mapio's STREETS OF MOVIE

観た映画の感想とそれから連想したアレコレ(ネタバレ有)。

ハイウェイマン HIGHWAYMEN

2007年06月20日 | Weblog

監督:ロバート・ハーモン
出演:
ジム・カヴィーゼル
ローナ・ミトラ
フランキー・フェイソン
ゴードン・カリー
コルム・フィオール
2003/米/82min.  ☆☆★

 全世界に衝撃を与えたメル・ギブソン監督作『パッション』でキリストを演じたジム・カヴィーゼルが孤独な復讐者役に挑む、迫力のアクション・ロードスリラー。カヴィーゼル演じるレニーの妻をひいた殺人カーを操る連続殺人犯に『リディック』のコルム・フィオーレが扮し、『ヒッチャー』のロバート・ハーモンが監督を務めます。ハイウェイで繰り広げられる’68年型プリマス・バラクーダvs.’72年型キャデラック・エルドラドの壮絶なカーチェイスは迫力満点。精一杯伸ばして82分が妥当と思われる作品です。半分ロボットみたいで車から降りた時の動きがスローな殺人犯の設定に無理を感じました。

トゥモロー・ワールド CHILDREN OF MEN

2007年06月04日 | Weblog
監督 アルフォンソ・キュアロン「天国の口、終りの楽園。」「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」
製作総指揮 アーミアン・バーンスタイン 、トーマス・A・ブリス
原作 P・D・ジェイムズ
脚本 アルフォンソ・キュアロン 、ティモシー・J・セクストン
音楽 ジョン・タヴナー
出演もしくは声の出演
クライヴ・オーウェン
ジュリアン・ムーア
マイケル・ケイン
キウェテル・イジョフォー
チャーリー・ハナム
クレア=ホープ・アシティ
パム・フェリス
ダニー・ヒューストン
ピーター・ミュラン
ワーナ・ペリーア
ポール・シャーマ
ジャセック・コーマン
2006/米=英/1h49m  ☆☆☆★

 人類に子どもが生まれなくなってしまった近未来を舞台にしたアクション・エンターテインメント大作です。監督を務めるのは『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』のアルフォンソ・キュアロン。人類存亡の危機を巡る壮絶な攻防戦が主題の原作はイギリスの女流作家P・D・ジェイムズが、1992年に発表したSF小説「The Children of Men(人類の子供たち)」。子どもたちの声の聞こえない、銃弾の飛び交う荒んだ未来の世界を描いています。その世界には、テロや銃撃戦、 裏切りが満ち満ちています。圧倒的な質量で描く銃撃戦のすさまじさには、思わず圧倒されてしまいます。クライヴ・オーウェン、ジュリアン・ムーアら実力派豪華キャストの迫真の演技合戦も見逃せません。20年後が舞台ですが、描かれていくイギリスの様相は、今日世界各地で静かに進行している“現実”を集約したものです。テロの横行、不法移民の急増、広がる貧富の格差、弱者を切り捨てる政府……。それら全てが、女性の不妊化という人類から未来を奪う突発的事態で、一挙に顕在化したにすぎません。メキシコ出身で社会の矛盾を見て育った異才、アルフォンソ・キュアロン監督は、明日にも我々を襲いかねない“悪夢”を見事に映像化しています。手が届くほどの時代設定にも関わらず、“人間だけ”が生殖機能を失うという恐ろしさに違和感を覚えないのが、コワイです。この現代的で興味溢れる題材が、あえて未来色を排した映像で語られています。
 人類が生殖機能を失って、既に18年が過ぎた西暦2027年、あらゆる研究もその原因を解明することができず、人類はただ静かに地球を明け渡す時を待つばかりだった。未来への希望を失った人間たちは秩序を失って暴徒と化し、世界中の多くの国家が次々と崩壊していった。イギリスでも各地で反政府勢力による爆破テロが頻発していたが、軍事力を使った徹底的な抑圧で、どうにか国家機能を維持していた。そして、その年の11月16日、18年前にブエノスアイレスで生まれた“人類最後の子供”が傷害事件に巻き込まれて死亡したというニュースが世界を駆け巡り、人々の心が更に重苦しい空気に包まれた矢先、英国のエネルギー省官僚のセオ(クライブ・オーウェン)は、元妻・ジュリアンが率いる地下組織FISHに拉致され、一人の少女キーを託される。彼らはセオを利用し、人類救済組織“ヒューマン・プロジェクト”に、人類の未来を担う少女を届けようとしていたのだ。セオは、かっては理想に燃えた平和活動の闘士だったが、20年前に我が子を事故で失った事で生きる意味を失っていた。人類の未来はおろか自分の将来でさえ興味を示さないセオだったが、奇跡的に子供を宿した娘キーに希望を見いだし、彼女を救うことに命を賭ける。 
 圧巻はこの映画の話題でもあった、ラスト付近に待ち構える8分間に及ぶ、軍と反政府組織が難民キャンプと化した街で繰り広げる市街戦下での救出劇の長回しカットです。それも大掛かりな廃墟のセットを組み、役者、エキストラも大挙として動員しながら、爆破カットを含め、戦闘シーンを克明に再現した映像であるので、それを8分間もカットを変えず、カメラがクライヴ・ オーウェンを追い続けるには、確実に爆破のタイミングや血糊の飛び具合、どこで誰が出てきて、誰が死ぬのか等々、綿密な演出プランとリハーサルが必要な屈指の難カットであったのは間違いがありません。但し、ワンショットである筈ですが、レンズに飛んだ返り血(泥?)が一瞬の間に形を変えた部分が2度有ったのは不思議です。
 さらに監督は、セオを助ける親友をヒッピーに憧れる老人にしたり、元妻ジュリアンの母親を「9・11」で亡くなったことにするなど、過去をもさりげなく物語に取り込んでいます。そして、ディープ・パープルを始め、新旧UKロック(オリジナル、カバーにかかわらず)をキャラやシーンに合わせて全編に流し、60年代から何も変わっていない事実を呼び覚まします。なぜ、子どもたちが生まれなくなってしまったのか、今を生きる私たちに深いテーマを投げかけてくる一作です。

サイレントヒル  SILENT HILL

2007年06月03日 | Weblog
監督:クリストフ・ガンズ
脚本:ロジャー・エイバリー「パルプ・フィクション」
製作:ドン・カーモディ、サミュエル・ハディダ
製作総指揮:山岡晃(ゲーム版プロデューサー)、アンドリュー・メイソン
撮影:ダン・ローストセン
編集:デヴィッド・ウー
音楽:ジェフ・ダナ「バイオハザード2」
プロダクション・デザイン:キャロル・スピアー
美術:エリノア・ローズ・ガルブレイス
衣装:ウェンディ・パートリッジ
クリーチャー・デザイン:パトリック・タトプロス「アンダーワールド」
特殊メイク監修:ポール・ジョーンズ
特殊メイク:パトリック・タトプロス、パトリック・バクスター、ニール・モリル
視覚効果製作:ホリー・ラドクリフ
原作:『サイレントヒル』(コナミ)
日本版イメージソング:土屋アンナ「Lovin' you」

キャスト:
ラダ・ミッチェル(ローズ)「フォーンブース」
デボラ・カーラ・アンガー(ダリア・ギレスピー)「ペイバック」「ゲーム」
ショーン・ビーン(クリストファー)「トロイ」
タニヤ・アレン(アンナ)
クリス・ブリットン(アダム)
キム・コーツ(グッチ刑事)
ジョデル・フェルランド(シャロン/アレッサ・ギレスピー)
ローリー・ホールデン(シビル・ベネット)「ファンタスティック・フォー」
アリス・クリーグ(クリスタベラ)

2006/カナダ=仏/2h06min ☆☆☆★

 サイレントヒル ~ その街からは、死んでも逃げられない。映像の美しさと、人の心の闇に入り込む恐さで圧倒的な支持を集めて、シリーズ4作まで製作され、全世界で累計530万本以上の売り上げを記録した同名ゲームが、一流のスタッフで映画化されたホラームービーです。ゲーム版の熱狂的なファンである『ジェヴォーダンの獣』のクリストフ・ガンズが監督に抜擢され、壮大なオープンセットと最新鋭の特殊効果を融合させた未曾有の映像美を演出しています。多くのファンのいるゲームの映画化には不安も付き物ですが、ガンズ監督は、オリジナルの世界観を壊すことなく、怖いと同時に幻想的で美しく、哀しさも秘めた空間を作り上げました。娘への愛情だけを胸に霧と闇の街をゆくヒロインを、『ネバーランド』のラダ・ミッチェルが好演。またシャロンとアレッサの一人二役に挑んだジョデル・フェルランドの天才子役ぶりも見ものです。恐怖だけではなく、奥深いドラマ性が物語に厚みを与えています。
 夢遊病のように彷徨い、「サイレントヒル……」と謎の言葉をつぶやきながらうなされる少女シャロン。ローズとクリストファーの夫婦は、赤ん坊の頃に養女として引き取った愛娘の言動に心を痛めていた。サイレントヒルという街がウェストバージニア州に実在することを突き止めたローズは、治療の為に、シャロンを連れて車で街へと向かう。そこは30年前に大火災が発生し、無数の人々が死亡した忌まわしい場所であり、今では誰も近付かない廃墟と化した街であった。山道で事故を起こしたローズが意識を取り戻すと、娘がいない。彼女は娘の姿を求めて、あたかも雪の如く灰の霧に覆われた街へと足を踏み入れた。しかし、全くひと気がなく、深い霧に覆われたその街は、一度足を踏み入れたら抜け出すことのできない呪われた迷宮だった。なぜ、シャロンはこの街で姿を消したのか?30年にも及ぶ、サイレントヒルに隠された呪われた秘密とは?果たして、ローズはシャロンを見つけ出し、この街から脱出することができるのか....。 クライマックスの「キャリー」を想起させるパニック・シーンまでゲームを知らなくても充分楽しめる一品です。
 

スパイダーマン 2 SPIDER-MAN 2

2007年06月02日 | Weblog
監督 サム・ライミ
製作総指揮 ジョセフ・M・カラッシオロ 、スタン・リー
原作 スタン・リー 、スティーヴ・ディッコ
脚本 アルヴィン・サージェント
音楽 ダニー・エルフマン
出演(声の出演もあり)
トビー・マグワイア
キルステン・ダンスト
アルフレッド・モリナ
ジェームズ・フランコ
ローズマリー・ハリス
J・K・シモンズ
ディラン・ベイカー
ビル・ナン
テッド・ライミ
エリザベス・バンクス
ブルース・キャンベル
ドナ・マーフィ
ダニエル・ギリス
グレッグ・エデルマン
ダニエル・デイ・キム
クリフ・ロバートソン
ウィレム・デフォー
ヴァネッサ・フェルリト
クリスティーン・エスタブルック
エリヤ・バスキン
マゲイナ・トーヴァ
2004/米/2h07m.    ☆☆☆☆★

 正義のヒーロー、スパイダーマンとして生きる青年の活躍と心の葛藤を描いた人気アメリカン・コミックの映画化の続編です。監督はシリーズ前作に続き、「ギフ ト」のサム・ライミ。製作総指揮・原作はマーヴェル・コミックスの名誉会長であり、シリーズ前作や「ハルク」などを手掛けるスタン・リー。撮影は「マトリックス」シリーズのビル・ポープ。音楽はシリーズ前作に続き、「ハルク」「バットマン」「ダークマン」のダニー・エルフマン。出演はシリーズ前作からの続投として、「シービスケット」のトビー・マグワイア、「チアーズ」のキルスティン・ダンスト、「バレエ・カンパニー」のジェームズ・フランコ、「ギフト」のローズマリー・ハリス、「ギフト」のJ・K・シモンズなど。アカデミー視覚効果賞受賞。
 グリーン・ゴブリンと激しい死闘を繰り広げた前作から2年。大学生になったピーター・パーカー(トビー・マグワイア)は新聞社デイリービーグルでバイトをしながら、大学に通っている。一方、彼が思いを募らせていたメリー・ジェーン(MJ:キルスティン・ダンスト)は念願の夢だった舞台女優としてのキャリアをスタートさせる。また親友ハリー(ジェームズ・フランコ)は、自分の父を殺したのはスパイダーマンだと思い込み、 彼を倒すことを誓っていた。こうした人間関係と疲労でアルバイトと学業に集中できないことに悩みながらも、ピーターはスパイダーマンとしてニューヨークの街を日々守っていた。だがそんな彼の前に、背から生えた伸縮自在の人工アームを操る新たなる敵“ドック・オク”が立ちはだかる。その正体は、科学者のドクター・オクタヴィウス(「フリーダ」の名優アルフレッド・モリーナ)。実験の事故で金属製のアームが肉体と融合し、人格まで凶暴になったのだ。しかも彼は 自分がこんな姿になったのはスパイダーマンのせいだと思い込み、復讐を誓っていた。ピーターはドック・オクとの戦いの中で、スパイダーマンの正体が自分だとバレてしまうが、そのことで人々の支持を得る。そしてドック・オクを見事に倒すが、ハリーはいよいよスパイダーマンと対決することを決意。一方、MJは新しい恋人との結婚式を直前でキャンセルし、ピーターのもとに駆けつけ、彼とキスを交わすのだった(「卒業」?)
 最新技術を駆使しパワーアップした映像(高層ビルの壁面や、暴走する電車の上での戦い等)だけでなく、丁寧に描いた奥深い人間ドラマでもあるアクション大作。