mapio's STREETS OF MOVIE

観た映画の感想とそれから連想したアレコレ(ネタバレ有)。

トゥームレイダー2 LARA CROFT TOMB RAIDER…

2007年01月13日 | Weblog
“LARA CROFT TOMB RAIDER: THE CRADLE OF LIFE ”
監督:ヤン・デ・ボン
製作:ローレンス・ゴードン
    ロイド・レヴィン
製作総指揮:ジェレミー・ヒース=スミス
原案:スティーヴン・E・デ・スーザ
    ジェームズ・V・ハート
脚本:ディーン・ジョーガリス
編集:マイケル・カーン
音楽:クレイグ・アームストロング
出演:アンジェリーナ・ジョリー (ララ・クロフト)
ジェラルド・バトラー (テリー・シェリダン)
クリス・バリー (ヒラリー)
ノア・テイラー (ブライス)
シアラン・ハインズ (ジョナサン・ライス博士)
ジャイモン・フンスー (コーサ)
ティル・シュヴァイガー (ショーン)
サイモン・ヤム (チェン・ロー)
テレンス・イン (ジェン)
ダニエル・カルタジローン
2003/米/1h57m  ☆☆☆☆★

 2001年、アンジェリーナ・ジョリーを主演に人気ゲーム・キャラクター、ララ・クロフトの活躍を描いて大ヒットしたアクション・アドベンチャーの第2弾です。抜群のプロポーションとずば抜けた体力、美と知性を備えたスーパー・ヒロイン、ララの今回のターゲットは、人類に壊滅的な災厄をもたらすギリシャ神話伝説の遺物<パンドラの箱>。その箱を狙う悪の組織の野望を阻止し、箱を見つけて封印するために世界中を飛び回ります。監督は「スピード」のヤン・デ・ボン。
 今回も、ララは水上でのアクロバティックなジェット・スキーから、棒術に馬術、射撃にスカイ・ダイビングまで、あらゆるスポーツを華麗に披露し、目を楽しませてくれます。重みとスピード感に満ちた映像を演出したのは、ヤン・デ・ボン監督。人類起源の地と呼ばれる秘境の謎、元恋人のテリーとの駆け引きなど、ドラマとアクションを綿密に積み重ね、まさに007とインディ・ジョーンズを足したようなスリルと興奮のストーリーを展開してくれます。
 ある日、ギリシャのサントリーニ島で発生した大地震の影響で、地中海の海底に埋没していたアレキサンダー大王の“月の神殿”が2300年ぶりに姿を現した。いち早く神殿を捜索したトレジャー・ハンター、ララ・クロフトは、アレクサンダー大王像の胸に埋め込まれたメダリオンと鉄の檻に収められた黄金の珠を発見するが、突然現われた一味の襲撃にあい、メダリオンと珠を奪取されてしまう。その盗まれた珠には人類にあらゆる災いをもたらすと伝えられる<パンドラの箱>の所在が示されていた。犯人は、世界にバイオ兵器を売りさばくジョナサン・ ライス。彼らの正体とその陰謀を知ったララは、かつて恋人だった傭兵テリーの協力を仰ぎ、珠の追跡に乗り出す。
 素直に楽しめるノン・ストップ・エンターテインメントです。アンジェリーナ・ジョリー出演作では、これが一番アクティブな作品だと思います。ただ初めて見た人には、ララ・クロフトの超が付くほど壮大で豪華な屋敷など説明が足りなく、分かり辛いかも知れません。

トランスポーター2 Le Transporteur II

2007年01月08日 | Weblog
監督:ルイ・レテリエ
製作:リュック・ベッソン
   スティーヴ・チャスマン
製作総指揮:テリー・ミラー
脚本:リュック・ベッソン
   ロバート・マーク・ケイメン
撮影:ミッチェル・アムンドセン
プロダクションデザイン:ジョン・マーク・ハリントン
衣装デザイン:ボビー・リード
編集:クリスティーン・ルーカス=ナヴァロ
   ヴァンサン・タベロン
音楽:アレクサンドル・アザリア
武術指導:コリー・ユン

出演:ジェイソン・ステイサム(フランク・マーティン)
アレッサンドロ・ガスマン(ジャンニ・チェリニ)
アンバー・ヴァレッタ(オードリー・ビリングス)
ケイト・ノタ(ローラ)
マシュー・モディーン(ジェファーソン・ビリングス)
ジェイソン・フレミング
キース・デヴィッド
ハンター・クラリー
シャノン・ブリッグス
フランソワ・ベルレアン(タルコーニ警部)
2005/仏=米/1h28mins.  ☆☆☆☆

 いかなる依頼品でもクライアントの注文通りに届けるトランスポーター(プロの運び屋)の活躍を描いたシリーズ第2弾。監督は前作に引き続き、「ダニー・ザ・ドッグ」のルイ・レテリエが務め、クールでスタイリッシュなジェイソン・ステイサムのアクションが冴え渡ります。今回は前回よりも更に派手なカーアクションと、前作に引き続き、コーリー・ユン(「ロミオ・マスト・ダイ」や「キス・オブ・ザ・ドラゴン」など)の振付けによるスタントマンいらずのジェイソン・ステイサムが体当たりで見せる格闘シーンが休みなく登場し、興奮すること間違いなしです。
 ブラックスーツに身を包み、ドイツ製の黒い大型セダン(前回はメルセデス、今回はアウディ)を自在に駆る、クールで何よりも“ルール”を守る運び屋フランク・マーティン(J・ ステイサム)。最近の彼は、危険な仕事から足を洗い、コート・ダ・ジュールからアメリカのマイアミへと移って、裕福なビリングス家の6歳になる一人息子ジャックの送り迎えという仕事をしていた。徐々にジャックやその美しい母と、心を通わせつつあった彼は、平凡ながらもこの仕事を大いに気に入っていた。そんな矢先、冷徹な女殺し屋を連れた連中にジャックを誘拐される。ジャックと引き割かれる間際、フランクは“必ず助け出す”と固く約束したのだった。敵役のジャンニはどうも武道の達人らしくはじめに白の防具に身を包み、数人の相手と対決して次々倒していく剣道みたいなシーンが出てくるが、後半それが特に生かされてないので残念です。 
 前作にも出たタルコーニ警部が休暇でフランスからやってくるのだが、その台詞の良さは前作を見てないと分からない所もあるので、1作目を観てからが、お勧めです。

トランスポーター LE TRANSPORTEUR

2007年01月03日 | Weblog
監督:Louis Leterrier ルイ・レテリエ
製作:Luc Besson リュック・ベッソン
製作総指揮:Steve Chasman スティーヴ・チャスマン
脚本:Luc Besson リュック・ベッソン
    Robert Mark Kamen ロバート・マーク・ケイメン
撮影:Pierre Morel ピエール・モレル
音楽:Stanley Clarke スタンリー・クラーク
美術:Hugues Tissandier ユーグ・ティサンディエ
キャスト(役名):
Jason Statham ジェイソン・ステイサム(Franck Martin)
Shu Qi 舒淇 スー・チー(Lai)
Matt Schulze マット・シュルツ(Wall Street)
Francois Berleand フランソワ・ベルレアン(Tarconi)
Ric Young リック・ヤング(Mr. Kwai)
2002/仏=米/1h33m.   ☆☆☆☆

 リュック・ベッソン製作・脚本のサスペンス・アクション。どんな依頼品も正確に目的地まで届けるプロの運び屋とその依頼品である一人の女が、追っ手との壮絶な闘いを繰り広げる姿を描きます。監督は本作で劇場映画デビューしたルイ・レテリエと「ロミオ・マスト・ダイ」で武道指導に携わったコリー・ユン。主演は「ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ」や「スナッチ」でお馴染み、元水泳飛び込みのトップアスリートだった英国人ジェイソン・ステイサムとアジアを代表する女優スー・チー(喜多島舞似!?)。
 南仏に暮らすフランクはプロの運び屋。“契約厳守”“名前は聞かない”“依頼品は開けない”という3つのルールの下、高額な報酬と引き換えにワケありの依頼品であろうが正確に目的地まで運ぶ。この日も依頼品である3人の強盗犯を愛車BMWに乗せ、追走する警察を見事に振り切って目的地に送り届けた。そんなフランクにある組織から新たな仕事が入る。いつも通り車のトランクに依頼品のバッグを積み、目的地へと向かう。が、道中でバッグに不審を感じたフランクは、自らのルールを破ってつい開けてしまう。すると、そこには手足を縛られた中国人美女が入っていた…。
 タイトルがトランスポーターというからカーアクションがメインの映画かと思いきやジャッキー・チェンさながら体を張ったアクション映画です。愛車のボンド・カーみたいにスイッチひとつでナンバープレートが切り替わるメルセデスは、中盤であっけなく爆破されてしまいます。そして後半はルール厳守の運び屋家業なんか関係なしにひたすら大活躍するスパイ映画みたいになっていきます。中でも新趣向は、オイルまみれになってヌルヌルに滑る特性を利用した格闘シーンです。
 主人公フランクとヒロイン・ライはいいコンビになるかと思えるシーンもある(旧友みたいなタルコーニ警部がフランクの家に調査に来た時、ライの素性を問う警部に「私はコックです」と答え、彼に魅せられたとフランクに抱きつく)が、ライの素性や事件の真相がなかなか明かされないので友達以上恋人未満みたいに最後まで不完全燃焼なのです。
 でもこの映画は1時間半を飽きさず引っ張ってくれるのでジェット・リーの映画の様なアクション映画好きにはお奨めです。
 

敬愛なるベートーヴェン Copying Beethoven

2007年01月01日 | Weblog
監督:アニエスカ・ホランド
製作総指揮:エルンスト・ゴルトシュミット 、マリーナ・グラシック 、アンドレアス・グロッシュ 、ジャン・コルベリン 、アンドレアス・シュミット
脚本:クリストファー・ウィルキンソン、スティーヴン・リヴェル
撮影:アシュレイ・ロウ
美術:キャロライン・エイミーズ
衣装:ジャイニー・テマイム
キャスト:
エド・ハリス(ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン)
ダイアン・クルーガー(アンナ・ホルツ)
マシュー・グード(マルティン・バウアー)
ラルフ・ライアック(ヴェンツェル・シュレンマー)
ジョー・アンダーソン(カール・ヴァン・ベートーヴェン)
ビル・スチュワート(ルディー)

2006/イギリス/ハンガリー/1h46m ☆☆☆

 交響曲第九番の誕生を背景に、孤高の天才音楽家ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンと、彼のコピスト(写譜師)となった作曲家志望の女性アンナ・ホルツ(架空の人物)の師弟愛を描いた感動ドラマ。監督は『太陽と月に背いて』のアニエスカ・ホランド。ベートーヴェンを演じるのは、4度のアカデミー賞ノミネート歴を誇る名優エド・ハリス。演奏、指揮、作曲など完璧な役作りで、耳の聴こえない孤独と苦悩を背負ったベートーヴェンを披露します。彼の音楽を愛した若き女性コピスト(写譜師)アンナを「戦場のアリア」でアカデミー外国語映画賞候補のダイアン・クルーガーが演じます。心で結ばれたベートーヴェンとアンナの複雑な師弟愛と、迫力の“第九”シーンが見所です。
 1824年ウィーン。“第九”の初演を4日後に控えたベートーヴェンのアトリエに、音楽学校で作曲について勉強する若き女学生アンナ(ダイアン・クルーガー)が楽譜を清書するコピストとして訪れた。期待に反し、女性のコピストが来た事に激怒するベートーヴェンは仕事のアラを探して追い返そうと、清書された原稿をチェックします。そしてベートーヴェンは「これは何かね?」と意地悪そうに間違いを指摘するのですが、彼女は理路整然と「それは間違いではありません」と主張。「でもこの部分は私が書いたものとは違うが…」との反論に、彼女は「私はあなたの原稿をコレクト(修正)しただけです。何故なら、私の知るベートーヴェンならば必ずそうしていた筈だからです」と返します。そこは第九の合唱において、最も有名な旋律が響き渡る一歩手前の、静かに爆発寸前にまで膨れ上がるイントロ部分だったのです。ベートーヴェンは次第にアンナが優れた才能の持ち主であることを認め、アンナ自身が“第九”の作曲を支える存在となっていくのです。つまり、本作の主人公はベートーヴェンでなく、ひとりの女性なのです。そして、遂に“第九”初演の日、耳の聴こえぬ不安を抱えながらも、オーケストラを指揮するために、ベートーヴェンは指揮台に立ちます。本作の白眉は何と言ってもこの交響曲第九番のコンサートシーンです。オーケストラの音が聞こえないベートーヴェンにアンナは健気に(美しくすら感じます)ステージの奥から合図を送り、それを見ながらベートーヴェンは無事に指揮をやり遂げます。渾身の力を込めて演奏を終えた後、後ろで鳴り響く熱狂的な拍手の洪水にベートーヴェンは全く気がつきません。ここでは名曲に出会った人々の感動がこちらにも伝わってきます。
 しかし、映画はクライマックスに向けてますますヒートアップ!…はしません。第九で大成功を納めたベートーヴェンは、その後、「大フーガ(弦楽四重奏曲第13番)」の作曲に取り組みますが、それは当時としてあまりに難解な作品だった為、聴衆の理解が得られず、話のテンションはどんどん下がっていきます。でも、実はこの人生の下降期のような後半部こそ音楽家にとって、或いは芸術家にとってありがちな最も切実な部分なのではないでしょうか。