マリヤンカ mariyanka

日常のつれづれ、身の回りの自然や風景写真。音楽や映画や読書日記。手づくり作品の展示など。

『蜘蛛』ものと人間の文化史107・book

2023-05-16 | クモ・蜘蛛

著者は、幼少時に野山で遊んだホンチ遊び(クモ合戦)の楽しさが忘れられず、

40歳代で脱サラして、クモ合戦のルーツ、クモに関する民俗学的な研究に没頭するようになったそうです。

 

ひ弱ないじめられっ子でも、強いホンチ(ネコハエトリ・雄)を見つけることが出来れば、

屈強の上級生も打ち負かすことが出来た・・・大自然の掟に真の自由と平等を享受した・・・と書いています。

当時、著者の住む町(横浜)の駄菓子屋には、ホンチを入れておく小さな箱を売っていたそうです。

中には仕切りがあり、6匹のホンチを入れることができ、それをポケットに入れていたのだそうです。

読むほどに蜘蛛への愛に満ち溢れて、思わず頬がほころびます。

各地のクモの呼び名(方言)遊び、伝承、古い文書に見る蜘蛛、絵画や祭り、銅鐸に描かれたクモ。

そして、なぜ蜘蛛が嫌われるようになったのか、

日本書紀や古事記、風土記に書かれた「土蜘蛛」とは何だったのか、など蜘蛛文化論、

厚い本ですが、後半に展開する短い章は、次々と楽しいお喋りを聴いているような感じがしました。

残念ながら著者は2007年に亡くなっています。

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『蜘蛛』ものと人間の文化史・107

斎藤慎一郎(1940-2007) 著

法政大学出版局  2002年

(著者は絵本も書いているそうです。)

 

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