中小企業診断士は、個々の中小企業の問題点を抽出して、アドバイスするのが仕事です。

 私は、それまでに沢山中小企業と取引していて、昵懇(じっこん)になった社長も十人以上いました。私が付き合った全ての中小企業の財務状況は良好でしたが、「ここを改善したら、もっと良くなると思われる点」が多々有りました。

 問題が沢山有る会社の社長は、中小企業診断士は雇は無いと思います。 問題意識を持った社員が、実践して見せたら、彼のアイディアを採用するかも知れません。「勝手な事はするな!」と言う可能性の方が高いです。

 中小企業診断士の資格を持っていても、それで食べて行くのは難しいのが現状です。 大手企業に勤務している間に資格を取って、定年後に中小企業のコンサルタントをして小遣い稼ぎをしている方が多いい様です。 そんな人を含めても、資格を持っている方で、資格を活用しているのは30%以下と言われています。

(余談の余談 :一国一城の主) 私は、昔2年間ほど農業機械の開発をしました。その時、数県の(大規模な)専業農家を訪ねて意見を聞いて回った事が有りました。

 専業農家の主人と中小企業の社長には沢山共通点が有ります。その一つは、『一国一城の主(あるじ)』だと言う事です。

 仕事が好きで、日々工夫する農家の主人と会社の社長さん達と話す機会が有りました。 

❶ ハウス栽培農家 : 一町歩(≒10,000平方メートル≒3,000坪)の稲作農家の年収は100万円ほどですが、野菜農家の場合は400万円~500万円ほどです。 某JA(農業協同組合)で最も成功しているハウス栽培農家を紹介して貰いました。「僕は、今年高く売れそうな野菜を予想して、栽培面積を増減させているだけです」と言っていました。 彼のハウスの面積は一町歩以下でしたが、「毎年の売り上げは3,000万円以上有る」とJAの担当者は言っていました。

❷ 細穴加工業者 :2000年頃、私は長さが2m~4m、外径が200mm~400mm、肉厚が30mm~40mm程のパイプ状の鉄に、軸方向に20mm~30mmの穴を沢山開ける必要が有りました。10社程の工場を見学させて貰って、同じ図面と同じ素材で3社に試作を依頼しました。 一番納期が短くて、安かった会社(S社)の加工精度が最も高かったです。

 S社に定期的に依頼する様になりました。近くに出張した時は、S社を訪問して、社長(S氏)と雑談しました。S氏は頭を使うのが好きで、市販の加工機械を種々改良して、素材毎に送り速度を変える等の工夫をしていました。

 S氏と信用金庫の担当者が話している時に、何回か行った事が有ります。 当時、S社は、それぞれ200坪程の汚い工場・3か所で操業していました。信用金庫の担当者は、「貯金が十分有るから、1,000坪の敷地を買って、工場を集約した方が良い」と奨めていました。S氏は、「仕事が多過ぎて、新工場を考える余裕が無い」、「私に新工場を建設して欲しい」と言うのです。


★★★ 気が滅入ってしまいました! ★★★
 古い古い友人の誤解で絶交状態になってしまい、気が滅入ってしまいました! そんな分けで筆が進まず、一週間ブログを休んでしまいました!


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