MARU にひかれて ~ ある Violin 弾きの雑感

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Levの愛するチェロ、師弟~Lev の想い出 (4)

2008-12-29 00:00:02 | その他の音楽記事

12/29     Levの愛するチェロ、師弟




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   (1) Mozart のニ短調四重奏曲
   (2) Brahms のピアノ四重奏曲
   (3) Suppe: 「詩人と農夫」序曲
   (4) Lev の 愛するチェロ、師弟
   (5) Bloch の 「祈り、願いと歌」




 Levがチェロを初めて手にした場所は、LatviaRiga
9歳の頃でした。


 Levは急速に上達し、13歳にして、すでに映画伴奏の
楽団で働いています。




 のちにLevは、若き日の父同様、法律の勉強のために
Berlin へ向かいます。


 しかし、その勉学生活はニ学期間しか続きませんでした。
Levの非凡なチェロの才能が、さる楽団のソロ首席を
務めていた人物の、目に留まってしまったからです。


 その推薦を受け、Levは、Julius Klengel に師事する
ために、Leipzig へ移ります。




 ここでLevが出会い、その良き師となったのが、
Gregor Piatigorsky (Biography/YouTube音源付き)
です。

 師弟愛を越えた、二人の交友関係は、
Piatigorsky (Biography/Discography付き)
1976年に Los Angeles で亡くなるまで続きました。




 Piatigorsky の名は、授業中も、また私的な雑談の際
にも、Levの口から極めて頻繁に聞かれました。

 しかしその内容は、私の記憶が今となっては定かでなく、
詳細をお伝えできないのが、まことに残念です。





 Levは後半生を米国で送りました。

 Levの教えを受けた奏者の数は、極めて多数に上るので、
ここでは、ごく一部を挙げるだけに止めます。




 やがて Juliard 音楽院に入学することになる、12歳の
Lynn Harrel の才能に、最も早くから注目したのがLev
でした。

 この生徒の側も、Levの教えを高く評価し、

 「チェロという楽器、そして音楽、また人生に対する情熱を
私に教えてくれたのは、この素晴らしい教師でした」

語っています




 Lynn Harrell

 (①Biography /

  ②YouTube音源 = Chopinのノクターン、他)


 Ralph Kirshbaum


 Kirstin Peltz


 John Sharp


 Mitch Maxwell


 Christopher Adkins




 あるとき、我々の室内楽クラスを訪れた、若いゲストが
いました。 Levのチェロのお弟子さんで、とてもハンサム
な好青年です。

 握手した手が、とても柔らかかったのを覚えていますが、
その名は Kevin Dvorak。 何と、あの大作曲家の曾孫
さんでした。

 現在は Houston を中心に活躍しているとのことです。





 私がLevから教えを受ける機会のほとんどは、週二回
ほどの、室内楽の授業に限られていました。


 あとは、学内のオーケストラだけです。 そこでは、管も、
弦も、打楽器も、担当教授が付き添っていました。

 学生と教授たちが一体となり、一つのアンサンブルを
作るのは、まさに協調作業の見本でした。




 Levから直接受ける教えは、単に外面的な知識に
止まりませんでした。

 音の作り方、作曲家が曲に込めた思いの激しさ、
演奏者に要求される燃焼度、パッション…、それらへ
向ける情熱や献身の度合いは、どれを取っても、
若い我々よりLevの方が、はるかに上回っていました。


 もし自分がチェロを専攻していたら、もっと多くを、
Levから吸収する機会に恵まれたろうに…。

 そう考えると、まことに残念です。





 私が直接知っているのは、60歳を過ぎたばかりの
頃のLevだけ、それもたったの二年間でした。


 次回は、Levのヨーロッパ時代を中心に記したいと
思います。






              当時の発表会プログラム



 (続く)



        以下はKevin Dvorak 氏についての記述を、

           [AIDS Foundation Houston]より、

       リンク切れに備えて転載させていただきました。



Kevin Dvorak cello

Cellist Kevin Dvorak was a student of renowned cello pedagogue, Lev Aronson. Winner of several youth competitions, he appeared as soloist with the Dallas, Fort Worth, and Midland-Odessa Symphony Orchestras. He was Principal Cellist and leader in a cello ensemble and string orchestra that toured Europe and played in festivals in Dubrovnik, Yugoslavia and Tunis, Tunisia. He was artist in residence at the Southern Vermont Arts Festival in Manchester, Vermont with violinist Carol Glenn and her husband/pianist Eugene List.

Mr. Dvorak has been a member of the Houston Symphony since 1978. He appeared on the Houston Symphony's Innova and Mostly Mozart Chamber Music Series, and has performed in concerts for the Da Camera Society and the Greenbriar Consortium. An ardent chamber music lover, he frequently hosts soiree concerts played by members of the Houston Symphony in his home to raise money for various charities.

Mr. Dvorak's recordings include a String Quartet by Bernard Hermann, and a group of Mozart Flute Quartets featuring Houston Symphony Principal Flutist, Aralee Dorough.



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