mapio's STREETS OF MOVIE

観た映画の感想とそれから連想したアレコレ(ネタバレ有)。

マーダー・ライド・ショー HOUSE OF 1000 CORPSES

2007年10月07日 | Weblog
監督・脚本: ロブ・ゾンビ
製作: アンディ・グールド
    ダニエル・シリング・ラヴェット 
    ジョエル・ハッチ 
    ロバート・K・ランバート 
製作総指揮: アンドリュー・D・ギヴン
    ガイ・オゼアリー
撮影: アレックス・ポパス
    トム・リッチモンド
音楽: スコット・ハンフリー
    バック・オーウェンズ
    ラモーンズ(ディー・ディー、ジョーイ、ジョニー、トミー)
    ライオネル・リッチー(song "Brick House 2003")
    スリム・ホィットマン(song "I Remember You")
    ロブ・ゾンビ
編集: キャスリン・ヒモフ
    ロバート・K・ランバート
    ショーン・K・ランバート
    ロバート・W・ヘドランド
出演: シッド・ヘイグ: キャプテン・スポールディング
    ビル・モーズリイ: オーティス・ドリフトウッド
    シェリ・ムーン: ベイビー・ファイアフライ
    カレン・ブラック: マザー・ファイアフライ
    クリス・ハードウィック: ジェリー・ゴールドスミス
    ジェニファー・ジョスティン: メアリー・ノウルズ
    エリン・ダニエルズ: デニーズ・ウィリス
    レイン・ウィルソン: ビル・ハドレー
    トム・タウルズ: ジョージ・ワイデル警部補
    ウォルト・ゴギンズ: スティーヴ・ネイシュ
    ロバート・アレン・ミュークス: ルーファス Jr.
    マシュー・マッグローリー: タイニー
    デニス・フィンプル: グランパ・ヒューゴ・ファイアフライ
    ハリソン・ヤング: ドン・ウィリス
    ウィリアム・バセット: ドレイク・ヒューストン保安官
2002/米/89mins. ☆☆☆☆

 殺人鬼一家が巣くう不気味な屋敷におびき寄せられた運の悪い若者たちが、監督の悪趣味全開の残酷でお気の毒な仕打ちをひたすら受ける、B級テイスト満載のホラームービー。監督のロブ・ゾンビは『マトリックス (1999)』『M:I-2(2000)』『 マトリックス リローデッド(2003)』等で楽曲を担当しているように、本来ミュージシャンです。アメコミとホラー映画で育ったロブ・ゾンビは、怪奇テイスト満載のバンド“ホワイト・ゾンビ”としてロック界に登場しました。' The Zombie A Go Go Record Label 'を所有。プロモーション・ビデオでは、監督として映像世界にもホラー要素を打ち出してきたゾンビですが、映画監督と脚本はこの作品が初めてです。苗字が「ゾンビ」だったらこの映画『 マーダー・ライド・ショー 』にピッタリなんて思いそうですが、本名は Robert Cummings だそうです。そんな彼が発表した映画は、毒々しいカーニバル・ネオン、猟奇殺人、フリークス、残虐映像と、悪趣味で強烈なイメージが続々と画面を飾っていきます。熱狂的なホラーマニアでもあるロブ・ゾンビ監督は音楽の面では専門家なので編集技術に関して熟練しており、映像の面でも編集ということでは同様なので手腕を発揮して、この映画『 マーダー・ライド・ショー 』では奇抜な手法を見せています。怖いシーンになると過去のホラー映画からのカットを白黒で一瞬何コマかずつ写すというフラッシュバックを用いています。コメディタッチ・ホラー・エロを交えた懐古風な数々の印象的シーンに、現在の狂った屋敷内の惨状が猛烈に色彩豊かに描かれます。音楽担当で特筆は『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ(2001)』も手掛けたパンク界の大御所ラモーンズ RAMONES です。ベイビー・ファイアフライが、部屋でケラケラ笑いながら人を殺すシーンで、彼らの『NOW I WANNA SNIFF SOME GLUE』が鳴り響いています。このバンドのジョーイ・ラモーンはリンパ腺癌で2001年4月に死亡。ディー・ディー・ラモーンは薬(麻薬?)の摂取し過ぎで2002年6月に亡くなっています。メンバー二人の死後、神格化され始めているラモーンズですが、現役の頃はロジャー・コーマン製作の「ロックンロール・ハイスクール(1979)」に出たり「ペット・セメタリー(1989)」の主題歌を作ったりしてました。他にはライオネル・リッチーなんていう大物も携わっています。
 この作品は『悪魔のいけにえ(1974)THE TEXAS CHAINSAW MASSACRE 』からヒントを得て作った映画です。車の大学生の男女四人が導かれて寄った家は殺人鬼の狂った一家だった。美しいのにトボケて恐ろしいベイビー・ファイアフライ役のシェリ・ムーンはロブ・ゾンビの実生活の恋人です。この映画が2000年に撮影されていたのに、三年間も封切りされなかったのは、一般公開するのに内容が過激という理由で、製作会社のユニバーサル・ピクチャーズが配給に難色を示していたからです。MPAA( Motion Picture Association of America 米国映画協会)で定められているランクが RどころでなくてNC-17になりそうで、ミラマックス Miramax も降りていました。そこで、編集に編集を重ね、Rをもらえるまで何度も作り直し、遂にNC-17 を回避することができたのです。それで配給会社もライオンズ・ゲイトが受けてくれて、ようやく公開への運びとなりました。余談ですが、Rは Restricted(制限あり)の略で、放送禁止用語な4文字言葉の使用、暴力・性交の暗喩を含みます。また、NC-17は No Children under 17(18歳未満の子供は禁止)の略で、明らかに具体的な暴力・性交の描写を含む場合のことです。
 1977年のハロウィン前夜。ユニークな場所を取材し、全米各地を旅していたビルたち2組の若いカップルは、給油のため立ち寄ったガソリンスタンド(フライドチキン販売もしている)に併設されていた「キャプテン・スポールディングのバケモノ博物館」に立ち寄った。その博物館の名物は、全米の有名な大量殺人鬼の犯罪をマネキンで再現した「マーダー・ライド・ショー」という出し物。そこに登場するドクター・サタンの処刑場がすぐ近くにあると聞いて、4人の若者たちは好奇心からその場所に向かう。途中で美人のヒッチハイカーを拾うが、その後車は立ち往生してしまい、ヒッチハイカーの家に避難させてもらうのだったが、そこで4人は見世物ではない身の毛もよだつ恐怖のショーへと引きずりこまれていく。
 クライマックスに地下壕で登場する化け物はヘヴィメタ・バンドのアルバム・ジャケットに出てきそうなルックス(アイアン・メイデンとかメガデスなんかのジャケ絵を想像して下さい)です。最後、デニーズ1人が最後の力を振り絞って、屋敷を脱出し公道まで歩いて出て行きます。疲労困憊、ぼんやり佇む彼女に、ちょうど車が走ってきた。助かった! それは最初に訪れたガソリンスタンドと博物館とが一緒になった店の主、キャプテン・スポールディングの運転する車でした。病院に連れて行って下さいと、か弱く頼む彼女にスポールディングは体を気遣って言う。「ゆっくり眠っていなさい。」The End に「?マーク」がついていたから、この惨劇は終わってはないってことでしょうか。スポールディングは果たして、あの一家とグルだったのか…。
 この『マーダー・ライド・ショー』は、ストーリーよりもキャラクターの奇抜さや独創的な美術、こだわりのある細部のネタを楽しむ作品なので日本では、限られたマーケットでしか受け入れられないかも知れませんが、ハマる人は思いっきりハマってしまうタイプの映画でしょう。実際、続編も作られているので、パート2にも期待します。


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