mapio's STREETS OF MOVIE

観た映画の感想とそれから連想したアレコレ(ネタバレ有)。

グラディエーター Gladiator

2008年04月30日 | Weblog
監督:リドリー・スコット
製作:ダグラス・ウィック
デイヴィッド・フランゾーニ
ブランコ・ラスティグ
原案:デイヴィッド・フランゾーニ
脚本:デイヴィッド・フランゾーニ
ジョン・ローガン
ウィリアム・ニコルソン
撮影:ジョン・マシーソン
音楽:ハンス・ジマー
リサ・ジェラール
美術:アーサー・マックス
編集:ピエトロ・スカラ
衣装(デザイン):ジャンティ・イェーツ
出演:
ラッセル・クロウ:マキシマス
ホアキン・フェニックス:コモドゥス(皇子)
コニー・ニールセン:ルッシラ(皇女:ラテン語的には「ルキラ」)
オリヴァー・リード:プロキシモ(ラニスタ)←遺作となる
リチャード・ハリス:マルクス・アウレリウス
ジャイモン・ハンスゥ:ジュバ(マキシマスと同じ時期にプロキシモに買われた剣闘士仲間):
トーマス・アラナ:クイントゥス(マキシマスの副官)
ラルフ・モーラー:ハーゲン(ゲルマン人の剣闘士)
デレク・ジャコビ:グラックス(元老院議員)
ジョン・シュラプネル:ガイアス(元老院議員)
デービット・スコフィールド:ファルコ(元老院議員)
スペンサー・トリート・クラーク:ルシアス(ルッシラの息子で皇位継承権保持者)
デービッド・ヘミングス:カシウス(ローマの興行師)
トミー・フラナガン:キケロ(マキシマスの執事)

第73回アカデミー賞…作品賞/主演男優賞/衣装デザイン賞/視覚効果賞/音響賞
第58回ゴールデングローブ賞…ドラマ部門作品賞/音楽賞
第54回英国アカデミー賞…ドラマ部門作品賞/撮影賞/プロダクションデザイン賞/編集賞/観客賞
第6回放送映画批評家協会賞
作品賞/主演男優賞/撮影賞/美術賞
第10回MTVムービー・アワード…作品賞
第63回ヨーロッパ映画賞 インターナショナル作品賞 ノミネート
第24回日本アカデミー賞 優秀外国作品賞
第74回キネマ旬報ベスト・テン 外国語映画部門第8位
2000/米/155min. ☆☆☆☆☆

 リドリー・スコット監督が放つ、構想5年、総製作費1億ドルという一大スペクタクル・ドラマです。古代ローマ帝国を舞台に、陰謀に陥れられた英雄であり将軍の死闘をダイナミックに描きます。もともと原案のデビッド・フランゾーニが古代ローマが舞台の物語を作りたいとプロデューサーに相談し、リドリー・スコット監督に白羽の矢が立ちました。 最新のCGIで再現された美しいローマ帝国と迫力溢れるファイト・シーンは観る者を古代ローマ時代へと誘います。それは時として残酷で、狂おしいほど切なく、そして内に秘めた激しい憎しみのぶつかりあいでもあります。巨大コロシアムに響き渡る「殺せ!」という観衆の叫び声、次々と繰り広げられる見るも無惨な殺人ゲーム、このおぞましい競技が実際に紀元80年頃にローマで行われていたと考えるだけで悲痛な思いが隠せません。でも、何より英雄マキシマスの格好良すぎる生き方に惚れ込んでしまうのです。無敵の剣闘士役を演じた、ラッセル・クロウが秀逸です。また、CGで描かれた巨大コロシアムや剣闘シーンの迫力映像も見どころです。グラディエーターとは、古代ローマ帝国時代の大衆への見世物として、巨大コロシアムで人間同士又は猛獣を相手に死ぬまで戦いを強いられた剣闘士のことです。時は西暦180年。巨大コロシアムで戦うグラディエーターの中に、自らの野望しかない皇帝によって愛する妻子を殺され、英雄から奴隷の身におとしいれられたマキシマス将軍がいた。彼は妻子の復讐のために真のグラディエーターとなるべく戦い続けるのであった。真のグラディエターとは?欲望、嫉妬と邪悪な空気が渦巻く中、妻子への愛の信念を貫くマキシマスにラッセル・クロウが扮しています。強さの中に憂いを含む見事な彼の演技によって、戦闘シーンが苦手な女性にもおすすめできます。彼は本作でアカデミー主演男優賞を獲得しました。ラッセル・クロウの日本武士道的な謙虚な将軍の演技と、ホアキン・フェニックスの欲深いが精神的に弱い皇帝の表現が、最高にいかしています。また、リドリー・スコット監督を虜にしたという古代ローマの再現は圧巻。第73回アカデミー賞で5部門受賞(上記参照)しました。<拍手>
 一見、単に「復讐劇」だけと見れば、単なる「娯楽作品」に成るが、そうとは違うと思います。何故、闘技場で2度も殺すチャンスが有りながら殺さなかったか。自分の家族だけの復讐だけなら、その場で殺せば済む筈なのに。それは、きっと家族だけではなく、亡きマルクス皇帝とローマの事を考えての事とすれば理解できます。家族の復習心をおさえてまでも、皇帝が抱いていた真のローマを取り戻す為に最後まで尽くす姿が凄く痛々しいのです。特に、死の瀬戸際まで自らの事よりローマの事を考える姿には涙しました。加えてお薦め出来るのが、この映画の音響&効果音の絶妙なフィーリングの一体感です。この映画がほとんどのシーンには、音楽が流れていて、シーン毎に変わる選曲のセンスが最高です。
 舞台は西暦180年帝政期ローマ、五賢帝の1人マルクス・アウレリウス帝はローマ帝国拡大の最後の仕上げとしてゲルマニア遠征の地にあった。皇帝に絶大な信頼を置かれていた将軍マキシマス(ラッセル・クロウ)は、次期皇帝の任を依頼される。しかしその晩、皇帝は息子コモドゥス(ホアキン・フェニックス)によって暗殺。コモドゥスが新皇帝になった時、マキシマスは処刑の危機に陥り、愛する妻子の命まで奪われてしまう。なんとか生き延びたマキシマスはグラディエーター(剣闘士)となって、復讐の時を待つのだった。
北方軍団の長、将軍マキシマスはゲルマン人の族長に使者を通じて降伏勧告をするが、戻って来たのは斬首され胴体のみが馬に括り付けられた使者であった。マキシマスはゲルマン人に降伏の意思が無いと悟り、全軍に攻撃を命ずる。後方からカタパルトや火矢の援護射撃を受けながら統制の取れた重装歩兵部隊が林の中に陣取るゲルマン人陣地へと殺到し、マキシマスに率いられた騎兵部隊はゲルマン人陣地の背後から急襲した。マキシマスの巧みな用兵術により、ローマ軍は鮮やかな勝利を収める。的確な判断で戦況を把握し、かつ端々の一兵卒に至るまでの絶大な信頼を得ているマキシマスに対しアウレリウスは頼もしさを感じた。だがそれに引き換え、戦場に到着しても陣地の奥に引き篭もっているばかりで兵士たちを労おうとはせずに、雄ウシの生贄を神に捧げる事を申し出る皇子コモドゥスにやるせない思いを感じ、帝国の将来を皇子コモドゥスに託す事の不可を確信するのであった。アウレリウス帝はローマ帝国の現状を危惧し、かつ自分の余命がこの先長くない事を悟っていた。帝国を立て直すには帝政を廃し政治を本来の姿である共 和制に戻す以外にないと考えていた。そして、それが実現するまでの暫定的な処置として全ての権限を将軍マキシマスに託そうとし、これを宣言するために皇子コモドゥス、 皇女ルッシラ、元老院議員ガイアス、ファルコを前線に招いたのであった。だが、マキシマスはこの申し出を辞退し、かつ戦いの恩賞として故郷への一時帰還の許しを申し出るのみであった。このようなマキシマスの態度に対しアウレリウスは益々信頼を深めて行った。マキシマスがアウレリウスの陣屋を離れた後、コモドゥスが父アウレリウスに呼ばれて陣屋を訪れるのだが、父の口よりこの意向を聞いたコモドゥスは激昂した。自分が父の後継者に指名されるとばかり思い込んでいたコモドゥスは、怒りに任せて父を抱擁したまま胸の中で窒息死させてしまう。そしてコモドゥスは自分の過ちに気付くのだが、皇帝の地位への野心に蝕まれていた彼は父アウレリウスの考えが議員たちに伝わるのを怖れ、側近のクゥイントスに命じて「皇帝アウレリウス病没」と発表させた。コモドゥスは早速、父アウレリウスの亡骸の前に肉親であり姉の皇女ルッシラを呼び寄せ、皇帝即位の服従を誓わせる。ルッシラはこの事実を察するが保身のため弟への忠誠を誓う。
コモドゥスはマキシマスにも自分への忠誠を求めるが、余りの事態の急変に彼は皇帝の死に疑問を感じこれを拒否する。コモドゥスはこれを「自分への反逆」とするに託けて、父の意図に反して父を暗殺した事実を知っているであろうマキシマスの口封じの為、側近で近衛兵のクゥイントスに処刑を命じる。陣屋に雪崩れ込んで来たクゥイントスと兵たちを前に一時は大人しく従ったマキシマスだったが、故郷の妻子の元に処刑部隊が送り込まれたと知ると逆上する。ローマ軍陣地の外の深い森の中へ連行され、その場で処刑されるマキシマスだったが、処刑の寸前でマキシマスは兵士を倒し、処刑部隊が妻子を処刑する前に救おうと馬を急がせるのだが、故郷に辿り着いた時には時既に遅く、焼き打ちされて破壊された家の前に柱から吊るされた妻と子の 変わり果てた姿を目にする事になる。
その後、ローマ市民権を剥奪され路傍で行き倒れになっていたマキシマスは、奴隷商人により剣闘士としてラニスタ(剣闘士教官)のプロキシモに売られる。初めは頑なに剣闘士になる事を拒むマキシマスではあったが、生きる為に戦いに臨むようジュバに諭される。やがて地方の円形闘技場でイスパーニャ(=スペイン人)の名で剣闘試合に名を馳せるようになった彼は、卓越した剣技で敵を倒し続けた。前歴が北方方面軍司令官(将軍)であったという事も剣闘士仲間の間に知れ渡る様になる。しかしながら、マキシマスの鮮やかではあるが面白味に乏しい闘技のやり方にプロキシモ(プロキシモ自身も元剣闘士で、アウレリウス帝に自由を与えられた過去を持つ)は喜ばず、「自由になりたければ、自分のように観衆を喜ばす術を会得せよ」と忠告する。
その一方、帝位に就いたコモドゥスはローマに凱旋将軍さながら帰還するが、市民の反応は冷やかなものであった。この状況を打開するために彼は、先帝アウレリウスが禁止したローマのコロセウムでの剣闘試合を復活させ、結果的にその事によって民衆の支持を得る事に成功する。噂を聞き付け、もう一旗揚げようと剣闘士を引き連れてローマに乗り込んだプロキシモであったが、当てがわれたのは<一方的な殺戮を受ける事が前提の試合>であった。彼はそのような試合に選り選りの剣闘士を出場させる事は出来ないと興行師のカシウスに抗議するが受け入れられなかった。
試合は第二次ポエニ戦争のザマの戦いを模したもので、ハンニバル率いるカルタゴ軍を演じるプロキシモの剣闘士達は、スキピオ・アフリカヌス軍団を演じるチャリオットに乗ったローマ軍正規兵と思われる兵士たちに射られて嬲り殺しに遭い、ローマの勝利の再現に観客たちが喜ぶという筋書きであった。
ところが蓋を開けてみると、マキシマスが将軍と呼ばれた頃の用兵術を彷彿とさせるかの様に幾多の剣闘を潜り抜けて来た剣闘士たち(この中には嘗ての マキシマスの部下のローマ兵で、ゲルマニアでの苦難を共にしながらも剣闘士に身を落とした部下も混じっていた)を指揮し、密集隊形を組ませて攻撃を楯で受け止め、相手の混乱に乗じて反撃する戦術が功を奏し、結果は予想(史実に沿った筋書き)に反して、プロキシモ側の完全勝利となった。
新皇帝コモドゥスは、顔面を覆う形状の兜を被り、観衆からイスパーニャと呼ばれている男がかつてのマキシマスである事は知る由もなく、彼の卓越した指揮と武勇を賞賛し、自ら闘技場へ降りて行き声を掛けようとした。折れた鏃を隠し持ちその場で皇帝暗殺を企てるマキシマスであったが、近づいてくるコモドゥスの傍らに皇子ルシアスがいるのを見て諦めざるを得なかった。皇帝から名を名乗るよう声を掛けられたイスパーニャことマキシマスは「名も無き剣闘士」とのみ答え、皇帝に背を向け競技場を去ろうとしたが、コモドゥスはこれを非礼と解して激怒し、再び名乗りを上げるよう声を荒げた。それに対しマキシマスはゆっくりとマスクを外して振り返って名を名乗り、更に家族を殺され身分を剥奪されて殺されそうになった恨みを必ず晴らすと伝える。マキシマスの姿を目前にしながら彼は声を上げる事も出来なかった。皇帝の顔色を伺い剣闘士たちを取り囲む親衛隊の間に緊張が走ったが、剣闘士たちがマキシマスの周りを取り囲むように立ったのと同時に観衆の中から「生かせ!」コールが何処からとも無く上がり、その声は闘技場を埋め尽くした。生殺与奪の権限は皇帝にあったが、喚声と親指を立てた拳を上向きに振る(これは剣闘士の助命を求めるサインである。言うまでも無く、下向きは殺す事を示す)動きが沸き起こり、皇帝は彼をその 場で殺す事は諦めざるを得なかった。
皇帝といえども民衆の声に逆らう事は出来なかったのである。親衛隊の兵士も嘗ての英雄に対し尊敬の念を表情から隠すことはできなかった。マキシマスたちは闘技場を後にし、闘技場には鳴り響く民衆の歓喜の声と皇帝の引き攣った形相がそれを見送った。コンモドゥスはマキシマスを抹殺を諦めた訳ではなかった。しかし、民衆に人気が高いマキシマスを抹殺するのに暗殺は出来無い。暗殺は確実ではあるがアンフェアな手段であり、状況として皇帝の信用失墜の恐れがあった。よって、あくまでも民衆の目の前でフェアな状態においてマキシマスに死を与えるしかなかった。そこでコンモドゥスは一計を案じた。それは既に引退していた伝説の剣闘士ガイアのテグネスを再び呼び戻し、マキシマスと戦わせる事であった。ただ単に戦わせるだけでなく、闘技場にはマキシマス抹殺の恐るべき仕掛けが施されていた。それは闘技場の下に獰猛なトラを隠しておき、テグネスとの戦闘の最中に トラを出してマキシマスに向かって放つ事(トラは鎖で繋がれており、その鎖を引っ張って制御する従者たちは、マキシマスが近づいた時だけ力を緩めて襲わせ る)であった。よってマキシマスは、「前はテグネス、後ろはトラ」の二方を相手に戦わなくてはいけなくなった。戦いは終始テグネス有利に運び、マキシマスは跳び掛かって来るトラをかわしつつテグネスと闘っていた。やがてトラに跳び付かれてしまい絶体絶命の窮地に立たされるが、トラの咽喉をグラディウスで貫く。瀕死のトラがマキシマスに覆い被さり、マキシマスは動きが取れなくなる。そこへテグネスが襲い掛かって来る。マキシマスは地面に転がりながらもテグネスの二丁の戦斧を何合かかわすが剣を踏まれてしまい、攻撃も防御も出来なくなる。テグネスは止めを刺そうと近寄って来ていた。振り向くとそこにはテグネスが落とした一丁の戦斧が転がってあり、マキシマスは咄嗟にそれを掴むとテグネスの足の甲に向かって振り落ろした。テグネスは戦斧の尖った側(斧の刃と反対 側)で地面に釘付けになった形になり、絶叫してもんどりうって転がった。それをみてゆっくりと起き上がったマキシマスは、戦斧を抜いてやりテグネスの顔を 隠していた鉄製の面当てを戦斧で押し上げた。「殺せ」とテグネスは呟き、それを聞いたマキシマスは戦斧を高々と振り被ったが、親指を下に向けテグネスに止めを刺す事を求める観衆の声に耳を傾けながら、コモドゥスも同様に拳でテグネスを殺すように合図しているのを遠目に確認した。しかし、マキシマスは戦斧を遠くに放り投げて、それを拒否したのであった。その様子を見た観衆は、残忍な皇帝とは正反対の彼の寛容な態度に感じ入って、更なる賞賛の声を彼に送っ た。
親衛隊と共に闘技場に降りて来たコモドゥスはマキシマスに対し、彼の妻と息子の死に様を辛辣に蔑む事で彼を挑発して見せた。これは観衆の面前で自分に歯向かわせ、それを口実に周囲を取り囲んだ親衛隊に彼を殺させる罠である。しかし、この死に様については考えられない内容である事とこれはコモドゥスの挑発であると、マキシマスは看破した。マキシマスは冷静にこれに応え、皇帝の栄光が長くは続かないであろう事を伝え、最後に「殿下」と敬称で呼び捨てて挑発しておいて、静かに目礼し闘技場を後にするのであった。
マキシマスと再会したルッシラは元老院内部の反コモドゥス派を手引きし、かつてマキシマスに執事として仕えていたキケロを連絡係にしてコモドゥス失脚の計画を練る。しかし、ルッシラ達の反乱計画はコンモドゥスに事前に漏れてしまい、反抗勢力はマキシマスも含めて一網打尽にされてしまう。捕らえられたマキシマスは剣闘士として皇帝自身との一騎打ちの場を与えられるが、これはコモドゥスが巧みに考えた陰謀で、観客の前で合法的にマキシマス抹殺を図ると同時に、皇帝の権威を高めようとする計略であった。武力に自信のあるコモドゥスではあったが、歴戦の勇士マキシマスが相手では容易には勝てないと考 え、直接対決直前に四肢を拘束されたマキシマスと面会し、抱擁すると見せ掛けて短刀で背中に深い傷を負わせるハンディを与えた。試合は始まり傷口からの失血で意識が遠のくマキシマスをコモドゥスは容赦なく痛めつけるが、マキシマスは渾身の力を振り絞って反撃に出る。互いに剣を飛ばし合って素手になった2人は、文字通りの「拳闘」で決着を付ける事になるが、どこまでも卑怯なコンモドゥスは脛当ての中から短刀を取り出し、マキシマスを否が応でも殺そうと挑みかかる。しかし、コモドゥスの短刀の突きを間一髪でかわしたマキシマスはコモドゥスの短刀を持った腕を逆手にとり、咽喉元へと突き刺して止めを刺し、 何とかコモドゥスを倒す。だが、既にマキシマスの体力は限界に達していた。彼は余力を振り絞って、投獄されている仲間を釈放するようかつての同僚であり、 決闘の見届け人でその場に居合わせていたクゥイントスに命じると力無く倒れる。闘技場の中央で仰向けに横たわるマキシマスに駆け寄るルッシラは英雄マキシマスを讃え、「命を捧げるだけの価値があるローマ」を創らねばならないと大衆に呼びかける。そしてマキシマスの骸は、彼を讃える人々の手によって静かに闘 技場から担ぎ出されて行った…。

パーフェクト・ストレンジャー PERFECT STRANGER

2008年04月25日 | Weblog
監督: ジェームズ・フォーリー
脚本: トッド・コマーニキ
原案: ジョン・ボーケンキャンプ
製作: エレイン・ゴールドスミス=トーマス
製作総指揮: ロナルド・M・ボズマン、デボラ・シンドラー、チャールズ・ニューワース
撮影監督: アナスタス・N・ミコス
美術: ビル・グルーム
編集: クリストファー・テレフセン
音楽: アントニオ・ピント
キャスティング: トッド・セイラー
共同製作: ステファニー・ステファニー・ラングホフ、ダニエル・A・トーマス
音楽スーパーバイザー: デニス・ルイソ
衣装: レネー・アーリッヒ・カルフス
出演:
ハル・ベリー(ロウィーナ・プライス:元敏腕新聞記者)
ブルース・ウィリス(ハリソン・ヒル:大手広告代理店社長)
ジョヴァンニ・リビシ(マイルズ・ヘイリー:ロウィーナの元同僚、天才ハッカー)
ゲイリー・ドゥーダン(キャメロン:ロウィーナの恋人(?)グレースの元恋人)
ポーラ・ミランダ(ミア・ヒル:ハリソンの猜疑心の強い妻)
ダニエラ・ヴァン・グラス(ジョージィ:ハリソンの秘書「歩く記憶装置」と呼ばれるサイボーグのように忠実な大女)
ニッキー・エイコックス(グレース:ロウィーナの幼なじみ)
リチャード・ポートナウ(ナーロン)
パティ・ダーバンヴィル(エスメラルダ)
クレア・ルイス(ジーナ)
2007/米/110min. ☆☆☆☆

 インターネットをはじめ、様々なコミュニケーション手段が発達した現代において円滑なコミュニケーションを保つには、誰もが何かしらの秘密を持っており、誰もがダークサイドを隠して生きている、そんな現代社会の問題点に注目して、サスペンスへと仕上げたのがこの作品です。ニューヨーク郊外で女性の変死体が発見された事件をきっかけに、被害者の幼馴染みの女性記者が事件の渦中にはまっていくスリラー。監督は『コンフィデンス』のジェームズ・フォーリー。ヒロインの女性記者を『チョコレート』のハル・ベリーが、事件に関わる大富豪を『ダイ・ハード4.0』のブルース・ウィリスが演じます。甘い言葉を囁きまくる彼の演技もなかなか新鮮です。この映画はハル・ベリーとブルース・ウィリスの初共演が1つの売りですが、そのウェイトは4:1くらいで圧倒的にハル・ベリーが上です。要はブルース・ウィリスは刺身のツマ程度の共演で、ほとんどハル・ベリーの単独主演映画という感じです。犯人は大きな秘密を隠したまま“パーフェクト・ストレンジャー”(完璧な別人)となり、スクリーンに現れます。それが誰なのかを探す映画ではないですが、終わりかと思われた辺りから(ラスト7分11秒)明らかになっていく事件の真相は必見です。最後には驚きと共に、人間を信頼することが難しくなった現代の悲哀が感じられるかも知れません。

 半年かけて上院議員のスキャンダル(同性愛)の決定的証拠を入手、同僚マイルズ(オタクなコンピュータのエキスパート)と祝杯をあげるも、上層部の圧力でボツとなり納得できずに会社を辞めた元新聞記者のロウィーナ(ハル・ベリー)。彼女はある夜、幼馴染のグレース(ニッキー・エイコックス)からオンライン・ チャットを通じて知り合い&不倫関係に陥るも、早々とグレースを捨てた、広告代理店のCEOにして大富豪のハリソン・ヒル(ブルース・ウィリス)の話を聞いた。その数日後、グレースは変死体となって発見されてしまう。死の真相がハリソンの口封じではないかと疑ったロウィーナは、大スクープを得るべく独自の調査を開始。元同僚のマイルズの力を再び借り、ロウィーナはキャサリン・ポーグと名前を変えて、派遣社員としてハリソン・ヒル社に入り込むことに成功する。ロウィーナはどんな会社にも居そうな情報通でおしゃべり好きな女性社員から流される情報と、直接ハリソンと交わすようになったチャットによって、表に見える成功者の顔に隠されたハリソンの裏の顔に徐々に迫っていく。ハリソンは、いわゆる大企業のムコ養子。要はハリソン・ヒル社の事実上のオーナーは、美しいが異常に嫉妬深い妻ミア (ポーラ・ミランダ)の父親だから、離婚されたら今のハリソンの地位はパー。もっとも、彼は世間によくあるバカ社長ではなく、仕事はよくできそうな切れ者で、彼が女好きで浮気話が絶えず、過去何人も愛人がいたことをよく知っていた妻のミアは亭主にこれ以上浮気をさせないように、最近「歩く記憶装置」と呼ばれるサイボーグのように忠実な大女ジョージィ(ダニエラ・ヴァン・グラス:アルマーニ・ジーンズやマックスファクターのモデ ル時代を経て女優になった彼女は一見、ミラ・ジョボビッチを連想させるが生まれはアムステルダム)を、ハリソンの秘書としてつけていた。そんな中、後半に入って突然登場するのが、ロウィーナの恋人のキャメロン(ゲイリー・ドゥーダン)。それまで全くアナウンスされていなかったキャメロンが、後半に至って突然ロウィーナの部屋を訪れ、熱い抱擁とキスを交わしているシーンを見ると「なぜ、今頃・・・」と思ってしまう。しかも、そこにマイルズからの電話が入り、2人の熱い雰囲気を察したマイルズが重大なキャメロンの秘密情報をロウィーナに伝えたため、ロウィーナは突然キャメロンに対してぶちキレル。
 つまり、人は誰でも、あなたにも人に知られたくない秘密があるのは当然。殺されたグレースにはどんな秘密が?そして、ハリソンにはどんな秘密が?さらに、一見ロウィーナの補助役に徹しているように見えるマイルズや、 ロウィーナの恋人キャメロンだって、その本人に注目してみれば、あんなこんなの秘密があるはず?すると、この映画で活躍をするロウィーナだって秘密が…。「結末は決して誰にも言わないで下さい」と宣伝にあったので、この映画のクライマックスは忘れたらまた観ます。
 

ホステル  HOSTEL

2008年04月12日 | Weblog
監督:イーライ・ロス
製作:イーライ・ロス
クリス・ブリッグス
マイク・フレイス
製作総指揮:クエンティン・タランティーノ
スコット・スピーゲル
ボアズ・イェーキン
脚本:イーライ・ロス
撮影:ミラン・チャディマ
特殊メイク:グレゴリー・ニコテロ
ハワード・バーガー
プロダクションデザイン:フランコ=ジャコモ・カルボーネ
衣装デザイン:フランコ=ジャコモ・カルボーネ
編集:ジョージ・フォルシー・Jr
音楽:ネイサン・バー
出演:ジェイ・ヘルナンデス(パクストン)
デレク・リチャードソン(ジョッシュ)
エイゾール・グジョンソン(オリー)
バルバラ・ネデルヤコーヴァ(ナタリーア)
ヤナ・カデラブコーヴァ(スベトラニャ)
ヤン・ヴラサーク(オランダ人ビジネスマン)
リック・ホフマン(アメリカ人ビジネスマン)
三池崇史
(特別出演)ジェニファー・リム(加奈)
2005/米/93min. ☆☆☆★

 壮絶な残酷描写が話題を集めたクエンティン・タランティーノ製作総指揮による全米ヒット(公開時『キングコング』や『ナルニア物語』を抜いていきなり全米TOPを記録!とはいえ2週目には1位から転落。)のスプラッター・ホラーです。淫らな欲望を満たそうとヨーロッパを旅する若者らが、想像を絶する恐怖に直面します。監督は「キャビン・フィーバー」のイーライ・ロス。また、ロス監督たっての希望で「クローズZERO」の三池崇史監督の特別出演も実現しました。近年話題になったホラー作品と言えば、『ソウ』を思い出しますが、その作品設定が非現実的で突っ込みどころ満載に対して、この『ホステル』の設定は、現実味を帯びた“あっても不思議ではない。もしかして存在するかも知れない”と言うリアリティさゆえに、いつまでも消えない変な余韻に満ちた作品です。
 美しい町並みの裏に隠された恐ろしいほどの地下社会の現実。もし舞台設定がアメリカでしたら、これほど惹き付ける事は無かったでしょう。でも舞台が旧東ヨーロッパであり、今だベールに閉ざされた社会主義国では、我々が想像出来ない何かが存在しても決して不思議ではありません。入国にもビザが必要だし、強制両替えなどがあり、西の国々とは違い行動は抑制され思うままにはならない部分が多くあります。そしてマフィアが勢力を伸ばし、裏社会を牛耳っているのも事実です。国家公務員である一般市民は、賃金だけでは西側諸国の物品を買うこともままならない状況で、マフィアにちょっとした手引きをしたり、見て見ぬ振りをすれば、いとも簡単に大金を手にすることが出来るのです。このような仕組みの国家だからこそ、どのような犯罪が行われていようが表舞台に引き出される危険性は少なく、暗黙の了解として成り立っていても不思議ではないのです。
 この映画の舞台は、そんな国のとある美しい町に秘密裏に存在する『拷問・殺人クラブ』です。会員は、さまざまな国の裕福な実力者が連なっています。監督のイーライ・ロスは、1万ドルで拷問殺人が出来るというタイのサイト広告を見て、この映画を思いついたそうです。拷問された若者達の絶叫シーンが妙に生々しく、この作品で使われた血液520リットルというのも類を見ないものです。更に数々の拷問用具。それらを見ているだけで、それらがシーンで使われなくとも、想像してしまうのです。本当に悪夢を見ているようです。被害者に日本人女性も登場するのもミソですが、おかしな日本語を話すので、我々日本人からすると苦笑してしまうかも知れません。この映画最大の特徴は、加害者サイドの情報を極力押さえ、被害者サイドの視点で描いているので、観客は映画の中の被害者とある意味一体化して恐怖を体現してしまうところでしょう。そしてもうひとつ忘れてはならないのが、大人の殺人者以上に恐ろしい無垢な(?)子供達の存在です。忽然と集団で姿を現し、盗みたかりはもちろんのこと、暴行・殺人もいとも簡単にやってのけるマフィア予備軍なのです。表情のない子供達の顔を見ていると、大人の殺人者以上に狂気を感じ、薄ら寒いものを感じます。
 バックパッカーをしながらヨーロッパ各地を旅行しているアメリカ人大学生パクストンとジョッシュ。道中出会ったアイスランド人オリーも加わり、刺激を求める3人の旅は次第に過激さを増していく。そんな彼らはオランダのアムステルダムに滞在中、アレックスという若者から、スロバキアのブラティスラヴァに男たちの求める快楽をすべて提供するパラダイスのような“ホステル”があるという情報を入手する。さっそくそこへ向かった3人は、噂のホステルにチェックインするとすぐ、相部屋の魅力的なナタリーアとスベトラニャに期待以上の対応で迎えられ、夢心地のひとときを過ごす。彼女達と深夜まで遊び歩き、翌日目が覚めると、バーで知り合った女性と一緒に帰ってきたはずのオリーがいない。フロントで聞くと朝早く彼はチェックアウトしたという。何も言わずにチエックアウト?何かあったのだろうかと心配するパクストンとジョシュだったが、やがてジョシュも消えパクストンだけが一人残された。
必死に彼らの行方を探すパクストン。彼らの行方を突き止め、そこで目撃したものは、想像を絶する死の拷問の世界だった。やがてパクストンはすべてが仕組まれた罠だったと気付くが、それはあまりにも遅すぎた。彼もジョシュやオリと同様捕われ、得たいの知れない男の餌食になろうとしていた。果たして、彼はこの悪魔のような場所から脱出することが出来るのか…。

ローグ アサシン War / ROGUE ASSASSIN

2008年04月08日 | Weblog
監督:フィリップ・G・アトウェル
製作:スティーヴ・チャスマン
    クリストファー・ペツェル
    ジム・トンプソン
脚本:リー・アンソニー・スミス
    グレゴリー・J・ブラッドリー
音楽:ブライアン・タイラー『ワイルドスピード×3 TOKYO DRIFT』
アクション演出:コーリー・ユエン『トランスポーター』『Xメン』
撮影監督:ピエール・モレル『トランスポーター』『ダニー・ザ・ドッグ』『アルティメット』(監督)
編集:スコット・リクター
出演:
ジェット・リー(ローグ/ヴィクター・ショウ)『ダニー・ザ・ドッグ』
ジェイソン・ステイサム(ジョン・クロフォード)『トランスポーター』シリーズ
ジョン・ローン(リー・チャン)『ラッシュアワー2』
デヴォン青木(キラ)『ワイルド・スピードX2』
ルイス・ガスマン(ベニー)『トラフィック』
石橋凌(シロー・ヤナガワ)『犯人に告ぐ』
ケイン・コスギ(ヤクザ)『ゴジラ FINAL WARS』
テリー・チェン(トム・ローン)『スネーク・フライト』
2007/米/103min. ☆☆☆☆
 今、最もキレのあるバトル・アクションを繰り広げている『トランスポーター』のジェイスン・ステイサムと『HERO』のジェット・リー夢の競演がついに実現しました。全米では"WAR"(国際タイトルは"ROGUE ASSASSIN")として公開し、日本では邦題を『ローグ アサシン』として公開。エミネムや50セントのミュージックビデオを手がけるフィリップ・G・アトウェルが長編映画初監督に挑戦し、リアルな格闘シーン満載の作品に仕上げました。そして緊迫のサスペンスを彩る脇役陣には『ラスト・エンペラー』のジョン・ローン、『シン・シティ』のデヴォン青木、『トラフィック』のルイス・ガスマンなどの演技派が集結。日本からは『THE JUON/呪怨』の石橋凌、『D.O.A.』のケイン・コスギが参加して謎に彩られた究極のバトル・シーンを展開します。アメリカで暗躍するアジア系裏社会組織に雇われた殺し屋にジェット・リーが扮し、FBIのジェイソン・ステイサムと壮絶な闘いを繰り広げます。殺し屋の真の目的が明かされる驚愕のラストも見逃せません。
 FBIアジア系組織犯罪捜査科のクロフォード(ジェイソン・ステイサム)とトムは悪名高い伝説のコロし屋ローグを追い詰め銃撃する。しかし数日後、トムと彼の家族は“幽霊”と称される殺し屋のローグ(ジェット・リー)に惨殺され、トムの家は焼け落ちる…。三年後、クロフォードの宿敵ローグがサンフランシスコのヤクザ街に姿を現し、チャイニーズ・マフィアと日本のヤクザの抗争を複雑にかき回して激化させる。伝説の殺し屋‘ローグ’とは何者なのか。
 ジェイソン・ステイサムとジェット・リーの競演とおかしな日本描写が満載と言うことで楽しく観れます。欲を言うならリーとジェイソン二人の絡みがもっと有っても良かったし、銃撃戦などよりも体技を駆使した格闘戦をもっと増やして欲しかったです。それとケイン・コスギの扱いが少し可愛そうでした。完全に脇役で、役名が“ヤクザ”って…。リーとのバトルも有るには有るけど他の子分より格闘技ができる程度という設定で良い所も無くあっさり負けちゃいます。ケインが輝いていたのは前半で石橋凌と刀で稽古してるところ位かな。デヴォン青木は石橋凌の娘役で“姉御”だそうです。これって彼女じゃなくてもいい気がします。彼女のキャリアの割に出番も少ないし重要性もそれ程無かったので。ただ、ラストでのローグの正体はビックリします。前半ではローグの顔は全然見せなかったし、彼の素顔が見えるようになってからは何かクロフォードの相棒役テリー・チェンとその家族を惨殺した本人とは思えませんでしたが。ヤクザ達に何らかの恨みを持っていた彼が二つの勢力を利用して共倒れにさせて個人のリベンジを果たそうとしていたように見えていたので、それなりの推測は立ったんですが。
 ヤクザや日本にたいする描き方は相変わらず笑いを振りまいてくれてます。今では日本の映画もアメリカで公開されているのに未だにおかしな日本で笑いを取ろうとするのは「古くさい」と思います。ジャパニーズ・ヤクザが使う武器が日本刀ではなく中国の京劇小道具だったり、日本語が変だったりもします。場違いな四文字熟語の屏風や垂れ幕など、石橋凌は日本ではヤクザ映画等に出演してるのだから、これは違うよとか指摘すればいいのに、今後のためにおとなしくしてたのでしょうか。でも私は最後に驚いたから楽しめました。