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観た映画の感想とそれから連想したアレコレ(ネタバレ有)。

スクール・オブ・ロック School of Rock

2008年02月11日 | Weblog
監督:リチャード・リンクレイター
製作総指揮:スコット・アヴァーサノ
スティーヴ・ニコライデス
製作:スコット・ルーディン
脚本:マイク・ホワイト
音楽:クレイグ・ウェドレン
音楽コンサルタント:ジム・オルーク
撮影:ロジェ・ストファーズ
編集:サンドラ・アデーア

出演者
ジャック・ブラック(デューイ・フィン)
マイク・ホワイト(ネッド・シュニーブリー)
ジョーン・キューザック(ロザリー・マリンズ)
サラ・シルバーマン(パティ・ディ・マルコ)
ジョーイ・ゲイドス・Jr(ザック・ムーニーハム)
ミランダ・コスグローヴ(サマー・ハサウェイ)
ロバート・ツァイ(ローレンス)
ケヴィン・クラーク(フレディ・ジョーンズ)
レベッカ・ブラウン(ケイティ)
マリアム・ハッサン(トミカ)
アダム・パスカル(テオ)
2003/米/110mins.  ☆☆☆☆☆

 厳格な小学校の生徒達をロックに引きずり込んでいく掛け値なしの大傑作コメディ。実はジャック・ブラック、俳優活動と並行してカイル・ガスと共にテネイシャスD「Tenacious D」というバンドも結成しています。99年に始まったTVショーで好評を博し、01年にはMTVムービー・アワードを受賞したほどで、その活動は本格的です。そんなジャック・ブラックの、演技でなくホンモノのロックパフォーマンスは見ごたえ満点です。5ヶ月をかけ全米各地で行われたオーディション(約1万人の書類選考を通った500人弱を面接確認)で、選ばれた子供たちの実際の演奏も見事です。最後にはジャック・ブラック自身が本人より上手くなった、と褒めています。さすが03年10月に全米TOP1となった大ヒット作だけあり、ロックファンもファミリーも大満足できる内容になっています。ネッド役のマイク・ホワイトはジャック・ブラックの友人(3年来の隣人)であり、彼のためにこの脚本を書きました。アカデミー賞にノミネートさえ、されなかったのは解せません。
 ギタリストのデューイはロックを全身全霊で愛する男だったが、その熱すぎる情熱と勝手なパフォーマンスが過ぎて、自分で結成したバンドをクビになってしまう。居候している家に戻れば、同居している親友ネッドとそのガールフレンドから家賃未払いで追い出される寸前。そんな時、ネッド宛に私立小学校の代用教員の依頼が舞い込み、たまたま電話に出たデューイは、家賃返済のためネッドになりすまして名門ホレス・グリーン学院へと向かう。もともと仕事などする気のない彼だったが、厳格な規律の多い学校で過ごす子供たちが無気力な事に気がつき、更に子供達に音楽の才能があることを見つけ、こっそりとロックを教え込み、バンドを組んでバンド・バトルで優勝させ賞金を手に入れようと画策する…。
 デューイと生徒達のバンドSCHOOL OF ROCKは、劇中で映画用のオリジナル曲「School Of Rock」と、AC/DCのカヴァーを演奏します。「School Of Rock」も、AC/DCからの影響を伺わせる曲です。他にも、子供達がブラック・サバス、ディープ・パープル、ドアーズのフレーズをコピーしたり、アレサ・フランクリンを歌う場面(映画「コミットメンツ」でも使われた“チェイン・オブ・フールズ”)もあります。また、デューイをクビにしたバンドNO VACANCYも、劇中オリジナル曲を演奏しました。こちらはLAメタル色が濃い音楽性の曲です。デューイは、生徒達の「宿題」と称し、様々なCDを聴かせます。ジミ・ヘンドリックス、ラッシュ、イエス、ピンク・フロイド、ブロンディ等。また、ピート・タウンゼントの演奏シーンもビデオで登場します。劇中で流れる曲は、ザ・クラッシュ、クリーム、ザ・フー、AC/DC、ラモーンズ、ザ・ダークネス、レッド・ツェッペリン、スティーヴィー・ニックス等多数です。また、キャストのやり取りの中に、モーターヘッドやシーラ・E等の名前も登場します。子供たちの演奏も立派ですが、それぞれのキャラが立ってちゃんと機能しているところも見事です。笑いの取り方もグー。たとえば学級委員タイプの女の子に「グルーピー」役を振って激怒され、苦し紛れにマネージャー役をあてがうデューイ。その子の親の抗議、面白過ぎます。ロック好きでなくても、間違いなく必見。「先生もの」=いわゆる「感動もの」だと思ったら大間違い。いや、笑っているうちに、感動しちゃいます。でも教育現場に対する皮肉こそあれ、道徳的教訓はありません。子供たちがデューイに諭され(?)そのロック熱に感染し、目標を得て連帯感や信頼を感じていく姿は、確かに感動します。が、それはたまたま結果がついてきただけ、というところがサッパリしているのです。デューイは自分がロックしたかっただけ。レッド・ツェッペリンなどオールド・ロック魂を持っていることは勿論、ジャックのキャラで引っ張ってツッコむ隙を与えない展開は素晴らしい。ジャックは言います
「ロックの本質は基本的に反体制・反抗であって、それを学校で教えるというのはロックの本質に反する」。その通り、だから面白いのです。


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