06/16 老人ホームで (6) 拍手も表現
これまでの 『その他の音楽記事』
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(9) リクエスト
Sa.さん、I.さんとメンバー紹介が進み、チェロのSi.
さんに差しかかったときのことです。 私の予想しなかった
ところで、大きな拍手が沸き起こりました。
「Si.さんとは半年ほど前に初めてお会いし、以来、音楽
仲間としてご一緒しています。 ところが、Si.さんが言うん
ですよ、"maru さん、以前、会っています、同じオーケストラ
で弾いたことがあります" って!」
みなさん、シーンと静まって聞いておられます。
「Si.さんの話を聞いて、私も思い当りました。 でも、もう
40年ほど前のことです。」
拍手が起こったのは、このときでした。 私は続けます。
「悪いことは出来ないなー、そう思いましたよ。」
ここでも笑いと拍手が。
私にしてみれば、特に笑いを誘おうと思ったわけでは
ありません。 もし、ここではなく、他の場であったら、
「へえ、そうなの…」程度しか、聞き手は感じなかった
かもしれません。
ましてここは老人ホーム。 私より年長の方々ばかりです
から、"40年" などはたいして長い年月ではないでしょう。
しかし、それでも沸き起こった大きな拍手。
人の出会いがどれだけ大切か、そしてこの上井草園の
方々が、そのことにどれほど感慨を抱きながら、聞いて
くれたことか…。
私には、それが今になって解りました。 以後、それに
気付かせてくれた拍手として、この瞬間は私には貴重な
財産となりました。
あのとき拍手してくれた方々、ありがとう!
参考記事 [私の室内楽仲間たち (3)]
私たちのメンバー紹介、最後になりましたが、チェロの
T.さんです。
「室内楽の経験が大変深く、持っていない楽譜は無い
のではないか、それほど蔵書をたくさんお持ちです。」
今度はシーンと、みなさん感心して聴きいっているのが
分かります。
事実、先ほどの2曲目、ボッケリーニのメヌエットですが、
まず楽譜の調達に動き回ってくれたのはSa.さん。 そして
それは、おそらくT.さんの蔵書のはずです。
楽譜は貴重。 「すべては楽譜から始まる」と言っても
言い過ぎではありません。
次の曲は、③ Mozart の “Ave verum corpus”。
[音源ページ]
作曲者の最晩年に作られた美しい合唱曲で、これも広く
親しまれており、私も遥か昔、高校時代に唄った記憶が
あります。 (今回はもちろん歌ではなく、編曲したものです。)
プログラムは進み、次はゴセックの『タンブーラン』ですが、
ここでも予想しないことが!
まだ演奏が始まる前に、歌い始めた方がおられたのです。
[音源ページ]
(続く)
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