mapio's STREETS OF MOVIE

観た映画の感想とそれから連想したアレコレ(ネタバレ有)。

ソウ SAW

2007年05月19日 | Weblog
監督: ジェームズ・ワン
製作総指揮: ピーター・ブロック 、ジェイソン・コンスタンティン 、ステイシー・テストロ
脚本: リー・ワネル
音楽: チャーリー・クロウザー 、ダニー・ローナー
出演: ケーリー・エルウェス
    ダニー・グローヴァー
    モニカ・ポッター
    リー・ワネル
    トビン・ベル
    ケン・レオン
    ディナ・メイヤー
    ショウニー・スミス
    マイケル・エマーソン
    マッケンジー・ヴェガ
    ベニート・マルティネス
2004/米/1h44m ☆☆☆☆

 密室で足を鎖で繋げられた2人の男が直面する究極の選択と苦悩を描いたスリラー。ともにオーストラリア出身のジェームズ・ワン監督と主演の『マトリックス リローデッド』のアクセル役、リー・ワネルはこの作品で一躍脚光を浴び、低予算での製作映画ながら全米2000館で公開しました。全く先の読めない展開と衝撃的な設定、スタイリッシュな映像は必見です。
 老朽化した広いバスルームで目覚めた2人の男、医師ゴードン(ケーリー・エルウェス)と青年アダム(リー・ワネル)。対角線上にいる2人の足には鎖がはめられ、身動きが取れない。2人の間には自殺死体が無造作に横たわっている。部屋にはいくつかアイテムがあり、その中から2人は自分たちがおかれている状況を把握しようとする。そこは連続殺人犯“ジグソウ”が支配する空間だった…。

蒼き狼 地果て海尽きるまで

2007年05月03日 | Weblog
監督: 澤井信一郎
製作総指揮: 角川春樹
原作: 森村誠一
脚本: 中島丈博 、丸山昇一
音楽: 岩代太郎
キャスト:
反町隆史 (テムジン/チンギス・ハーン)
菊川怜 (ポルテ)
若村麻由美 (ホエルン)
袴田吉彦 (ハサル)
アラ Ara (クラン)
野村祐人 (ポオルチュ)
松山ケンイチ (ジュチ)
平山祐介 (ジャムカ)
池松壮亮 (テムジンの少年時代)
保阪尚希 (イェスゲイ・バートル)
榎木孝明 (デイ・セチェン)
津川雅彦 (ケクチュ)
松方弘樹 (トオリル・カン)

2006/日本=モンゴル/2h16m  ☆☆☆☆

 モンゴル帝国を統一した、英雄チンギス・ハーンの生涯を描いた歴史超大作。モンゴル建国800年記念作品であると同時に角川春樹事務所創立10周年記念作品として、製作費30億円をかけオールモンゴルロケを敢行。製作は角川春樹が務め、“蒼き狼”と呼ばれたチンギス・ハーン役を『男たちの大和/YAMATO』の反町隆史が熱演。共演者には菊川怜や松山ケンイチら若手のほか、津川雅彦や松方弘樹といったベテラン俳優が勢揃いしました。モンゴルの大地の壮大な映像美も圧巻ですが、チンギス・ハーンの人柄に触れる人間ドラマも見応えがあります。長期にわたるモンゴル・ロケで12世紀から13世紀にかけて、西はペルシャ湾、東は中国に至るまでの広大な帝国を築き上げた草原の雄チンギス・ハーンの夫婦、親子の愛と憎しみのストーリーや、部族内での権謀術数など、幾重にも積み重なっていくエピソードを、反町隆史や松山ケンイチなどの男気溢れる演技で目頭を熱くさせてくれます。加えてもうひとつの主役は何と言っても美しいモンゴルの風景。どこまでも続く平原に、モンゴル軍兵士を含む2万人のエキストラが集まった即位式のシーンは見事という他はありません。
 部族間の闘争が激化していた12世紀のモンゴル。モンゴルのボルジギン族の長であるイェスゲイ(保阪尚希)と妻ホエルン(若村麻由美)の間に、男の子が生まれテムジンと名付けられた。後にチンギス・ハーン(反町隆史)となるその子どもは、鋭い眼差しの持ち主で、手には赤い斑点(はんてん)がついていた。14歳になったテムジン。父親を対立する部族に殺害されると、母親が敵から略奪された身である事を理由に、部下たちから見捨てられてしまうが、テムジンは“蒼き狼”の血を受継ぐ者としてたくましく成長してゆきリーダーとしてのカリスマ性を発揮。そしてホルテを妻に迎え、次第に勢力を拡大するのだった…。
 残念ながらこの作品、製作費30億円を投じた邦画最大規模の大作だったのですが、興行収入は14億円に留まる厳しい結果だったそうです。モンゴル人のチンギス・ハーンの生涯を描いた作品であるにも関わらず、メインキャストは殆ど日本人であり、演技や台詞回しも日本的な湿気性の多いもので、大陸的な乾燥したチンギス・ハーン、及び周囲の人間像とはかけ離れたもの(美化!?)となってしまった。加えて、長い生涯を一本の映画にするのは無理があり、少年期に割いた時間も長過ぎ、その後の内容が薄いまま忙しく進展するストーリーは観客を疲れさせるものであったらしい。確かに最初、見ていて全編日本語なので二ヶ国語の上映かと思ってしまいました。
 忘れてはならないのが、途中から若くして「女である事を忘れてくれ」とテムジンに進言し、側近のように連れ添って戦火を共にする他部族の女兵士クランを熱演したアラで、弱冠16歳にして角川春樹事務所とエイベックスが実施したオーディションで約4万人の中からグランプリ受賞した、今後の活躍が期待される韓国出身の女優さんです。(p.s.2月生まれなので3月の映画公開時は17歳です)

昭和歌謡大全集

2007年05月01日 | Weblog
監督: 篠原哲雄
製作: 鈴木光
プロデューサー: 藤田義則 原田文宏 渡辺正子
原作: 村上龍 『昭和歌謡大全集』(幻冬舎文庫刊)
脚本: 大森寿美男
撮影: 高瀬比呂志
美術: 小澤秀高
音楽: 池頼広
音楽プロデューサー: 裕木陽
出演:
松田龍平 (イシハラ)
池内博之 (ノブエ)
斉藤陽一郎 (ヤノ)
村田充 (スギヤマ)
近藤公園 (カトウ)
安藤政信 (スギオカ)
樋口可南子 (スズキ)
岸本加世子 (ヘンミ)
森尾由美 (タケウチ)
細川ふみえ (トミヤマ)
鈴木砂羽 (イワタ)
内田春菊 (ヤナギモト)
原田芳雄 (金物屋の店主)
市川実和子 (スガコ)
古田新太 (サカグチ) 

2002/日本/1h52mins.  ☆☆☆★

 1994年の週刊プレイボーイ連載時より物議を醸した村上龍の同名小説を『はつ恋』『命』などの俊英・篠原哲雄監督が映画化した近未来風ノンストップ・バイレンス映画です。些細な行き違いから少年グループとおばさんグループが血で血を洗う抗争を繰り広げる様子をブラック・ユーモアと過激なバイオレンスで描きます。松田龍平を始めとした豪華出演陣を迎え、少年6人VSおばさん6人の復讐が復讐を呼ぶ壮絶な殺し合いが展開します。
 東京都下の調布市に住む6人の若者イシハラ(松田龍平)、ノブエ(池内博之)、ヤノ(斉藤陽一郎)、スギヤマ(村田充)、カトウ(近藤公園)、スギオカ (安藤政信)らは、定期的にカラオケ・パーティーを開く仲間。音響機材からコスプレにまでこだわった筋金入りのパフォーマンスを、内輪で楽しんでいる。ある日、極度に警戒心が強くいつもナイフを持ち歩いているスギオカが、道ですれ違った買い物帰りの主婦を殺してしまう。その主婦の名はヤナギモトミドリ(内田春菊)。彼女はメンバー全員がミドリという名の親睦会「ミドリ会」に入っていた。イワタミドリ(鈴木砂羽)、ヘンミミドリ(岸本加世子)、スズキミドリ (樋口可奈子)タケウチミドリ(森尾由美)、トミヤマミドリ(細川ふみえ)ら、ミドリ会のメンバーは、これは自分たち「おばさん」を馬鹿にしたガキの犯行だ、と激怒。死んだヤナギモトを弔うために、また踏みつけられた自分たちのプライドを回復するために、犯人を見つけ出し復讐することを誓う。こうしてちょっとしたいさかいからいつしかおばさんとガキの血で血を洗う壮絶な殺しあいへと発展。しかもその武器もどんどんエスカレートしていき……。
そうは言っても、そのスタイルは一貫してブラック・ユーモアに溢れたもので、同時にそれらのシーンをタイトルさながら『恋の季節』『また逢う日まで』など色々な昭和の歌謡曲が一見何の脈絡もなく彩り、一段と不可思議な映像空間へと導いてくれます。殺し合えば殺し合うほどお互いのグループが生き生きとし始めていくという、病める現代日本で実際に起こりそうなリアリズムが面白いと同時に怖い。
 最後にドカーンとまとめてやる案は映画「バタリアン THE RETURN OF THE LIVING DEAD」(1985/米)と同じと思ったのは私だけでしょうか。あちらは更にオチがあったけど。