mapio's STREETS OF MOVIE

観た映画の感想とそれから連想したアレコレ(ネタバレ有)。

ホステル  HOSTEL

2008年04月12日 | Weblog
監督:イーライ・ロス
製作:イーライ・ロス
クリス・ブリッグス
マイク・フレイス
製作総指揮:クエンティン・タランティーノ
スコット・スピーゲル
ボアズ・イェーキン
脚本:イーライ・ロス
撮影:ミラン・チャディマ
特殊メイク:グレゴリー・ニコテロ
ハワード・バーガー
プロダクションデザイン:フランコ=ジャコモ・カルボーネ
衣装デザイン:フランコ=ジャコモ・カルボーネ
編集:ジョージ・フォルシー・Jr
音楽:ネイサン・バー
出演:ジェイ・ヘルナンデス(パクストン)
デレク・リチャードソン(ジョッシュ)
エイゾール・グジョンソン(オリー)
バルバラ・ネデルヤコーヴァ(ナタリーア)
ヤナ・カデラブコーヴァ(スベトラニャ)
ヤン・ヴラサーク(オランダ人ビジネスマン)
リック・ホフマン(アメリカ人ビジネスマン)
三池崇史
(特別出演)ジェニファー・リム(加奈)
2005/米/93min. ☆☆☆★

 壮絶な残酷描写が話題を集めたクエンティン・タランティーノ製作総指揮による全米ヒット(公開時『キングコング』や『ナルニア物語』を抜いていきなり全米TOPを記録!とはいえ2週目には1位から転落。)のスプラッター・ホラーです。淫らな欲望を満たそうとヨーロッパを旅する若者らが、想像を絶する恐怖に直面します。監督は「キャビン・フィーバー」のイーライ・ロス。また、ロス監督たっての希望で「クローズZERO」の三池崇史監督の特別出演も実現しました。近年話題になったホラー作品と言えば、『ソウ』を思い出しますが、その作品設定が非現実的で突っ込みどころ満載に対して、この『ホステル』の設定は、現実味を帯びた“あっても不思議ではない。もしかして存在するかも知れない”と言うリアリティさゆえに、いつまでも消えない変な余韻に満ちた作品です。
 美しい町並みの裏に隠された恐ろしいほどの地下社会の現実。もし舞台設定がアメリカでしたら、これほど惹き付ける事は無かったでしょう。でも舞台が旧東ヨーロッパであり、今だベールに閉ざされた社会主義国では、我々が想像出来ない何かが存在しても決して不思議ではありません。入国にもビザが必要だし、強制両替えなどがあり、西の国々とは違い行動は抑制され思うままにはならない部分が多くあります。そしてマフィアが勢力を伸ばし、裏社会を牛耳っているのも事実です。国家公務員である一般市民は、賃金だけでは西側諸国の物品を買うこともままならない状況で、マフィアにちょっとした手引きをしたり、見て見ぬ振りをすれば、いとも簡単に大金を手にすることが出来るのです。このような仕組みの国家だからこそ、どのような犯罪が行われていようが表舞台に引き出される危険性は少なく、暗黙の了解として成り立っていても不思議ではないのです。
 この映画の舞台は、そんな国のとある美しい町に秘密裏に存在する『拷問・殺人クラブ』です。会員は、さまざまな国の裕福な実力者が連なっています。監督のイーライ・ロスは、1万ドルで拷問殺人が出来るというタイのサイト広告を見て、この映画を思いついたそうです。拷問された若者達の絶叫シーンが妙に生々しく、この作品で使われた血液520リットルというのも類を見ないものです。更に数々の拷問用具。それらを見ているだけで、それらがシーンで使われなくとも、想像してしまうのです。本当に悪夢を見ているようです。被害者に日本人女性も登場するのもミソですが、おかしな日本語を話すので、我々日本人からすると苦笑してしまうかも知れません。この映画最大の特徴は、加害者サイドの情報を極力押さえ、被害者サイドの視点で描いているので、観客は映画の中の被害者とある意味一体化して恐怖を体現してしまうところでしょう。そしてもうひとつ忘れてはならないのが、大人の殺人者以上に恐ろしい無垢な(?)子供達の存在です。忽然と集団で姿を現し、盗みたかりはもちろんのこと、暴行・殺人もいとも簡単にやってのけるマフィア予備軍なのです。表情のない子供達の顔を見ていると、大人の殺人者以上に狂気を感じ、薄ら寒いものを感じます。
 バックパッカーをしながらヨーロッパ各地を旅行しているアメリカ人大学生パクストンとジョッシュ。道中出会ったアイスランド人オリーも加わり、刺激を求める3人の旅は次第に過激さを増していく。そんな彼らはオランダのアムステルダムに滞在中、アレックスという若者から、スロバキアのブラティスラヴァに男たちの求める快楽をすべて提供するパラダイスのような“ホステル”があるという情報を入手する。さっそくそこへ向かった3人は、噂のホステルにチェックインするとすぐ、相部屋の魅力的なナタリーアとスベトラニャに期待以上の対応で迎えられ、夢心地のひとときを過ごす。彼女達と深夜まで遊び歩き、翌日目が覚めると、バーで知り合った女性と一緒に帰ってきたはずのオリーがいない。フロントで聞くと朝早く彼はチェックアウトしたという。何も言わずにチエックアウト?何かあったのだろうかと心配するパクストンとジョシュだったが、やがてジョシュも消えパクストンだけが一人残された。
必死に彼らの行方を探すパクストン。彼らの行方を突き止め、そこで目撃したものは、想像を絶する死の拷問の世界だった。やがてパクストンはすべてが仕組まれた罠だったと気付くが、それはあまりにも遅すぎた。彼もジョシュやオリと同様捕われ、得たいの知れない男の餌食になろうとしていた。果たして、彼はこの悪魔のような場所から脱出することが出来るのか…。


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