マリヤンカ mariyanka

日常のつれづれ、身の回りの自然や風景写真。音楽や映画や読書日記。手づくり作品の展示など。

『パパの電話を待ちながら』

2013-04-15 | book
セールスマンのパパは家にいる日がほとんどありません。
でも、毎晩電話でお話をしてくれます。
電話代がかかるので、とても短いお話です。
仕事がうまくいった時には少し長くなります、、、
という設定の短編集(56話)です。
9歳の時に父を亡くした著者の、父への思いが込められています。

お話はパパの思いつきのシュールな話や、
言葉遊び、数字遊び、軽いほら話や
パパの日頃の考えが凝縮されたような物語もあれば、
尻切れトンボの話や、
パパが目にしたり聞いたりしたそのままのような話もあります。
ある話はきらきらと輝き、ある話はじんわり心にしみいって。

雑誌から飛び出したネズミの話は、
、、漫画の中にいるのに飽きて飛び出したまんがネズミ、だけど、
正しく「チュー」と言えず、漫画の中の騒々しい擬音ばかり立てるので、
本当のネズミたちに嫌がられ一人ぼっちになる、、その時猫がやってくる、
驚いて逃げようとするが、なんと猫も漫画から飛び出してきた猫で、
正しく「ニャーォ」と言えず一人ぼっちだった、、、
のけもの2匹はひしと抱き合い永遠の友情を誓う、という話です。

この本は左京図書館では大人の本の外国文学(翻訳本)コーナーにあります。
勿論大人が読む本でもありますが、
子どもにも読ませたいとおもいます。

ファンタジーと現実世界がないまぜになって、
驚きと楽しさに満ちたこれらの物語を、
イタリアの子供はみんな読んでいるのでしょうか。
広い世の中を見つめる冷静な目を感じさせる優れた本です。

『パパの電話を待ちながら』
  ジャンニ ロダーリ(1920~1980)
     イタリアの作家、詩人(1970年、国際アンデルセン賞受賞)  
  内田洋子 訳
            2009年  講談社




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3 コメント

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医師兼作家 (山近 茂)
2013-04-15 10:34:54
仕事柄、医療関係の本を手にすることも多いのですが、専門分野の細かい描写に感心していると、作者の経歴は医者‐なんてものも、けっこう目だちますよね。
理系と文系がどのように融合するのだろう…。
古くは森鴎外。もともと軍医さんでした。

私も乱読ですが、くたびれたときは真保裕一がお勧めです。
パーカッション(打楽器奏者)の私にとって、大切な基準は言葉のリズム。
幾重にも張られた伏線で、ぐいぐい引き込む文章構成は、適度に脳を刺激してくれます。
新刊の『ローカル線‐』は貸し出し中がつづいていて、水俣市立図書館では、なかなか読めません。
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 (マリヤンカ)
2013-04-15 19:47:50
現代の日本の特に人気作家の物はどうしても読む気がしません。
書評などで面白いかなと思って、
読みだしても大抵途中でウンザリしてしまいます。
真保裕一は読んでませんが、、、
真帆祐一のテレビドラマ、映画は無理です。
社会的な事柄を書いても何を書いても、現代日本の小説はなぜあんな私小説になるのでしょう?





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三度の飯より「三国志」 (山近 茂)
2013-04-15 20:38:35
長編を最初に読んだのは「三国志」です。
全8巻の文庫本をまず買って、食事中でもトイレでも読みつづけました。
昼食のとき、「なん読みよっと?」と、通りがかったお医者さん。
「それ、中学のとき読んだ」と、あるエリート医師。
別のお医者さんは、「あ、読んだ。漫画で」。
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