監督:フランシス・ローレンス
原作:リチャード・マシスン “I Am Legend”(吸血鬼/地球最後の男/アイ・アム・レジェンド ハヤカワ文庫)
脚本マーク・プロトセヴィッチ、アキヴァ・ゴールズマン
撮影:アンドリュー・レスニー
音楽:ジェームズ・ニュートン・ハワード
制作:アキヴァ・ゴールズマン、デヴィッド・ヘイマン、ジェームズ・ラシター、 ニール・H・モリッツ、アーウィン・ストッフ
プロダクションデザイン:ナオミ・ショーハン
衣装デザイン:マイケル・キャプラン
VFX:ソニー・ピクチャーズ・イメージワークス
出演:
ウィル・スミス:ロバート・ネヴィル
サリ・リチャードソン:ゾーイ・ネヴィル
アリーシー・ブラガ:アナ
ダッシュ・ミホク:アルファ・メイル
チャリー・ターハーン:イーサン
エマ・トンプソン:アリス・クルピン博士
2007/米/100min. ☆☆☆☆★
リチャード・マシスンの小説『吸血鬼(地球最後の男)』の3度目の映画化作品で『コンスタンティン』のフランシス・ローレンス監督が、『幸せのちから』でアカデミー賞主演男優賞にノミネートされたウィル・スミスを主演に迎え、人類が殆ど絶滅した近未来を舞台(無人と化したニューヨーク)に、自分以外の生存者を探す科学者が希望と絶望が混在する究極の孤独の中で人類再生の道を模索する使命感に燃える姿を描くSF巨編です。オリジナル版の『地球最後の男』では吸血鬼が集団でゆっくりと歩き、主人公は家に立て籠もる事が多く、それがジョージ・A・ロメロ監督のホラー『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』(1968)に登場したゾンビや舞台設定に大きな影響を与えたと言われています。今作は劇場では2007年12月14日、日米同時公開されました。また、この作品は1990年に『グラディエーター』のリドリー・スコット監督でアーノルド・シュワルツネッガー主演の話もありましたが、制作費が膨大なために断念しています。
SF独特の設定ながら、視聴者は主人公に心から同情し、強く惹き付けられます。そんな大役を見事にこなしたウィル・スミスは言葉を使わずに、表情や体の動きを通して考えや感情の多くを伝えています。もちろん、誰もいない荒廃したニューヨークの風景(荒廃した街のシーンはCGではなく[一部使用も有り]、5番街で200日の区画封鎖撮影を敢行)、そして肉食性の感染者たちとの戦い(殺人ウィルスに感染して凶暴になり、暗闇でしか生きられないダーク・シーカーズの超人的な動き・強さはCG)など緊迫感あふれるアクション・シーンや斬新な視覚効果も満載ですが、本作のもっともパワフルな要素は、主人公の心の動きを細やかに追っているところでしょう。大規模な話を2時間弱に収めてしまっているので、つっこみ所は多々有ります。日本の宣伝では「唯1人生き残った」ウィル・スミスを強調していましたが、それは「元の体のままの人間」という意味で、圧倒的多数の変異した人間たちは、どうやって生きているのか、凶暴な動き以外は何も描かれていません。マシスンの原作では彼らこそが新人類で、それが『猿の惑星』のように最高の皮肉になっています。ウィルの日常生活、孤独や喪失感などは劇中で分かるのですが、表現されてない部分を考えると、無知の部分のあまりの大きさに驚かされます。コンピューターを破壊するだけでライフラインが停滞する時代にガスや電気が使えるのって何故?みたく思うかも知れませんが、この映画のスケールと勢いある展開の前では気にならない人が大多数でしょう。
余談ですが、本作に登場する米軍兵士はすべて現役で、撮影の10か月前にイラクから帰国したばかりだそうです。
2009年、女性科学者アリス・クルピン博士(エマ・トンプソン)が、はしかウィルスを元にガンの治療薬を開発。治療薬は1万9人のガン患者に投与され、全員が助かったかに見えたが、米国陸軍中佐であり科学者のロバート・ネヴィル(ウィル・スミス)は治療薬を投与した者の一部が狂犬病に似た症状で死亡したことに疑問を感じて調査した結果、治療薬が人間を死に至らしめる危険なK.V(クルピン・ウィルス)であることを発見する。そしてニューヨークがK.Vの感染源になったことで大統領はニューヨークの封鎖を決定し、軍を出動させる。ネヴィルの妻子を含む非感染者をニューヨークに設置させた検問所から脱出させ、感染者への隔離処置が始まるが、空軍の戦闘機が封鎖を徹底すべくニューヨークと外部を結ぶ橋をミサイルで破壊した際に、パニック状態に陥った群集の一部が離陸直後のヘリコプターに飛び付き、これによってバランスを失い暴走した機が、ネヴィルの妻子を乗せたヘリコプターに空中衝突し、ネヴィルは妻子を失う。その後、K.Vは空気感染によって世界中へと拡散する。ネヴィルの試算によると世界人口60億人中54億人が死滅。ネヴィルを含む1200万人の免疫保有者と、K.Vの影響で理性や知能と太陽光(紫外線)への耐性を失いつつも、常人を遙かに上回る身体能力を持ち、昼間は地下や建物の中に潜み、太陽の光が消え去ると、いっせいにうごめき出す不気味な影、5億8800万人の生存患者、ダーク・シーカーズだけが生き残った…。
それから3年後の2012年、廃墟と化したニューヨーク。ウイルス感染により、世界人口の60億が絶滅していくなかでネヴィルは3年もの間、シェパードの愛犬サムと共に、動物園から逃げ出したインパラを狩り、公園でトウモロコシを収穫しながらK.Vの研究をしつつ、一日も欠かさず生存者を捜し求めて無線でメッセージを発信し続けていた。最終目標はダーク・シーカーズを人間に戻せる血清の開発であり、そのためにK.Vを投与したマウスや太陽光に晒さないように生け捕りにしたダーク・シーカーズをサンプルにして、実験を繰り返した。だが、部分的に知能が低下し、逆にある程度の知能を有している1人のダーク・シーカーズが放ったK.Vに感染した犬に襲われ、ネヴィルは無事だったが噛まれたサムは治療の甲斐なく感染犬と化し、ネヴィルはやむなく自らの手で絞め殺さなければならなくなった。これに自暴自棄になったネヴィルは夜中に車で街に出かけ、襲い来るダーク・シーカーズを車で次々と轢き殺すが、逆に彼らに車を転倒され、窮地に陥る。だが、ネヴィルが3年間無線で送り続けたメッセージを聞いてやって来たアナとイーサンの親子によって救われる。かくして自分以外の生存者と初めて遭遇したネヴィルであったが、アナがバーモントの山中に寒さでウィルスが死滅したため生存者達が暮らす村があると話したときはそれを信じず、その根拠が神の言葉だという彼女に対して神を否定する発言をした。そして、自分はあくまでK.Vの感染源であるニューヨークで戦うと主張するが、アナの不注意な行動が災いして安全だったはずのネヴィルの家はダーク・シーカーズに突き止められ、襲われてしまう。必死の戦いの末、ネヴィルはアナとイーサンを連れて地下の研究室に逃れ、そこで血清の開発のために捕まえていた女性のダーク・シーカーに回復の兆候があるのを発見する。だが、ダーク・ シーカーズは研究室に入り込み、ネヴィル達を守る強化ガラスのドアを力任せに体当たりで破ろうとする。これに対しネヴィルは「君達を救えるんだ」と叫ぶも、ダーク・ シーカーズは誰1人耳を傾けようとしなかった。何故ならダーク・シーカーズたちにとっては、彼こそが、多くの仲間を誘拐し謎の実験で殺害し続けた敵だったからである。ここに至り、ネヴィルは回復中のダーク・シーカーから採血するとそれを入れたカプセルをアナに手渡し、緊急用の脱出路からイーサンと共に逃がす。そして自らは逃げる親子を守るべく研究室に備えていた手榴弾の安全ピンを抜き、強化ガラスを突き破って襲ってきたダーク・シーカーズに飛び込み、壮絶な自爆を遂げた。
それからしばらくして、バーモント山中の道路を車で進むアナとイーサンは、道路をふさぐ巨大な壁を発見。2人で車を降り壁に寄ると壁は電子音と共に開き、武装した2人の兵士が現れた。ここでは生き残った者達が山地という地理的条件に加えて兵士達と広く張り巡らされた防御壁によってK.Vからも守られており、平和が保たれていた。新しい生存者として彼等に迎えられたアナはネヴィルの形見になったカプセルを手渡した。かくして、K.Vの治療薬を開発したネヴィルは、アナの証言にてその功績が明らかとなり、伝説(レジェンド)となった…。
原作:リチャード・マシスン “I Am Legend”(吸血鬼/地球最後の男/アイ・アム・レジェンド ハヤカワ文庫)
脚本マーク・プロトセヴィッチ、アキヴァ・ゴールズマン
撮影:アンドリュー・レスニー
音楽:ジェームズ・ニュートン・ハワード
制作:アキヴァ・ゴールズマン、デヴィッド・ヘイマン、ジェームズ・ラシター、 ニール・H・モリッツ、アーウィン・ストッフ
プロダクションデザイン:ナオミ・ショーハン
衣装デザイン:マイケル・キャプラン
VFX:ソニー・ピクチャーズ・イメージワークス
出演:
ウィル・スミス:ロバート・ネヴィル
サリ・リチャードソン:ゾーイ・ネヴィル
アリーシー・ブラガ:アナ
ダッシュ・ミホク:アルファ・メイル
チャリー・ターハーン:イーサン
エマ・トンプソン:アリス・クルピン博士
2007/米/100min. ☆☆☆☆★
リチャード・マシスンの小説『吸血鬼(地球最後の男)』の3度目の映画化作品で『コンスタンティン』のフランシス・ローレンス監督が、『幸せのちから』でアカデミー賞主演男優賞にノミネートされたウィル・スミスを主演に迎え、人類が殆ど絶滅した近未来を舞台(無人と化したニューヨーク)に、自分以外の生存者を探す科学者が希望と絶望が混在する究極の孤独の中で人類再生の道を模索する使命感に燃える姿を描くSF巨編です。オリジナル版の『地球最後の男』では吸血鬼が集団でゆっくりと歩き、主人公は家に立て籠もる事が多く、それがジョージ・A・ロメロ監督のホラー『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』(1968)に登場したゾンビや舞台設定に大きな影響を与えたと言われています。今作は劇場では2007年12月14日、日米同時公開されました。また、この作品は1990年に『グラディエーター』のリドリー・スコット監督でアーノルド・シュワルツネッガー主演の話もありましたが、制作費が膨大なために断念しています。
SF独特の設定ながら、視聴者は主人公に心から同情し、強く惹き付けられます。そんな大役を見事にこなしたウィル・スミスは言葉を使わずに、表情や体の動きを通して考えや感情の多くを伝えています。もちろん、誰もいない荒廃したニューヨークの風景(荒廃した街のシーンはCGではなく[一部使用も有り]、5番街で200日の区画封鎖撮影を敢行)、そして肉食性の感染者たちとの戦い(殺人ウィルスに感染して凶暴になり、暗闇でしか生きられないダーク・シーカーズの超人的な動き・強さはCG)など緊迫感あふれるアクション・シーンや斬新な視覚効果も満載ですが、本作のもっともパワフルな要素は、主人公の心の動きを細やかに追っているところでしょう。大規模な話を2時間弱に収めてしまっているので、つっこみ所は多々有ります。日本の宣伝では「唯1人生き残った」ウィル・スミスを強調していましたが、それは「元の体のままの人間」という意味で、圧倒的多数の変異した人間たちは、どうやって生きているのか、凶暴な動き以外は何も描かれていません。マシスンの原作では彼らこそが新人類で、それが『猿の惑星』のように最高の皮肉になっています。ウィルの日常生活、孤独や喪失感などは劇中で分かるのですが、表現されてない部分を考えると、無知の部分のあまりの大きさに驚かされます。コンピューターを破壊するだけでライフラインが停滞する時代にガスや電気が使えるのって何故?みたく思うかも知れませんが、この映画のスケールと勢いある展開の前では気にならない人が大多数でしょう。
余談ですが、本作に登場する米軍兵士はすべて現役で、撮影の10か月前にイラクから帰国したばかりだそうです。
2009年、女性科学者アリス・クルピン博士(エマ・トンプソン)が、はしかウィルスを元にガンの治療薬を開発。治療薬は1万9人のガン患者に投与され、全員が助かったかに見えたが、米国陸軍中佐であり科学者のロバート・ネヴィル(ウィル・スミス)は治療薬を投与した者の一部が狂犬病に似た症状で死亡したことに疑問を感じて調査した結果、治療薬が人間を死に至らしめる危険なK.V(クルピン・ウィルス)であることを発見する。そしてニューヨークがK.Vの感染源になったことで大統領はニューヨークの封鎖を決定し、軍を出動させる。ネヴィルの妻子を含む非感染者をニューヨークに設置させた検問所から脱出させ、感染者への隔離処置が始まるが、空軍の戦闘機が封鎖を徹底すべくニューヨークと外部を結ぶ橋をミサイルで破壊した際に、パニック状態に陥った群集の一部が離陸直後のヘリコプターに飛び付き、これによってバランスを失い暴走した機が、ネヴィルの妻子を乗せたヘリコプターに空中衝突し、ネヴィルは妻子を失う。その後、K.Vは空気感染によって世界中へと拡散する。ネヴィルの試算によると世界人口60億人中54億人が死滅。ネヴィルを含む1200万人の免疫保有者と、K.Vの影響で理性や知能と太陽光(紫外線)への耐性を失いつつも、常人を遙かに上回る身体能力を持ち、昼間は地下や建物の中に潜み、太陽の光が消え去ると、いっせいにうごめき出す不気味な影、5億8800万人の生存患者、ダーク・シーカーズだけが生き残った…。
それから3年後の2012年、廃墟と化したニューヨーク。ウイルス感染により、世界人口の60億が絶滅していくなかでネヴィルは3年もの間、シェパードの愛犬サムと共に、動物園から逃げ出したインパラを狩り、公園でトウモロコシを収穫しながらK.Vの研究をしつつ、一日も欠かさず生存者を捜し求めて無線でメッセージを発信し続けていた。最終目標はダーク・シーカーズを人間に戻せる血清の開発であり、そのためにK.Vを投与したマウスや太陽光に晒さないように生け捕りにしたダーク・シーカーズをサンプルにして、実験を繰り返した。だが、部分的に知能が低下し、逆にある程度の知能を有している1人のダーク・シーカーズが放ったK.Vに感染した犬に襲われ、ネヴィルは無事だったが噛まれたサムは治療の甲斐なく感染犬と化し、ネヴィルはやむなく自らの手で絞め殺さなければならなくなった。これに自暴自棄になったネヴィルは夜中に車で街に出かけ、襲い来るダーク・シーカーズを車で次々と轢き殺すが、逆に彼らに車を転倒され、窮地に陥る。だが、ネヴィルが3年間無線で送り続けたメッセージを聞いてやって来たアナとイーサンの親子によって救われる。かくして自分以外の生存者と初めて遭遇したネヴィルであったが、アナがバーモントの山中に寒さでウィルスが死滅したため生存者達が暮らす村があると話したときはそれを信じず、その根拠が神の言葉だという彼女に対して神を否定する発言をした。そして、自分はあくまでK.Vの感染源であるニューヨークで戦うと主張するが、アナの不注意な行動が災いして安全だったはずのネヴィルの家はダーク・シーカーズに突き止められ、襲われてしまう。必死の戦いの末、ネヴィルはアナとイーサンを連れて地下の研究室に逃れ、そこで血清の開発のために捕まえていた女性のダーク・シーカーに回復の兆候があるのを発見する。だが、ダーク・ シーカーズは研究室に入り込み、ネヴィル達を守る強化ガラスのドアを力任せに体当たりで破ろうとする。これに対しネヴィルは「君達を救えるんだ」と叫ぶも、ダーク・ シーカーズは誰1人耳を傾けようとしなかった。何故ならダーク・シーカーズたちにとっては、彼こそが、多くの仲間を誘拐し謎の実験で殺害し続けた敵だったからである。ここに至り、ネヴィルは回復中のダーク・シーカーから採血するとそれを入れたカプセルをアナに手渡し、緊急用の脱出路からイーサンと共に逃がす。そして自らは逃げる親子を守るべく研究室に備えていた手榴弾の安全ピンを抜き、強化ガラスを突き破って襲ってきたダーク・シーカーズに飛び込み、壮絶な自爆を遂げた。
それからしばらくして、バーモント山中の道路を車で進むアナとイーサンは、道路をふさぐ巨大な壁を発見。2人で車を降り壁に寄ると壁は電子音と共に開き、武装した2人の兵士が現れた。ここでは生き残った者達が山地という地理的条件に加えて兵士達と広く張り巡らされた防御壁によってK.Vからも守られており、平和が保たれていた。新しい生存者として彼等に迎えられたアナはネヴィルの形見になったカプセルを手渡した。かくして、K.Vの治療薬を開発したネヴィルは、アナの証言にてその功績が明らかとなり、伝説(レジェンド)となった…。
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