12/01 我が家の地デジ騒動
これまでの『生活・法律』
⑥ 空中戦と地下組織
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柿を差し出し9連敗
空中戦と地下組織
何と、ジャンケンで九連敗。
そんな信じられないようなハプニングもありましたが、柿は
まだ余っています。 9人が2個ずつ取り終わり、まだ12個
ありますが、どうしたものか?
もう一回りすれば、「一人が3個ずつ」になるのですが、そう
なると、「Viola の皆さんだけが私の "仕打ち" を受ける」ことに
なります。 「どれも柔らかくて甘い」とは保証できませんから。
私は柿の袋を抱えて、部屋を移りました。 Viola の方々と
一緒に。
大きな教室に入ると、そこでは全体のミーティングが、すでに
始まっています。 人数をざっと数えてみると、大体 40人ほど
でしょうか。
「40人に、柿が12個。 困ったな…。」 とても全員には行き
亘りません。 かと言って、全員でジャンケンをするわけには
行かないし…。
私は机の上に柿を一つずつ並べると、こう言いました。
「これからクイズを出すので、正解者に差し上げます!
ただし、真面目な問題だよ?」
ワイワイざわめきが上がるのを尻目に、さっそく私は始めます。
① 隣りの家の柿の木の枝が、境界の塀を越えて貴方の敷地に
侵入してきました。 枝の先にはおいしそうな柿の実が。 貴方は
それを採ってもいいでしょうか?
解答 (1) 採ってはいけない (2) 採ってもよい
そう、前回の終わりにご覧いただいた問題です。 「民法を学ぶ
者なら、すべて目にするのではないか」と思われる代表例です。
貴方はご存知でしたか?
解答は最後に記すとして、この問題では「おそらく半分ほどの
人数が落伍するだろう。」 そう私は予想していました。
ところが、結果は衝撃的。 正解者が3名だけだったのです。
しかも全員が法学部だとか。 なかなか大したものです。
問題はもう一つありましたね?
② 隣りの家に竹林があり、貴方の家の敷地からも筍 (たけのこ)
が生えてきました。 貴方はそれを採ってもいいでしょうか?
解答 (1) 採ってはいけない (2) 採ってもよい
この問題も出してみましたが、先ほどの3名のうち、正解
は2人でした。
「じゃあこの柿は、3人に4個ずつ差し上げます。 一人占め
して恨まれてもいいし、全部友だちに上げてもいいし…。」
そう言って、私は教室を後にしました。
最後に残る人数は、「多分 5~10人ほどではないか?」
私のその予想は外れました。
それにしても、"12" というのは便利な数です。 2、3、4
6の、どれでも割り切れるのですから。
ところで、① 「柿の問題」です。
正解は、(1) 「採ってはいけない」です。
枝でも何でも、こちらの "邪魔になる" のですから、「撤去
してください」と請求は出来ます。 しかし、そこまで! 枝
は隣家の所有物なので、自分で切れば "所有権の侵害"
になるのだそうです。
また、それが柿の実であっても同じ。 違うのは、「邪魔
にならず、おいしそうで、魅力的」…なだけです。
ただし、これはあくまでも "民法" から見た場合。 近所
付き合いは大事です。 貴方ならどうやって解決しますか?
② 「筍の問題」ですが、こちらは逆に
(2) 「採ってもいい」になります。
先ほどは枝、果実、あるいは花も含めてでした。 しかし
根が地上に出て来たときは、切ってもいいのだそうです。
竹の場合は "地下茎"、"筍" ですが、扱いは同じですね。
同じ植物でも、どうして違うのでしょうか? 根の所有権は、
「どちらにあるか分らないから」かもしれませんね。 「隣りに
竹林がある」とは言え、掘ってみなければ。 今は、あちらの
敷地には無いかもしれませんし。
ただし、あくまでも法律上の見解に過ぎないのは、こちらも
同じ。 「あんまりおいしそうなんで、掘らせていただいてもいい
ですかね?」と、一言お伺いを立てるべきかもしれません。
これで連想してしまうのは、日中の "ガス田開発" 問題です。
「伺いを立てる」どころか、"早い者勝ち"、"既成事実" …と
いった方向に、事態は進んでいます。
ところで我が家には、実 (じつ) は竹も生えてきます。
これが、ちょうど隣家との境界線に沿っている。 竹林は
隣家にはありませんが、「ここら一帯は昔は竹林だった」と
聞いています。
もっとややこしいのは、隣家の土地は、私が今住んでいる
敷地の一部だったのだそうです。 おそらく金銭で売買が。
こちらで筍が生えたとしても、もちろん所有権など隣家には
ありません。 しかし、法律を越えた心情的なものまで感じて
しまうと、「世の中はつくづく難しい」と思います。
また筍も、こちら側で「まったく生えてこない」わけではありま
せん。 しかし気付かずに放置しているうちに、筍はどんどん
成長してしまう。 固くなって、たちまち手に負えなくなります。
私も、柿ほどの食欲はそそられません。
ところで柿の方は、これとは反対の一角に生えています。
枝は塀を越え、公道にせり出しているのです。
これは採ってはいけないことになりますね、外からは。 "公道"
とは言え、柿の所有権はこちらにありますから。
ただ、実際に通行人が「手を伸ばして採る」のは、ちょっと無理。
枝が高過ぎるのです。
ただし、この柿は渋柿! よほど熟れたのを見つけないと、
とんでもないことになりますよ。
私も、「赤くてうまそうだ!」と思って口にすると、反対側はまだ
黄色いまま。 口がひんまがりそうになります。
それとも通行人の皆さんは、一度試食して、「もうコリゴリだ!」
と思い、手を出さないのでしょうか (笑) ?
甘柿の木は別にあり、実の数は はるかに多いのですが。
でも本当においしいのは、当り外れがあっても、この渋柿。
鳥たちと私の "柿戦争" は、今日も続いています。
それでは、またも謎々。 今度は貴方がお答えになる番です。
正解でも、柿は差し上げられませんが。
③ 隣りの家の柿の実が、貴方の敷地に落ちました。
貴方はそれを採ってもいいでしょうか?
解答 (1) 採ってはいけない (2) 採ってもよい
↓ 解答
③ 隣りの家の柿の実が、貴方の敷地に落ちました。
貴方はそれを採ってもいいでしょうか?
解答 (1) 採ってはいけない (2) 採ってもよい
正解は、(1) 「採ってはいけない」 です、民法上は。 もし
これを守らないと、厳密には占有離脱物横領罪とかになる
のだそうです。
貴方が道を歩いていたとしましょう。 手にしていたメモ、
書類、お札などが、もし風に煽られ、ある家の敷地に舞い
降りたら…。 落ちたのは塀の中。 手を延ばして届かない
としても、それは依然として貴方の物です。
「いや、俺の物は俺の物!」…などと言われたら、貴方は
きっと警察に通報するでしょう。
これは、干していた洗濯物でも同じ。 さらに微妙なことに
なってしまいます。
柿の実が落ちたと言っても、その所有権は、やはり柿の木の
所有者にあります。
民法第89条第1項には、「天然果実は、その元物から分離
する時に、これを収取する権利を有する者に帰属する。(果実
の帰属)」と記されているようです。 "権利を有する者" とは、
その時点の木の所有者ということになります。
民法第206条は「所有者は、法令の制限内において、自由
にその所有物の使用、収益及び処分をする権利を有する。」
と定めています。
このゆえに、①「柿の実を枝から採っても」、③「落ちた果実
を拾って食べても」、それは所有者の権利を侵害してしまうこと
になるのですね。
また民法第233条には、「隣地の竹木の枝が境界線を越える
ときは、その竹木の所有者に、その枝を切除させることができる。
2 隣地の竹木の根が境界線を越えるときは、その根を切り取る
ことができる。(枝の切除及び根の切取り)」と、わざわざ分けて
書かれています。
ところで、もしウチのまるちゃんが不幸にして殺されて
しまったら…。 今度は動物の話になりますが。
これは器物損壊罪になりますね…。 殺犬罪なんて
無いから。
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また、"誘拐" されたら窃盗罪になるのでしょうか。
では、まるチャンが何らかの事情で私の手を離れ、私が "返還
請求" しなかったら、一体どうなるのでしょう。
民法第195条には、「家畜以外の動物で他人が飼育していた
ものを占有する者は、その占有の開始の時に善意であり、かつ、
その動物が飼主の占有を離れた時から一箇月以内に飼主から
回復の請求を受けなかったときは、その動物について行使する
権利を取得する。(動物の占有による権利の取得)」とあります。
つまり、返還請求が1ヵ月間無いと、相手の物になってしまう
恐れがあるのだそうです。 きっかけが "善意" と認められれば。
「すぐに返還請求をしないなんて、"ペット無視" も甚だしい。
今さら "返せ" とは聞いて呆れる!」 「まるチャンが自発的
に "家出" してきたので "保護" してやっただけさ!」…など
と言われてしまったら、確かに返す言葉もありません。
では、"家畜" とは何か? まるチャンは、たとえ逃走したに
せよ、イヌはペット、すなわち家畜だと、私はこれまで思って
いたのですが。 もし家畜なら、返還請求は1ヵ月を過ぎても
出来ることになります。
"家畜" と言っても千差万別。 一口に定義するのは困難で、
もちろん民法にも見当たらないようです。
そこで上記195条をよく読んでみると…、「家畜外の動物」とは
「人の支配に服せずして生活するを通常の状態とする動物…」
なんて書いてあります。
何、これ? 読めば読むほど解らなくなるのが法律の文章。
それもそのはず、明治20年 (1887年)、あるいはそれ以前の
条文が、ほとんどそのまま用いられています。 内容も、ワン
ちゃんたちがペットとして広く可愛がられている今日の時代
には、まったくそぐいません。
まるチャン、とにかく家出、しないでね?
柿、上げるから…。
↓
③が不正解の方