MARU にひかれて ~ ある Violin 弾きの雑感

“まる” は、思い出をたくさん残してくれた駄犬の名です。

コジ ファ フィガロ

2008-12-21 00:27:42 | その他の音楽記事

12/21    『コジ ファ フィガロ』




          これまでの 『その他の音楽記事』




 …なんてオペラはご存じないですよね。


 実は私も聞いたことがありません。




 『コジ ファン トゥッテ (女はみんなこうするの)』や、

 『フィガロの結婚』は、確かに実在しますが…。





 先日、友人のフィガロ(仮名) からメールをいただきました。

  (なぜ私が彼をそう呼ぶのか、そのうちお解りいただけると思います。)


 いわく、

 「オーケストラを立ち上げたのだが、まだ人数が足りない」

のだそうです。




 私の知り合いには、ほかにも何人か、自分でオケを作った
人間がいます。 組織が無い所に組織を作るのですから、
いずれも大変な苦労をしており、一人で何役もこなさなければ
なりません。


 立ち上げたきっかけや動機は様々ですが、このフィガロ氏
の場合、かなり歌が達者なように見受けられます。


 そこで、オペラの伴奏をするオケ、いえ、オペラを楽しむ
オケを作ったわけです。





 こう申し上げると、

 「なんだ、どちらにせよ、自分の歌の伴奏をさせるために
オケを作ったのか」

と思われるでしょう。 ところが、まったく違うのです。




 彼は歌を愛していますが、自分では歌いません。

 手にしているのは、楽器のコントラバス。 縁の下の
力持ちです。


 その上、自分が "言いだしっぺ" なので、事務局長でも
あります。 指導者との連絡、本番や練習会場の手配、
撮影、サイトの管理、…、その他、すべてを引き受ける、
"町の何でも屋さん" といったところです。




 彼はまたヴィオラも上手なようです。

 と言うと、

 「ただ、何にでも広く浅く、手を出すだけだろう」
とお考えでしょうか。 いえ、違います。


 弦楽器一般の、楽な構え方、自然な奏法、弓の置き方、
発音…、などに、深い関心を寄せています。 私自身、
フィガロ氏から教わったことが、いくつもあります。


 いわば彼は、弦楽器の奏法を、自分自身の体験を
踏まえて探究し続けているのです。

 ただ「先生に言われるとおりにやる」のではなく!





 さて、前置きが長くなりました。

 ここらで、何でも屋のフィガロさんの歌を聴きましょう。


 もし歌が見事で、歌詞の内容に賛同される方がおいで
でしたら、ぜひ "Bravo!" と直接お伝えください。




 ちなみに、冒頭のオペラ、"Cosi fa Figaro" の邦題は、

 『フィガロのお手並み』、 『フィガロの活躍』、

 『フィガロのお流儀』、 『フィガロのお仕事

などが案として挙がっていますが、まだ定説は無いようです。




 ♪  ♪  ♪  ♪  ♪  ♪  ♪  ♪  ♪  ♪
  






 このたびはメンバーの確保についてのご協力、ありがとう
ございました。




 一年前の正月のことですが、さるオペラ指揮者にお願いを
差し上げたことから、すべてが始まりました。

 その内容というのは、「オペラ公演で、オーケストラによる
伴奏をさせてもらえないだろうか」というものでした。


 指揮者のお名前はイタリア人のセルジョ・ソッシ氏、奥さま
はソプラノ歌手で、トミコさんとおっしゃいます。




 ご夫妻は、これまでヨーロッパを中心にオペラを上演して
こられ、お弟子さんの歌手たちにも、経験の場を積極的に
与えようとしました。

 日本でもすでに何度か公演する機会がありましたが、
伴奏はいつもピアノによるものでした。

 もともと歌が大好きな私としては、その様子を見て大変
残念に思っていた次第です。





 そこで私は、先生のお弟子さんを介してお願いに上がり、

 「自分がアマチュアの仲間を集め、何とかしてアンサンブルを
作るから、ぜひ伴奏をさせて欲しい」

と申し入れました。




 私の話を静かに聴いていたマエストロは、すぐに快諾され、

 「それなら オペラをヤリマショウ! イマ 楽器は何人
イマスカ? さっそく練習を始めたい・・・」

とおっしゃったのです。


 こんなに急に話が進むとは思わなかった私は、
その場で「・・汗・・」。




 とにかくオーケストラの名称を、
アンサンブルOBS」としました。
 
マエストロの自宅スタジオの名前、OBS
Opera Ballet Studio>をそのまま頂いたものです。


 最初の演目は、モーツァルトの『コジ ファン トゥッテ』に
すんなり決まりました。 6月に銀座の王子ホールを、
すでに押さえてあったのが幸いしたのです。





 しかし、そうは言っても実のところ、上記は私一人の
思いつきで話をしただけでした。 メンバーは私の
コントラバス以外、ほかには誰もいなかったのです。


 そこで、

 「メンバーはこれから集めるので、とりあえず
2か月ほど準備期間が欲しい」

とお願いし、ご了解いただいて、練習は3月から
始めることにしました。




 その後、自分が所属している埼玉のアマチュア
オーケストラのメンバーを中心に、無理やり15人
ほど人間をかき集め、総勢20名のオーケストラで、
6月の本番を乗り切ることが出来ました。


                      

 2008年6月、銀座の王子ホールにて (モーツァルト『コジ ファン トゥッテ』)





 最初の公演は何とか無事に終了したものの、ホームページが
やっと完成してみると、夏も過ぎ、10月になっていました。

 現在は2009年6月の公演に向け、準備に追われております。

 曲はモーツァルトの『フィガロの結婚』に決定しました。




 もうすでに、オーケストラの体制が整っていなければならない
時期なのですが、人数は充分確保出来ていません。 前回の
参加者も、数人しか残らなかったのです。


 一時はまったく絶望的な状態でした。 新規の参加者を募る
ため、アマチュアオーケーストラのサイトに団員募集の知らせを
載せたりもしましたが、大した手ごたえも無いまま、団員数が
僅か数名という有様で11月を迎えてしまったのです。

 こんな状態のまま、練習開始予定の12月になったら、一体
どうなることか…、眠れない日々が続きました。





 12月に入ると、幸いにもホームページや口コミで少しずつ
反応があり、現在は25名ほどになり ました。

 参加者には、すでに都内や近郊のアマチュアオーケストラに
所属している方が多く、また他にも、音大出身や元プロの方、
会社員、主婦の女性、定年で退職された方など、様々な方々
に来ていただけるようになりました。

 中にはオペラの演奏が初めての者も多く、最初からいきなり
オペラ歌手の方と一緒に練習が始まったことに、感激している
団員もいました。 





 このオーケストラの特徴は練習にあります。

 アマチュア演奏家にとって、たった1回の本番よりも、
一回々々の練習が充実していなければ意味はありません。


 その点OBSは、本番を振るマエストロが、練習もすべて
指揮をします。 またすべての練習に歌手が参加し、原語
(イタリア語)で歌い、優秀なコレペティテゥーレが加わり、
アンサンブルをリードします。


 アマチュアのオーケストラの中で、これほど恵まれた
条件でオペラを体験できる団体は、ほかにあるでしょうか。
考えてみれば本当に贅沢なことです。





 マエストロのセルジョ・ソッシ氏は、イタリアの
トリエステ市出身で、ミラノのヴェルディ音楽院から、
ウィーン国立アカデミー音楽大学に進み、指揮を
学ばれました。

 学校の先輩にはクラウディオ・アバド、同級生に
ズビン・メータ、後輩にはリッカルド・ムーティがいた
そうです。


 その後、イタリアのナポリをはじめ、ヨーロッパ
各地の主要歌劇場で数十年間、オペラ指揮者
として活躍してこられました。

 現在は、縁あって武蔵野音大の客員教授
務められ、日本在住です。




 練習の雰囲気を一言で申し上げれば、


イタリア人老オペラ指揮者

    = アマチュアオーケストラ熱血指導

                = 本場のオペラを伝授

…といったところでしょうか。




    マエストロ自宅スタジオでの練習風景 (2008/12/18)






 今月は、いよいよ最初の練習が、埼玉永福 (東京都杉並区)
で始まりました。 楽器もほとんどが揃ってなんとか無事に
スタートする事ができ、ほっと胸をなでおろしております。


 ただ、奏者はまだまだ足りず、弦楽器トランペットの団員を
引き続き募集しております。

 オペラに興味をお持ちの方は、ぜひよろしくご参加のほど、
お願いいたします。



     アンサンブルOBS 事務局 三澤 賢司

 http://www6.plala.or.jp/ensemble-obs/index.html