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観た映画の感想とそれから連想したアレコレ(ネタバレ有)。

少林少女 Shaolin Girl

2008年05月30日 | Weblog
監督:本広克行
製作:亀山千広
エグゼクティブプロデューサー:チャウ・シンチー
脚本:十川誠志、十川梨香
音楽:菅野祐悟
撮影:佐光朗
照明:加瀬弘行
美術:相馬直樹
装飾:田中宏
編集:田口拓也
アクション監督:野口彰宏
選曲:藤村義孝
武術指導:マーク武蔵
主題歌 mihimaru GT『ギリギリHERO』
出演:
「国際星館大学女子ラクロス部」
柴咲コウ:桜沢凛(背番号0,AT)
山崎真実:清水真実(背番号1,MF)
工藤あさぎ:近藤あさぎ(背番号2,MF)
原田佳奈:北野佳奈(背番号3,AT)
乙黒えり:黒岩えり(背番号4,AT)
蒲生麻由:山田麻由(背番号5,AT)
いとう麻見:田伏麻見(背番号6,DF)
千野裕子:加地裕子(背番号7,DF)
千代谷美穂:琢磨美穂(背番号8,G)
西秋愛菜:緒方愛菜(背番号9,MF)
キティ・チャン:ミンミン[劉](背番号10,MF)
沢井美優:金川美優(背番号11,DF)
柳沢なな:松本なな(背番号12,DF)
石井明日香:志井明日香(背番号13,G)
尾家輝美:中野輝美(背番号14,DF)
桂亜沙美:長野亜沙美(背番号15,MF)
渡辺奈緒子:湯浅奈緒子(背番号16,DF)
花形綾沙:二階綾沙(背番号17,MF)
満島ひかり:高橋ひかり(背番号18,DF)

岡村隆史:田村龍司(教務課、ラクロス部監督)
仲村トオル:大場雄一郎(学長。自らも武道の達人)
江口洋介:岩井拳児(店長。凛の祖父の門下生で、かつての凛の師匠)
ティン・カイマン:ティン(店員):
ラム・チーチョン:ラム(同上)
麿赤児:凛の師匠
富野由悠季:凛の祖父(劇中では既に故人となっており、遺影での登場)
トータス松本:電器店の店主

2008年/日本・香港/107min. ☆☆

 『踊る大捜査線』シリーズの亀山千広プロデューサーと本広克行監督のコンビに『少林サッカー』で脚本・監督・主演を務めたチャウ・シンチーが、エグゼクティブプロデューサーとして加わって送り出す、痛快カンフーエンターテインメントと銘打たれて公開された作品ですが、2匹目の『少林サッカー』を期待して観るといささか拍子抜けします。少林拳の達人・桜沢凛(りん)が、兄弟子の岩井やラクロス部の仲間たちの中で成長し、真の強さに目覚めていく姿を描きます。主演の柴咲コウはこの作品のために1年間の武術特訓を敢行し、実際の撮影ではアクションシーンも吹き替え殆ど無しで臨むという気合いの入れ様です。その結果、とても女優とは思えない見事なカンフーアクションを披露してくれます。彼女の脇を固める江口洋介、岡村隆史ら個性的な面々の演技も光り、ギャグに笑ってアクションで爽快になれる作品の筈ですが…。

 本広監督と製作者の意向により撮影手法、合成方法等は「極秘」とされており、「広報」「ブログ」等でもあまり具体的な製作過程は公開されませんでした。出演者女優の多くが特撮番組出演経験者であるのも特徴的です。また柴咲コウが単独主演としてクレジットされる映画は『着信アリ』以来4年ぶりです。それだけ話題性が有ったとはいえ、完成したフィルムからは、その期待大なイメージの10分の1も感じられないのです。それが本作、最大の問題です。
さらに、チャウ・シンチーをエグゼクティブ・プロデューサーに迎え、なま卵ネタ他、キャラクターもギャグも『少林サッカー』を引き継ぎながら、観客が期待する“ラクロス版『少林サッカー』”というコンセプトは全く感じられません。その代わりに焦点が当てられたのは、柴咲演じる主人公・凛の持つシリアスな精神人情世界。カンフー映画を製作するうえで、決して間違いとは思いませんが、そこに比重がかかり過ぎると、作品全体のバランスに支障をきたします。ホラー映画もそうですが、日本映画は漂う雰囲気から暗いのです。“豪華キャスト共演のアクション映画”としての醍醐味は、味わう事はできます。でも話がバラバラでまとまりに欠けます。その割には、無駄にセットやCGは凝っています。mihimaru GTの“ギリギリHERO”音楽クリップを先に見て大いに期待しましたが、残念ながらあれ以上は有りませんでした。チャウシンチーはどの位製作に関わったのでしょうか。『少林サッカー』の時の「楽しめる映画を作りたい」というビシビシ伝わってきた気持ちがこの作品では感じられませんでした。柴咲コウが、努力してあんなに格闘シーン頑張っているのに可哀そうです。悪役をしてもソフト感の抜けない仲村トオル、『アンフェア』のようなキレが出てない江口洋介。この二人は活かされていません。脚本のせいかな。対照的に岡村隆史は実に活き活きと楽しんでいるように感じました。ラスト・エンドクレジットは香港映画にありがちなNG集かと思いきや、みんなで仲良く少林ラクロス部を応援するようになってハッピーエンドな幕切れ。そう、これは誰も死なないファンタジー映画なのでした。

 中国・少林拳武術学校――三千日の修業を終えた少女が 今まさにこの地を旅立とうとしていた。「日本で少林拳を広めたい」という願いを持つこの少女のことを老師たちを心配していた。それはこの少女の体には未知数の力を持つ気が潜んでいたから、それが闇の力に落ちることを恐れていた…。彼女の名は、桜沢凛(柴咲コウ)。 日本へと戻ってきた凛は、少林拳を世に広めるという自分の夢のために祖父が開いた懐かしの少林拳練功道場へと向かう。しかしかつて学んだ祖父の道場はすでに廃虚と化し、門下生も道場の閉鎖と共に散り散りに。道場がなぜ閉められることになったのか知りたい凛は兄弟子のところを訪ね歩き、先生と慕った岩井拳児(江口洋介)が町外れで中華食堂を営んでいることを知る。中華食堂を訪れた凛は、中華食堂の店長として料理を作る岩井の変わり果てた姿にショックを受けながらも、道場に何があったのかを問い詰める。しかし岩井は「少林拳はもうやめた」と突き放すばかりで理由を答えてはくれない。凛は「私の居場所は道場です!」と店を飛び出していく。凛は岩井に反発して朽ちた道場に1人寝泊りすることを選ぶ。その翌朝、朽ち果てた道場でひとり眠っていた凛をひとりの女のコが訪ねてくる。岩井の中華食堂で働いていた劉(キティ・チャン)だ。彼女は凛が店に入ってきた時に彼女を止めようとした店員のティン(ティン・カイマン)とラム(ラム・チーチョン)を軽くさばき、飛んできたチャーハンをラクロスのクロスでキャッチした腕前を見て、彼女をラクロスへと誘おうと考えていた。
が少林拳を習うことを交換条件にラクロスをやることになった凛は、に連れられ、彼女が通う国際星館大学へ。そこで女子ラクロス部のメンバーに紹介された凛は、すかさず「私、ラクロスやります!そのかわり、みんなで少林拳もやろう!」とアピール。そのKYな感じにラクロス部員たちはあきれるが、試し打ちしたボールを少林拳仕込みのパワーで空高く飛ばした凛にはド肝を抜かれてしまう。そのボールを拾ってきた教務課職員・田村龍司(岡村隆史)の機転で部員として無事申請される。そんな凛の能力を肌で感じ取っていたのが国際星館大学の学長・大場雄一郎(仲村トオル)。常に最強であることを願い、強い者を追い求め、闘い続けてきた彼は凛に秘められた恐ろしいほどの気の力を感じ、次第に彼女と闘いたいと願うようになっていく…。


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