【はじめに】
先週は核兵器の拡散状況について書きましたが、今回は核兵器保有国の開発の歴史/経緯について書きます。
核保有国の間で現在も紛争しているのは、『中国vsインド』、『インドvsパキスタン』です。イランとイスラエルは対立しているので、イランが核を保有すると、危うい事にならないか危惧しています。
『中国の核開発』
毛沢東主席(1893年~1976年)の夢だった核爆弾は生前に実現しましたが、もう一つの夢だった原子力発電所は没後15年して(1991年に)ヤット完成しました。
2023年4月時点で、中国は原子力発電所を『54基』完成させており、『24基』も建設中です。毎年、膨大な量のプルトニュウムを生産して、蓄積しています。 2023年1月時点の核爆弾の保有数は『410発』でしたが、中国が本気になって核爆弾の製造に取り組めば、アット言う間に米ロと同じ数の核爆弾を保有する事になりそうです。
中国は核爆弾の運搬手段を自力で開発してきましたが、ステルス機の開発などでは、アメリカの技術を盗んだと言われています。 私の見立てでは、まだまだ改良の余地が有る様です。 現在の水中の音を拾うマイクロフォン(ソーナー)の感度は想像を絶する値ですが、中国の原子力潜水艦は「太鼓を叩きながら走っている様だ!」と揶揄されるほど、大きな音を出す様です。 水中航行しても、自衛隊や米軍は簡単に居場所を特定出来ます。
中国は、ウクライナ戦争でロシアに協力する見返りに、「潜水艦の低騒音化技術」などの軍事機密情報を得る可能性が有ります。
(注記 :空母) 中国は空母を『3艦』保有していますが、原子力空母は持っていません。
・・・ 中国の核兵器に関する歴史 ・・・
★ ウラン鉱床の発見 :1955年
★ 第1回目の核実験 :1964年
★ 水爆実験 :1967年
★ 戦略爆撃機 :初飛行=1968年 ・・・H-6(轟炸六型)
★ 大陸間弾道ミサイル(ICBM)の実験 :1971年
★ 『JL-1』潜水艦発射弾道ミサイル :1980年製造開始
★ 原子力潜水艦 :『091型』が1974年に就役 ・・・対艦ミサイルを搭載している。
★ 原子力潜水艦 :『092型』が1983年に就役 ・・・潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を搭載している。
★ 中国が独自に開発した原子炉 :1991年に運転開始
★ フランスから2基の原子炉導入 :1993年と94年に運転開始 ・・・90万kW/基
★ ステルス爆撃機 :初飛行=2011年 ・・・J-20(殲-20)
★ 『JL-2』潜水艦発射弾道ミサイル :2015年配備
【北朝鮮の核開発】
北朝鮮には1986年に稼働した小型の原発(5MW=5,000kW)が有ります。プルトニュウムを『5.5kg~8.3kg/年』得る事が出来る様です。プルトニュウム爆弾を1個作る為には『5kg』必要なので、年間原爆を『1個』製造出来る事になります。2023年時点での原爆保有数は『30個』と推測されています。
北朝鮮は、50MWと200MWの原発を建設していましたが、両方とも中断しました。 50MWの原発はボロボロの状態になっており、建設再開は難しい様です。200MWの原発の建設再開は可能な状態の様ですが、現時点で完成したと言う情報は有りません。 万一、200MWの原発が稼働したら、毎年『50個』ほどプルトニュウム爆弾を製造出来る事になります。
北朝鮮は2016年に水素爆弾の実験に成功したと発表しました。 これが真実だったとすると、広島に投下された原爆の『100倍以上』の威力が有る爆弾の製造が可能になった事になります。
2023年12月に北朝鮮が発射した弾道ミサイルの射程は『15,000km以上』だったと、防衛省の高官が発表しました。平壌とニューヨークの距離は『11,000km』ほどですから、北朝鮮はアメリカ全土を狙える様になったのです。
【インドとパキスタンの核兵器】
インドとパキスタンはイギリスの植民地でした。 1947年にインド(ヒンドゥー教の国)とパキスタン(イスラム教の国)は独立しました。
インドとパキスタンの北部山岳地帯の『カシミール』は、両国が独立した1947年の時点ではヒンドゥー教徒の藩王が治めていて、住民はイスラム教徒が大半でした。 パキスタンの東の飛び地は、1971年に独立してバングラデシュ人民共和国になりました。
カシミール地方の領有権問題で、第一次印パ戦争、第二次印パ戦争が発生しました。 第三次印パ戦争は東パキスタン(現在のバングラデシュ)で発生していた独立運動を助ける為に、インド軍が東パキスタンに侵攻したのです。 3回の印パ戦争は、いずれもインドの勝利で終わりました。
1998年にインドとパキスタンが核兵器を所有していると発表しました。 2023年時点で、インドが『164発』、パキスタンは『170発』の核爆弾を保有している様です。
近年、インドがパキスタンに対して強硬な態度に出ている様に見受けられます。カシミールでの小競り合いは収まりませんから、「核戦争になる恐れが有るのでは?」と危惧しています。
・・・ インドとパキスタンの紛争と核開発 ・・・
★ インド&パキスタンの独立 :1947年
★ 第一次印パ戦争 :1947-8年 ・・・インドが勝利
★ 第二次印パ戦争 :1965年 ・・・インドが勝利
★ 第三次印パ戦争 :1971年 ・・・インドが東パキスタンの独立を支援する為に始めた戦争→→インドが勝利したので東パキスタンは→→バングラデシュとして独立しました。
★ インドの核実験 :1974年
★ インド&パキスタンが核実験 :1998年 →→両国が核兵器の保有を宣言しました。
★ 第四次印パ戦争 :1999年にカシミールのカルギリ地域で、両国軍隊が直接衝突しました。
【インドと中国の国境紛争】
チベットは独立した国でしたが、1724年に清朝が侵攻して併合しました。清朝が滅亡した後、チベット人達は独立を目指して蒋介石の中華民国と戦いました。毛沢東の中華人民共和国(中国)になって、1951年にチベットを併合しました。 (以前、「チベットの地下資源が豊富なので、中国が併合した」と言う記事を読みましたが、それは誤りです。地下資源を発見したのは、併合の後だったと思います。)
中国がチベットを併合したので、インドと直接国境を接する事になりました。国境線の長さは『3,500km』も有ります。中印間の国境は未だに確定していません。1990年以降は、銃や大砲を使用した抗争は発生していませんが、棒や素手による戦闘(?)は発生しています。 原始人の様に殴り合いをして、時々死者が出ている様です。
1993年に『LAC管理協定』を締結して、仮の国境線を認め合いましたが、殴り合いによる国境紛争は続いています。 2010年にインドが「核弾道ミサイルを中国とパキスタンに対して配備する」と発表しました。核戦争にならない事を願うばかりです。
★ 中国のチベット併合 :1951年
★ チベット動乱 :1959年 →→ダライ・ラマ14世がインドに亡命
★ 中印国境紛争 :1962年 ・・・中国が勝利
★ LAC管理協定を締結 :1993年 ・・・実行支配している国境線(仮の国境線)に関する協定
★ 2010年、インドが、「核爆弾を搭載できる弾道ミサイルを中国とパキスタンに対して配備する」と発表しました。
【リビアの大量破壊兵器】
リビアは20世紀の初めにイタリアの植民地になりました。第二次世界大戦でイタリアが敗戦したので、リビアはイギリスとフランスの共同統治国になりました。 1951年に独立して『リビア連合王国』となり→→『リビア王国』になりました。
1961年に革命が起こり→→『リビア・アラブ共和国』た改名し→→カダフィ大佐が支配する様になり→→ソビエト連邦の援助を受ける様になりました。(然し、カダフィ大佐は共産主義は嫌いでした。) 1986年にアメリカが、カダフィ大佐を暗殺する目的で空爆しました。
カダフィ大佐は、口では大量破壊兵器の開発を否定していましたが、化学兵器の開発には成功していた様です。生物兵器の開発は、あまり進んでいなかった様です。
1975年頃からソビエト連邦の支援を受けて、核兵器の開発を始めましたが、結局、核爆弾を製造する事は出来ませんでした。 2003年にカダフィ大佐は大量破壊兵器を破棄しました。
2011年にリビアで内戦が勃発して→→カダフィ大佐は殺害されました。
★★★ リビアの大量破壊兵器については『木村修三著:リビアの大量破壊兵器完全廃棄とその背景』が参考になります。
【南アフリカの核兵器開発の経緯】
南アフリカは経済的にはアフリカ大陸の中では豊かな国の一つですが、非白人は貧しく、殺人事件が多発している等、問題の多いい国です。 2020年の日本の殺人は『0.25人/10万人』でしたが、南アフリカは日本の『136倍』も多いい、『33.96人/10万人』でした。
第二次世界大戦の末期(1944年)に南アフリカでウラン鉱石が発見されました。当時はウランの需要は殆ど無かったので、南アフリカが多分産出量世界第1位だったと推測します。1950年にアメリカ、イギリス、カナダの3国がウラン鉱の開発に協力する事になりました。アメリカが小型の研究用原子炉を南アフリカに供与し、65年に臨界点に達しました。 南アフリカは鉱山で使用する火薬の代わりに、プルトニュウム爆弾(PNF)の開発を目論んでいた様です。 (結局、PNFの開発は断念しました。)
南アフリカは、1948年から非人道的な『アパルトヘイト(人種隔離)』政策を続けていました。 アフリカの国だけで無く欧米諸国も、アパルトヘイトを問題視する様になって来たので→→他国から攻撃されない様に→→核爆弾の開発を始め→→82年に完成させました。
93年に南アフリカは核兵器を廃棄すると宣言しました。この時、核爆弾を6個保有していました。 94年にアパルトヘイトを廃止ししました。
★ ウラン鉱石の発見 :1944年
★ アパルトヘイト法制定 :1948年
★ ウラン鉱の開発 :1950年 ・・・アメリカ、イギリス、カナダの3国
★ 研究用原子炉 :アメリカが南アフリカに研究用原子炉を供与→→1965年に臨界に達した。
★ 平和利用の核爆弾(PNE)の検討
★ 南アフリカを批判する国際世論が高まる :非人道的なアパルトヘイト政策に対する批判
★ 核爆弾を完成 :1982年
★ 核兵器の破棄を公表 :1993年 ・・・核爆弾を6個保有していました。
★ アパルトヘイトの廃止 :1994年
【御参考 :ウラン生産量と埋蔵量】
御参考までに、近年のウラン生産量と埋蔵量を下に整理しました。生産量の世界第1位はカザフスタンで、埋蔵量の第1位はオーストラリアです。
モンゴールは現時点ではウランを生産していませんが、埋蔵量は『144,600tU』も有ります。 埋蔵ウランを狙って、中国がモンゴールに侵攻して、併合するのでは?と心配しています。
・・・ ウラン生産量と埋蔵量 ・・・ 出典:グローバルノート 生産量は2022年、埋蔵量は21年の値
★ カザフスタン :生産≒21,227tU、埋蔵≒815,200tU
★ カナダ :生産≒ 7,351tU、 埋蔵≒588,500tU
★ ナミビア :生産≒ 5,613tU、埋蔵≒470,100tU
★ オーストラリア :生産≒ 4,087tU、埋蔵≒1,684,100tU
★ ウズベキスタン :生産≒ 3,300tU、埋蔵≒131,300tU
★ ロシア :生産≒ 2,508tU、埋蔵≒480,900tU
★ ニジェール :生産≒ 2,020tU、埋蔵≒311,100tU
★ 中国 :生産≒1,700tU、 埋蔵≒223,900tU
★ インド :生産≒ 600tU、埋蔵≒?tU
★ 南アフリカ :生産≒ 200tU、埋蔵≒320,900tU
★ ウクライナ :生産≒ 100tU、埋蔵≒107,200tU
★ アメリカ :生産≒ 75tU、 埋蔵≒59,400tU
★ パキスタン :生産≒ 45tU、 埋蔵≒?tU
★ ブラジル :生産≒ 43tU、 埋蔵≒276,800tU
★ イラン :生産≒ 20tU、 埋蔵≒?tU
★ モンゴール :生産≒?tU、 埋蔵≒144,600tU
★ ボツワナ :生産≒?tU、 埋蔵≒87,200tU
★ タンザニア :生産≒?tU、 埋蔵≒58,200tU
★ ヨルダン :生産≒?tU、 埋蔵≒52,500tU
● 世界合計 :生産≒48,888tU、埋蔵≒6,078,500tU
単位の『tU』はトンウラン ・・・ウラン鉱石では無く、精製されたウランの質量の事です。
先週は核兵器の拡散状況について書きましたが、今回は核兵器保有国の開発の歴史/経緯について書きます。
核保有国の間で現在も紛争しているのは、『中国vsインド』、『インドvsパキスタン』です。イランとイスラエルは対立しているので、イランが核を保有すると、危うい事にならないか危惧しています。
『中国の核開発』
毛沢東主席(1893年~1976年)の夢だった核爆弾は生前に実現しましたが、もう一つの夢だった原子力発電所は没後15年して(1991年に)ヤット完成しました。
2023年4月時点で、中国は原子力発電所を『54基』完成させており、『24基』も建設中です。毎年、膨大な量のプルトニュウムを生産して、蓄積しています。 2023年1月時点の核爆弾の保有数は『410発』でしたが、中国が本気になって核爆弾の製造に取り組めば、アット言う間に米ロと同じ数の核爆弾を保有する事になりそうです。
中国は核爆弾の運搬手段を自力で開発してきましたが、ステルス機の開発などでは、アメリカの技術を盗んだと言われています。 私の見立てでは、まだまだ改良の余地が有る様です。 現在の水中の音を拾うマイクロフォン(ソーナー)の感度は想像を絶する値ですが、中国の原子力潜水艦は「太鼓を叩きながら走っている様だ!」と揶揄されるほど、大きな音を出す様です。 水中航行しても、自衛隊や米軍は簡単に居場所を特定出来ます。
中国は、ウクライナ戦争でロシアに協力する見返りに、「潜水艦の低騒音化技術」などの軍事機密情報を得る可能性が有ります。
(注記 :空母) 中国は空母を『3艦』保有していますが、原子力空母は持っていません。
・・・ 中国の核兵器に関する歴史 ・・・
★ ウラン鉱床の発見 :1955年
★ 第1回目の核実験 :1964年
★ 水爆実験 :1967年
★ 戦略爆撃機 :初飛行=1968年 ・・・H-6(轟炸六型)
★ 大陸間弾道ミサイル(ICBM)の実験 :1971年
★ 『JL-1』潜水艦発射弾道ミサイル :1980年製造開始
★ 原子力潜水艦 :『091型』が1974年に就役 ・・・対艦ミサイルを搭載している。
★ 原子力潜水艦 :『092型』が1983年に就役 ・・・潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を搭載している。
★ 中国が独自に開発した原子炉 :1991年に運転開始
★ フランスから2基の原子炉導入 :1993年と94年に運転開始 ・・・90万kW/基
★ ステルス爆撃機 :初飛行=2011年 ・・・J-20(殲-20)
★ 『JL-2』潜水艦発射弾道ミサイル :2015年配備
【北朝鮮の核開発】
北朝鮮には1986年に稼働した小型の原発(5MW=5,000kW)が有ります。プルトニュウムを『5.5kg~8.3kg/年』得る事が出来る様です。プルトニュウム爆弾を1個作る為には『5kg』必要なので、年間原爆を『1個』製造出来る事になります。2023年時点での原爆保有数は『30個』と推測されています。
北朝鮮は、50MWと200MWの原発を建設していましたが、両方とも中断しました。 50MWの原発はボロボロの状態になっており、建設再開は難しい様です。200MWの原発の建設再開は可能な状態の様ですが、現時点で完成したと言う情報は有りません。 万一、200MWの原発が稼働したら、毎年『50個』ほどプルトニュウム爆弾を製造出来る事になります。
北朝鮮は2016年に水素爆弾の実験に成功したと発表しました。 これが真実だったとすると、広島に投下された原爆の『100倍以上』の威力が有る爆弾の製造が可能になった事になります。
2023年12月に北朝鮮が発射した弾道ミサイルの射程は『15,000km以上』だったと、防衛省の高官が発表しました。平壌とニューヨークの距離は『11,000km』ほどですから、北朝鮮はアメリカ全土を狙える様になったのです。
【インドとパキスタンの核兵器】
インドとパキスタンはイギリスの植民地でした。 1947年にインド(ヒンドゥー教の国)とパキスタン(イスラム教の国)は独立しました。
インドとパキスタンの北部山岳地帯の『カシミール』は、両国が独立した1947年の時点ではヒンドゥー教徒の藩王が治めていて、住民はイスラム教徒が大半でした。 パキスタンの東の飛び地は、1971年に独立してバングラデシュ人民共和国になりました。
カシミール地方の領有権問題で、第一次印パ戦争、第二次印パ戦争が発生しました。 第三次印パ戦争は東パキスタン(現在のバングラデシュ)で発生していた独立運動を助ける為に、インド軍が東パキスタンに侵攻したのです。 3回の印パ戦争は、いずれもインドの勝利で終わりました。
1998年にインドとパキスタンが核兵器を所有していると発表しました。 2023年時点で、インドが『164発』、パキスタンは『170発』の核爆弾を保有している様です。
近年、インドがパキスタンに対して強硬な態度に出ている様に見受けられます。カシミールでの小競り合いは収まりませんから、「核戦争になる恐れが有るのでは?」と危惧しています。
・・・ インドとパキスタンの紛争と核開発 ・・・
★ インド&パキスタンの独立 :1947年
★ 第一次印パ戦争 :1947-8年 ・・・インドが勝利
★ 第二次印パ戦争 :1965年 ・・・インドが勝利
★ 第三次印パ戦争 :1971年 ・・・インドが東パキスタンの独立を支援する為に始めた戦争→→インドが勝利したので東パキスタンは→→バングラデシュとして独立しました。
★ インドの核実験 :1974年
★ インド&パキスタンが核実験 :1998年 →→両国が核兵器の保有を宣言しました。
★ 第四次印パ戦争 :1999年にカシミールのカルギリ地域で、両国軍隊が直接衝突しました。
【インドと中国の国境紛争】
チベットは独立した国でしたが、1724年に清朝が侵攻して併合しました。清朝が滅亡した後、チベット人達は独立を目指して蒋介石の中華民国と戦いました。毛沢東の中華人民共和国(中国)になって、1951年にチベットを併合しました。 (以前、「チベットの地下資源が豊富なので、中国が併合した」と言う記事を読みましたが、それは誤りです。地下資源を発見したのは、併合の後だったと思います。)
中国がチベットを併合したので、インドと直接国境を接する事になりました。国境線の長さは『3,500km』も有ります。中印間の国境は未だに確定していません。1990年以降は、銃や大砲を使用した抗争は発生していませんが、棒や素手による戦闘(?)は発生しています。 原始人の様に殴り合いをして、時々死者が出ている様です。
1993年に『LAC管理協定』を締結して、仮の国境線を認め合いましたが、殴り合いによる国境紛争は続いています。 2010年にインドが「核弾道ミサイルを中国とパキスタンに対して配備する」と発表しました。核戦争にならない事を願うばかりです。
★ 中国のチベット併合 :1951年
★ チベット動乱 :1959年 →→ダライ・ラマ14世がインドに亡命
★ 中印国境紛争 :1962年 ・・・中国が勝利
★ LAC管理協定を締結 :1993年 ・・・実行支配している国境線(仮の国境線)に関する協定
★ 2010年、インドが、「核爆弾を搭載できる弾道ミサイルを中国とパキスタンに対して配備する」と発表しました。
【リビアの大量破壊兵器】
リビアは20世紀の初めにイタリアの植民地になりました。第二次世界大戦でイタリアが敗戦したので、リビアはイギリスとフランスの共同統治国になりました。 1951年に独立して『リビア連合王国』となり→→『リビア王国』になりました。
1961年に革命が起こり→→『リビア・アラブ共和国』た改名し→→カダフィ大佐が支配する様になり→→ソビエト連邦の援助を受ける様になりました。(然し、カダフィ大佐は共産主義は嫌いでした。) 1986年にアメリカが、カダフィ大佐を暗殺する目的で空爆しました。
カダフィ大佐は、口では大量破壊兵器の開発を否定していましたが、化学兵器の開発には成功していた様です。生物兵器の開発は、あまり進んでいなかった様です。
1975年頃からソビエト連邦の支援を受けて、核兵器の開発を始めましたが、結局、核爆弾を製造する事は出来ませんでした。 2003年にカダフィ大佐は大量破壊兵器を破棄しました。
2011年にリビアで内戦が勃発して→→カダフィ大佐は殺害されました。
★★★ リビアの大量破壊兵器については『木村修三著:リビアの大量破壊兵器完全廃棄とその背景』が参考になります。
【南アフリカの核兵器開発の経緯】
南アフリカは経済的にはアフリカ大陸の中では豊かな国の一つですが、非白人は貧しく、殺人事件が多発している等、問題の多いい国です。 2020年の日本の殺人は『0.25人/10万人』でしたが、南アフリカは日本の『136倍』も多いい、『33.96人/10万人』でした。
第二次世界大戦の末期(1944年)に南アフリカでウラン鉱石が発見されました。当時はウランの需要は殆ど無かったので、南アフリカが多分産出量世界第1位だったと推測します。1950年にアメリカ、イギリス、カナダの3国がウラン鉱の開発に協力する事になりました。アメリカが小型の研究用原子炉を南アフリカに供与し、65年に臨界点に達しました。 南アフリカは鉱山で使用する火薬の代わりに、プルトニュウム爆弾(PNF)の開発を目論んでいた様です。 (結局、PNFの開発は断念しました。)
南アフリカは、1948年から非人道的な『アパルトヘイト(人種隔離)』政策を続けていました。 アフリカの国だけで無く欧米諸国も、アパルトヘイトを問題視する様になって来たので→→他国から攻撃されない様に→→核爆弾の開発を始め→→82年に完成させました。
93年に南アフリカは核兵器を廃棄すると宣言しました。この時、核爆弾を6個保有していました。 94年にアパルトヘイトを廃止ししました。
★ ウラン鉱石の発見 :1944年
★ アパルトヘイト法制定 :1948年
★ ウラン鉱の開発 :1950年 ・・・アメリカ、イギリス、カナダの3国
★ 研究用原子炉 :アメリカが南アフリカに研究用原子炉を供与→→1965年に臨界に達した。
★ 平和利用の核爆弾(PNE)の検討
★ 南アフリカを批判する国際世論が高まる :非人道的なアパルトヘイト政策に対する批判
★ 核爆弾を完成 :1982年
★ 核兵器の破棄を公表 :1993年 ・・・核爆弾を6個保有していました。
★ アパルトヘイトの廃止 :1994年
【御参考 :ウラン生産量と埋蔵量】
御参考までに、近年のウラン生産量と埋蔵量を下に整理しました。生産量の世界第1位はカザフスタンで、埋蔵量の第1位はオーストラリアです。
モンゴールは現時点ではウランを生産していませんが、埋蔵量は『144,600tU』も有ります。 埋蔵ウランを狙って、中国がモンゴールに侵攻して、併合するのでは?と心配しています。
・・・ ウラン生産量と埋蔵量 ・・・ 出典:グローバルノート 生産量は2022年、埋蔵量は21年の値
★ カザフスタン :生産≒21,227tU、埋蔵≒815,200tU
★ カナダ :生産≒ 7,351tU、 埋蔵≒588,500tU
★ ナミビア :生産≒ 5,613tU、埋蔵≒470,100tU
★ オーストラリア :生産≒ 4,087tU、埋蔵≒1,684,100tU
★ ウズベキスタン :生産≒ 3,300tU、埋蔵≒131,300tU
★ ロシア :生産≒ 2,508tU、埋蔵≒480,900tU
★ ニジェール :生産≒ 2,020tU、埋蔵≒311,100tU
★ 中国 :生産≒1,700tU、 埋蔵≒223,900tU
★ インド :生産≒ 600tU、埋蔵≒?tU
★ 南アフリカ :生産≒ 200tU、埋蔵≒320,900tU
★ ウクライナ :生産≒ 100tU、埋蔵≒107,200tU
★ アメリカ :生産≒ 75tU、 埋蔵≒59,400tU
★ パキスタン :生産≒ 45tU、 埋蔵≒?tU
★ ブラジル :生産≒ 43tU、 埋蔵≒276,800tU
★ イラン :生産≒ 20tU、 埋蔵≒?tU
★ モンゴール :生産≒?tU、 埋蔵≒144,600tU
★ ボツワナ :生産≒?tU、 埋蔵≒87,200tU
★ タンザニア :生産≒?tU、 埋蔵≒58,200tU
★ ヨルダン :生産≒?tU、 埋蔵≒52,500tU
● 世界合計 :生産≒48,888tU、埋蔵≒6,078,500tU
単位の『tU』はトンウラン ・・・ウラン鉱石では無く、精製されたウランの質量の事です。