mapio's STREETS OF MOVIE

観た映画の感想とそれから連想したアレコレ(ネタバレ有)。

感染

2006年07月29日 | Weblog
監督:落合正幸
プロデューサー:一瀬隆重
原案:君塚良一
脚本:落合正幸
撮影:増井初明
視覚効果:松本肇
吉澤一久
編集:深沢佳文
音楽:配島邦明
音楽プロデューサー:慶田次徳
主題歌:奥田美和子 『夢』
特殊造形:松井祐一
美術デザイン: 荒川淳彦
出演: 佐藤浩市:外科医・秋葉清一
高嶋政伸:内科医・魚住晴哉
星野真里:新人看護婦・安積まどか
真木よう子:看護婦・桐野優子
木村多江:看護婦・立花七恵
羽田美智子:精神科医・中園雪乃
モロ師岡:外科医・岸田考
山崎樹範:新人外科医・平田俊一
草村礼子:鏡の老女
南果歩 :婦長・塩崎君江
佐野史郎:赤井潔
2004/日/1h38m  ☆☆☆☆

 日本ホラーを代表する6人の監督が結集してホラー映画を競作する新レーベル“Jホラーシアター”で、鶴田法男監督の「予言」との同時上映によるレーベル第1弾。古びた病院を舞台に、急患によって運び込まれた謎のウィルスに患者ばかりか医師達までが崩壊していく戦慄を描く。監督は「パラサイト・イヴ」「催眠」の落合正幸。
 経営危機に陥り、まともな治療も出来ないまま多くの患者を抱えるとある病院。医薬品や備品も足りない劣悪な環境に、患者ばかりか医者や看護婦の心身も限界に達していた。そんな中、入院患者の一人の容態が急変する。急いで対応に当たる医師の秋葉と魚住だったが、ふとした不注意から患者を死なせてしまう。明らかな医療ミスに動揺し、事故の隠蔽を図る医師たち。そんな混乱する医師たちを尻目に、今度は内臓が溶け始めた急患が運び込まれてくる。しかし、かつてない未知の症状を示す患者に、病院はいかなる対応のすべも持っていなかった…。
 久し振りに洋画のように勢いのある邦画だった。ご都合主義の矛盾はあっても、とにかくテンポがいいので最後まで目が離せなかった(眠くならなかった)。シリーズ化された『リング』や『呪怨』よりもよっぽど面白かった。冒頭からラストまで随所にカットインする、病院を見上げる場所にあるらしい無人の揺れるブランコや、時々登場して何かの伏線かと思わせるキツネ面を持った少年患者など、あれは何だったの?といった不要な演出も多々あるが、佐藤浩市以下個性ある役者の面々が恐(狂)怖に染まった迫真の演技を見せてくれる。きれいな役ばかりでなく、こういった役どころを演じられる人こそ上手い役者だと思う。そこそこのストーリーもあるが「何これ?」と思わされるズルいラストも含め、いいトコ取りだが名作にはなり辛いイタリアンホラー映画風の一篇。でも大抵は期待薄の日本映画としては秀逸の部類。

クレージーモンキー 笑拳  笑拳怪招

2006年07月28日 | Weblog
製作:スー・リーホワ
監督・脚本:ジャッキー・チェン
1979/香港/1h38m ☆☆☆★

1978年の『龍拳』『酔拳』に続き、ジャッキー・チェンが主演してカンフー映画で彼の人気を確固なものにした作品。この作品からジャッキーは監督業にも進出する。清朝末期の広東を舞台に政府から、目立つカラテ流派が次々に弾圧され、その中でも声望高い形意道場は目の仇にされ、門弟たちが清朝からさしむけられた鉄の爪をもつ殺し屋にかき殺されていた。しかし名手、陣鵬飛が生きている限り形意道場復興の可能性は消えない。そんな陳の下で興隆(ジャッキー・チェン)は、哲学と修身とカンフーに専念する若者。陳(実の爺さん)と特訓修業のために山中のあばら家に引っ越して毎日励んでいたが、街でサイコロ博奕に加わったジャッキーは、帰り道で3人のやくざに待ち伏せされるが、見事に返り討ち。逆に彼らから兄貴と慕われる始末。その3人組の紹介で王門道場の用心棒の職をえた。ある日街で陳を眺める爺さんこそが身をやつした陣鵬飛であることを見破った鉄の爪は配下を連れ家まで襲ってきた。そして、病をかかえた爺さんは、あの鉄の爪にかかって殺されてしまう。目の前で殺されるのを見た興隆は、爺さんの旧友の松葉杖の男に特訓を受け、遂に秘技“笑拳"を会得する。これは人間の感情に基づいている喜び、悲しみ、わびしさ等と頭脳とパワーを同時に活用する拳法だ。ある時、特訓から戻ると松葉杖の男がいない。街外れの原っぱで鉄の爪の配下に襲われているのを見つけた興隆はいよいよ特訓の成果を発揮する。普通のカンフーでは鉄の爪には歯が立たない。泣く、笑う、怒るの3段笑拳で、爺さんの仇を討つ為に最後の戦いが始まる…。
ジャッキーの肉体美が堪能出来ます。最近こそストーリー主体の作品が増えたが、この映画はカンフーを、見せる、見せる、見せる。それだけの映画。一朝一夕にあの技・身体は作れません。ブルース・リー亡き後のカンフー映画界に当時24歳の活き活きとしたジャッキーが今後を期待させてくれる作品。
劇中、「お前、日本人に似てる」「なんで?」「物真似が上手いから」というチンピラのやり取りがあり、向こうの日本人に対する感じ方が少し伺えるのも面白かった。

メラニーは行く! SWEET HOME ALABAMA 

2006年07月19日 | Weblog
監督:アンディ・テナント Andy Tennant
脚本:C.ジェイ・コックス C. Jay Cox
音楽:ジョージ・フェントン George Fenton
CAST:
リース・ウィザースプーン Reese Witherspoon....Melanie Smooter
ジョシュ・ルーカス Josh Lucas....Jake Perry
パトリック・デンプシー Patrick Dempsey....Andrew Hennings
キャンディス・バーゲン Candice Bergen....Mayor Kate Hennings
メアリー・ケイ・プレイス Mary Kay Place....Pearl Smooter
フレッド・ウォード Fred Ward....Earl Smooter
ジーン・スマート Jean Smart....Stella Kay Perry
イーサン・エンブリー Ethan Embry....Bobby Ray
2002/米/1h49m ☆☆★

N.Y.でデザイナーとして成功し、女性市長(キャンディス・バーゲン)の息子(パトリック・デンプシー)との結婚も決まったメラニー(リース)。しかし前夫との離婚が成立していないという唯一の問題を解決する為に故郷アラバマに戻るが…。前夫も含めた地元の人々との交流で徐々に気持ちが揺らいでゆく。この映画を観ると、南部の人は自分勝手で自己中な我儘にしか見えない。映画「卒業」的なクライマックスだが納得いかないものが残る。「キューティ・ブロンド」で当たってたリースのハズレ作品な感が否めない。残念。でもサントラはアヴリル・ラヴィーン、シェリル・クロウ、ドリー・パートン他、聴き応えあるものが揃っており一聴の価値有り!?

ブラック・ダイヤモンド CRADLE 2 THE GRAVE

2006年07月01日 | Weblog
監督:アンジェイ・バートコウィアク Andrzej Bartkowiak
製作:ジョエル・シルバー Joel Silver
製作総指揮:レイ・コープランド Ray Copeland
ハーブ・ゲインズ Herb Gains
原案:レジー・ロック・バイスウッド Reggie Rock Bythewood
脚本:ジョン・オブライエン John O'Brien
   チャニング・ギブソン Channing Gibson
撮影:ダリン・オカダ Daryn Okada
編集:デレク・ブレシン Derek Brechin
音楽:ジョン・フリッゼル John Frizzell
   デイモン・“グリース”・ブラックマン Damon 'Grease' Blackman
 
出演:
   DMX DMX(トニー・フェイト)
   ジェット・リー Jet Li(ダンカン・スー)
   マーク・ダカスコス Mark Dacascos(リン)
   アンソニー・アンダーソン Anthony Anderson(トミー)
   ガブリエル・ユニオン Gabrielle Union(ダリア)
   トム・アーノルド Tom Arnold(アーチー)
   ケリー・フー Kelly Hu(ソナ)
2003/米/1h41m  ☆☆☆

 エミネムと主演のDMXの共演ナンバーをBGMに完璧かと思わせる宝石強盗から物語は始まる。強盗グループの黒幕以外にも別の犯罪組織や台湾からの諜報員が、正体不明の“ブラック・ダイヤモンド”を巡って様々な駆け引きと争奪戦を繰り広げる。主演はジェット・リーではなくDMX。だから「ロミオ・マスト・ダイ」同様に監督のアンジェイ・バートコウィアクと製作ジョエル・シルバーはジェット・リーのアクションを最大限は引き出せてはいない。ジェット・リーの映画と思って見ると少々物足りない感があるかも知れない。とはいえジェット・リーが、ビルのベランダを手だけを使って一階ずつ降りていくなど、斬新な見所も随所にある。身体を使った格闘シーンでカメラのカット割りが多いのはスピード感をいかに出すか、という意向だろうが、リーやマーク・ダカスコスの動きまで殺してしまった感がある。
 プロの強盗グループのリーダー、トニーは依頼されてロスの宝石商の金庫破りを実行する。その計画を追跡していた男ダンカン・スーから依頼人の指定した“ブラック・ダイヤモンド”だけは置いていけと言われるが、トニーらはそれを無視してブラック・ダイヤモンドを含めたほとんどの宝石を持ち逃げする。しかし、依頼人は殺され、犯罪組織のボス、リンがトニーの愛娘を誘拐して引き替えにブラック・ダイヤモンドを要求して来る。動揺するトニーに対し、スーが共闘を申し入れてくる…。エンド・ロールも面白いのでクレジットになっても見るのを止めないように。
 蛇足だが、ブラック・ダイヤモンドとは1990年代後半から工業用に使用されていたようなナチュラル・ブラック・ダイヤモンドが前衛的なデザイナーによって無色のダイヤモンドとの組み合わせで利用され始めジュエリー素材として定着してきた。このナチュラル・ブラックの色因は内包するグラファイトや鉄鉱物などの黒色インクルージョンであり、地色そのものが黒いわけではない。そして需要が高まるに連れ、人為的な照射処理による代用品が現れた。これは主に原子炉で中性子線を照射して得られるので、外観はブラックであるが、実際には濃緑色である。だから強い透過光で(青)緑色を呈する特徴があり、劇中でリンが武器商人達にブラック・ダイアモンドを紹介する際に青い光線がキラキラ発せられていたのである。