11/06 我が家の地デジ騒動
これまでの『生活・法律』
③ 屋根の上のアリャー
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…はずでした。
ところが、画面に突如出現したモザイク模様。 受信不良
です。 やがてそれすら消え失せ、画面が真っ黒になると、
「電波信号が弱過ぎる」という表示が。
工事が完了した時点では、何の心配も無かったのに、一体
どうしたことでしょうか…。
表示をよく見ると、「(1) 受信状態、または (2) アンテナ接続
に問題がある」と出ています。
良心的な業者さんたちの手で、無事にアンテナ工事も終わった
翌日のことです。 (2) アンテナに問題があるとは思えません。
となると、原因は何でしょうか。 また受信の不良なら、なぜ?
これについては確かに思い当ることがあります。 この日は
夕方から大雨でした。 奄美大島地方の方々に甚大な被害を
及ぼした、台風14号の影響です。 気象条件が悪いと、確かに
受信も不良になることがあります。
しかしこれは、衛星放送による BSチャンネルだけの話です。
この夜の野球中継も BS。 大雨の影響は、アンテナ工事の前
にも頻繁にありました。
「また始まったな、BS の受信不良が…。」
試しに地上デジタル放送に変えてみます。 ところがこちら、
最初は映っていたのに、やはり信号が弱くなり、またも画面が
黒くなってしまいました。
「大雨のせいなら、影響は BS放送だけのはずなのに…?」
何にも映らない…。 どうも腑に落ちません。
結局その日は駄目。 テレビは諦めました。 雨は相変わらず
降り続いています。
明くる朝、雨は上がっていました。 テレビを点けると…。
ちゃんと映ります! BS も、地デジも。
しばらくして、アンテナ業者さんから電話がありました。 前夜、
テレビが映らなくなった際に、私が応急処置を問い合わせたから
です。 それも、訊き出していた携帯番号の方へ。
事のあらましを改めて報告すると、あちらでも首をかしげている
ようです。
すると30分もしないうちに、彼らはやってきました。 「今日は
これから予定が詰まっているので、工事は出来ません。 でも
一応様子を見たいと思って…。」
ざっと点検した結果、「信号漏れなら、やはり古いケーブルの
せいだろう…」としか判らず、原因はすぐには特定出来ません。
日を改めて後日、「何とか予定を空けて来てくれる」とのこと。
彼らが帰った後、私はもう一度、アンテナ配線がどうなって
いるか、思い浮かべてみました。
原因は、やはり BSアンテナ系統にあるとしか思えません。
今回の工事ではほとんど手を触れなかった場所です。
実はこのパラボラ アンテナは、以前から二階のヴェランダ
に取り付けてあります。 もちろん雨ざらしで、それはアンテナ
に接続されたケーブルも同じこと。 これが室内に引き込まれ
るまでのどこかの箇所で、雨による漏洩が起きたとしか考え
られません。
工事前の地上波は、もちろん屋根で受信しており、屋内に
は別の系統で引き込んでいました。 ところが今回は、屋根
で受信した地デジ波を一旦ヴェランダに運び、この古くなった
BSケーブルに混合させ、BS波と一緒に室内に引き込むという
新たな配線に変えたのです。
これなら電波信号が両方とも洩れてしまっても、不思議では
ありません。
私はヴェランダに出て、外壁の配線系統をもう一度点検しま
した。 屋根から降りてきた (A) 地デジ線。 新たに取り付けた
混合器に入って行きます。 そこへやはり入力される、(B) BS線。
そして、混合器から出ている (C) 3本目のケーブルは、従来
の BS引き込み線をそのまま利用して、室内に通じています。
要するに、(A) と (B) が 混合器で一緒になり、一本のケーブル
(C) でテレビの裏までやって来るのです。
「この (C) から洩れてるのかな…?」 しかし肉眼では確認
しようがありません。
結局、一番怪しいのは、(B) BS線、またはBSアンテナ自体の
ようです。 見れば、アンテナとケーブルの接続部に巻かれた、
黒い絶縁テープ。 これがだいぶ剥げているので、大雨になれ
ば、ここから雨水が浸み込んでもおかしくない状態でした!
これが原因かな!?
(A)、(B)、(C) は、結局は全部つながっているので、(A) から
入った地デジ信号電流も (B) を伝い、ここから逃げてしまった
のではないでしょうか? 雨が激しくなるに連れ、「まず BS が、
次いで地デジ」の順に受信できなくなった状況とも、これは一致
しています。 ひどい時には、ブースターへの電力供給さえ、
"ゼロ表示" になってしまった瞬間があったほどでした。
私は台所から、食品をくるむ小さなビニール袋を持ち出して、
"傷口" をぐるっと一巻き。 雨水が溜まらぬよう、またアンテナ
受信の妨げにならぬよう、テープで止めました。 安上がりの
応急処置です。
夕方、再びアンテナ業者さんから電話が。 「また雨が
降って来ましたね、映らなくなったんじゃないですか…?」
「いや、これこれしかじかで、大丈夫みたいだよ? 大した
雨でもないし。 でも次の大雨があるまでには来てね? (笑)」
私のこの言葉を聞いて、あちらも少しは安心したようです。
私は付け加えました。 「元はと言えばね、キミがいけないん
だよ? 『古いケーブルは危ないから、この際 交換をお薦め
します』って言ってくれれば、ボクだって すぐ応じたのに…!」
もちろん、冗談半分です。 客に出費を促すような態度に出る
など、真面目な業者には出来ませんから。 特に彼らは、「客の
出費を最小限に抑えよう」という態度の方たちですし。
「じゃあ、ケーブルだけ交換して様子を見ましょう。 それでも
駄目なら、初めて BSアンテナを変えることにしましょう。」
でもそれでは、また何度も足を運ばせることになります。
それに彼らは、これからますます忙しくなるでしょう。 もし
故障が続いたら、こちらも困ってしまう…。
「いっそのこと、BSアンテナも一緒に替えてよ。 もう
17~18年経ってるんだから。」
それは本当の話です。 実はこれを設置したのも私。 屋根
に上がらなくてもよかったんですから、こちらはちっとも怖くは
ありませんでした。
難しかったのは、パラボラ アンテナの角度調整。 南西の
方位角だけでなく、鉛直方向の仰角も正確でないと、BS衛星
の電波をしっかり捉えられません。 信号の計測機器も無く、
一人だけだったので、かなり時間がかかりました。
しかし、これがいくら正確でも駄目。 黒い絶縁テープが
剥げるなど、まさに初歩的なミスですから。 事後の点検
も不充分だったので、結局は自分のせいです。
「でも今回は、取り敢えずケーブルだけ替えて、様子を
見ましょうよ…。」
「まだ言ってる! 客が "全部替えてくれ" って言ってる
んだから、逆らっちゃ駄目だよ!? (笑)」
「分りました…。」
何だ。 これじゃあ、自分で好んで出費を増やしてる…。
「"倹約癖" がある」…なんて、大ミエ、切っておいて。
実は、出費はすでに嵩んでいました。 録画用の、外付け
ハードディスク。 それに、既存のDVDレコーダーとテレビを
接続する、HDMI ケーブルが、予想以上に高かった。
でも、"止むを得ない出費" だから、しょうがないよね…
(負け惜しみ)。
ああ、何だかんだで…。
ところで、このアンテナ業者さん、何度も顔を合わせて親しく
なったためか、私の職業について知りたがっているようです。
「一体、何、やってるんですか…?」 もちろん遠慮がちに
ですが、前回も訊かれました。
「いつでも大体自宅に居る、怪しげな仕事なんだよ」と言って
あるからでしょうか。 "工事日は休日でなくてもいいよ" という、
配慮のためにそう伝えたただけなのですが…。
「仕事はね、"屋根の上のヴァイオリン弾き" だよ?」
こう言われても、黙ったまま、不思議そうな顔…。 解るはず
はありませんよね。
仕方が無いから説明すると、「全然そうは見えない」と言われ
てしまいました。 それ、どういう意味なんだろ…?
「本当に屋根に上ったんですか! ヴェランダのBSアンテナ
の設置法だって、数値もバッチリでした。 計器が無いのに
凄いですよ! そういう関係の仕事、やってるんですか?」
まだ解ってないな…。 だったら、今回も自分でやるもん。
さっきも ちゃんと言ったのに、"ヴァイオリン弾き" だって…。
鳶職じゃなくて。
似たようなものかもしれないけど、ハラハラさせるのは…。
「テレビには映らないんですか?」
最後にはそう言われてしまいました…。
忙しさが一息ついたら、一緒にメシでも…と約束しました
が、彼らは当分無理かも知れません。
そう言えば、古いテレビの回収をお願いした方の業者さん、
こちらは「音楽はよく聴く、特に寝る前は必ず!」とのこと。
で、自然と、お気に入りのクラシック曲の話になりました。
"ツィゴイネルヴァイゼン" が大好きですが、まだ Violin の
"実演" は聞いたことがないそうです。
「どうして "G線上のアリア" っていうんですか?」
そこで私は彼を部屋に引き入れ、ツィゴイネルヴァイゼン
の第3、4部の易しそうな箇所を弾いてから、「ほら、この
一番低いのが "G線" って言ってね、ソの音なんですよ。
元は、ただ "アリア" っていう、オーケストラの曲でね…。」
三日後、同じ業者さんが、今度は古いアンテナの回収に
やって来ました。 見ると、軽トラックがもう一台。 友人の
業者さんでしょうか。
「やぁ、始めまして。 こいつがね、夜、電話かけてきてさ、
『おい、今日ヴァイオリン、眼の前で聞かせてもらったよ!』
って、いきなり言うんですよ、興奮しちゃってね…。」
何でも、至近距離で演奏を "目撃" した友人が、よほど
羨ましかったらしく、「いつか自分にも見せてくれないか」
…と言うのです。
じゃあ今度は "屋根の上のアリャー!" になるかもしれない
けど、それでもいい?
脚立、踏み外しちゃって、倒しちゃって、降りられないで…。
(この項終わり)