mapio's STREETS OF MOVIE

観た映画の感想とそれから連想したアレコレ(ネタバレ有)。

バレンタイン  Valentine

2007年11月27日 | Weblog
製作総指揮 ブルース・バーマン / グラント・ローゼンバーグ
製作 ディラン・セラーズ
監督 ジェイミー・ブランクス『ルール』
脚本 グレッチェン・J・バーグ / アーロン・ハーバーツ / ウェイン・パワーズ / ドナ・パワーズ
原作 トム・サベージ
撮影 リック・ボータ
美術 スティーブン・ギーガン
音楽 ドン・デイビス
衣装 カリン・ノーゼラ
特撮 ジム・フィン
出演 デヴィッド・ボレアナズ
    デニーズ・リチャーズ
    マーリー・シェルトン
    キャサリン・ヘイグル
    ジェシカ・キャプショー
    ジェシカ・コーフィール
    ダニエル・コスグローブ
    ヘディ・バーレス
2001/米/97mins. ☆☆☆

 小学校のときにいじめられた少年が成人して、自分を冷たくあしらった美女たちを殺していくというホラー映画。『ワイルド・シングス』のデニース・リチャーズを初めとする20代前半のきれいな女優を取り揃えて1人ずつ死なせていきます。ちょっとロンパリ気味な主役のマーリー・シェルトンは『プロポーズ』でレニー・ゼルウィガーの妹を好演した人。お金持ちの娘を演じるジェシカ・キャプショーはケイト・キャプショーの娘。デニース・リチャーズのルームメイトのジェシカ・コーフィールは『ロード・トリップ』で、エイミー・スマートが間違えて訪ねていく女性を演じていました。定番ホラー風ですが、この作品は、主人公らしき女性が殆ど何もしません。もちろん、最後に犯人と思われる人と争うシーンがありますが、他のホラー映画と違ってそれまで脇役級なんです。想定外の展開で最後まで見れたような…。犯人の動機が弱い気もしました。あそこまで行動力があるなら、もっと自分に注力した方が満足出来るのでは?犯行時にかぶるお面(天使?)も映画の売りを作る為のこじつけ風な気が。最後に今後の展開を匂わすようなシーンを用意してるので何とか平均点です。
 バレンタインに催されたダンスパーティで、少女5人は結果的に、ある一人の少年に酷い事をしてしまった。13年後、ペイジら幼なじみの5人はバレンタイン・デーが近づき心浮かれていた。ある夜、無気味な愛のメッセージカードを受け取った仲間のひとりが何者かにナイフで首を掻き切られ、惨殺される。カードの差出人は“J.M.”。彼女の葬式で集まった他の4人。その後、彼女達4人の周りに奇妙な出来事が起こり始める。心当たりを探り始めたペイジらは13年前に参加したバレンタイン・パーティでの悲劇を思い出す。そんな中、他の仲間たちにも次々とカードが送りつけられ、ひとりまたひとりと正体不明の殺人鬼“J.M.”の餌食となっていく…。

キャビン・フィーバー Cabin Fever

2007年11月25日 | Weblog
監督:イーライ・ロス
脚本:イーライ・ロス、ランディ・パールスタイン
撮影:スコット・ケヴァン
プロダクション・デザイン:フランコ・ジャコモ=カルボーネ
音楽:ネイサン・バー、アンジェロ・バダラメンティ
製作:ローレン・モウス、サム・フローリック、エヴァン・アストロフスキー、イーライ・ロス
製作総指揮:スーザン・ジャクソン
出演:
ライダー・ストロング (Paul)
ジョーダン・ラッド (Karen)
ジェームズ・デベロ (Bert)
ジョーイ・カーン (Jeff)
アリ・ヴァーヴィーン (Henry)
ジュゼッペ・アンドリュース (Deputy Winston)
セリナ・ヴィンセント (Marcy)
2002/米/93mins. ☆☆☆☆

 製作費30万ドルの『ハロウィン』(78)以来の低予算映画の逸品です。森の中の小屋でパーティを開いていた5人の若者が謎のウィルスの恐怖に怯え、互いに感染を恐れて恐慌をきたしていく姿を残酷描写満載で描いています。『13日の金曜日』に代表されるおバカな若者は死ぬというホラー映画の定石を踏まえ、そこに『遊星からの物体X』のような仲間同士で誰が感染者なのかと疑心暗鬼になる怖さ、『悪魔のいけにえ』に出てきそうな頭のネジがゆるんだ村人たちに襲われる恐怖、そして『クジョー』を思い起こさせる猛犬に狙われて逃げなければならないという、ホラー映画のおいしいところがてんこ盛りなのに、これを僅か150万ドルの予算で撮りあげたというから見上げたものです。2002年、トロント映画祭の栄えあるクロージング作品としてワールドプレミア上映されるやいなや、アメリカで多くの配給会社がその配給権をめぐって殺到した中で、見事この争奪戦を突破し、配給権を手にしたライオンズゲート・フィルムは、宣伝費に1300万ドルを投じ、2000館の拡大公開を決行しました。その結果、メジャー作品が名を連ねる全米ボックスオフィスで、初登場3位というインディペンデント映画としては異例の数字を記録しました。
 本作品が長編映画監督デビュー作となる新鋭イーライ・ロス監督は、デビット・リンチ監督のショートフィルムの多くにプロデューサーとして参加してきました。類稀なるセンスはクエンティン・タランティーノ、トビー・フーパー、ピーター・ジャクソン等から絶賛を浴びたそうです。長期に渡りリンチをサポートしてきたイーライが初めて長編映画を監督すると聞き、一流スタッフが彼のために集まりました。編集を監修するのは『閉ざされた森』(03)のジョージ・フォルシー・Jr。音楽を手がけたのは『マルホランド・ドライブ』(01)を始め、数多くのデヴィッド・リンチ作品に曲を提供し、世界的に活躍している作曲家のアンジェロ・バダラメンティ。更に『ゴーストシップ』(02)や『キル・ビルVol.1&2』 (03,04)、そしてジョージ・A・ロメロの『Land of the Dead』(05)等、400を越える劇場作品の特殊メイク制作・監修をしているK.N.B.EFXグループが特殊メイクを手がけて、視覚と聴覚を同時に刺激し、感染症の恐怖がリアルに感じさせます。
 今回ストーリーの主役となる5人の若者たちを演じるのはオーディションで選ばれた若手俳優で、日本でも放送した『ボーイ・ミーツ・ワールド』のライダー・ストロング、ヒーロー番組『Power Renger』でイエローレンジャーを演じたセリナ・ヴィンセント、『チャーリーズ・エンジェル』のシェリル・ラッドを母にもつ二世女優、ジョーダン・ラッド (『25年目のキス(1999) 』等に出演)等、ブレイク必至の若手たちが集まりました。
 映画の中には、ウサギの着ぐるみを着た怪しげな人物、バニー・マン the Bunny Man が登場します。これは、監督が子供の頃に観たスティーヴン・キング Stephen King原作の『 シャイニング (1980) THE SHINING 』に出てきたクマの着ぐるみを着た人物に影響を受けているそうです。クマがウサギに変わったのは、単にクマの着ぐるみが見つからなかったことと、リチャード・ケリー Richard Kelly 監督の『 ドニー・ダーコ (2001) 』を観たことが原因のようです。『ドニー・ダーコ』の劇中で、ジェイク・ギレンホール(『 ムーンライト・マイル(2002) 』等に出演)演じるドニーたちが、サム・ライミ監督(『 ギフト (2000) THE GIFT 』『 スパイダーマン (2002)』シリーズ等)の『 死霊のはらわた (1983) EVIL DEAD 』を映画館で観ているシーンで、隣に座っているバニー・マンのゾクゾクするような存在にロス監督は衝撃を受けたそうです。
  学生生活も終りを迎えた5人の若者ポール、カレン、ジェフ、マーシー、バート。学生生活最後の夏休み、彼らは好き勝手にハメをはずして休みを満喫するために、森の奥のキャビン(小屋)を借りて過ごすことにした。早速、気の知れた仲間と酒、 ドラッグ、セックス三昧で盛り上がる彼ら。しかし彼らの楽しいパーティーは、血まみれの男が突然乱入してきたことで一変した。5人はパニックになりながらも、何とか男を追い払い、楽しいパーティーは再開されるはずだった。しかし翌日、カレンが体調不良を訴えた。彼女の皮膚が次第に膨れ上がり、やがて爛れて血があふれ出てきたのだ。仲間たちは彼女の看病を試みるが、どんどん症状がひどくなるカレンに嫌悪感、さらには恐怖さえ感じ出した。症状が悪化するにつれ、仲間たちの間に彼女の病気は自分にも伝染するのではないか?、との恐怖が広がり始める。そして不安のあまり、彼らはとうとうカレンを納屋に閉じこめ、隔離することにした。カレンをどう救おうかと話し合うにつれ、残りの4人は次に誰が感染してもおかしくないことに気が付く。病気に対して対策を講じようと奮闘するのだが、それが仲間の間に亀裂を生み始め、感染病への恐怖のためにお互いを敵対させてしまう。接触すれば感染するという疑惑に、仲間たちは孤立し、ついには互いに刃を向けるような観念に囚われてしまった。さらに町の住民が伝染病にかかった若者たちの噂を聞きつけ、 感染が広まる前に若者たちを始末しようと襲ってきた。目に見えない何かに襲われる恐怖。極限にまで追い詰められて現れる人間の本性。自分を守るためにそれぞれが取った行動とは?生き残りたければ誰も信じるな!

キャビンフィーバー cabin fever :僻地や狭い空間で生活するときに生じる情緒不安定のこと。

ダイ・ハード4.0  Die Hard 4.0 /LIVE FREE OR DIE HARD

2007年11月23日 | Weblog
監督:レン・ワイズマン
製作:ブルース・ウィリス、ジョン・マクティアナン、アーノルド・リフキン
製作総指揮:マイケル・フォトレル 、ウィリアム・ウィッシャー
脚本:マーク・ボンバック
音楽:マルコ・ベルトラミ
美術:パトリック・タトボロス
撮影:サイモン・ダガン
出演:ブルース・ウィリス:ジョン・マクレーン
   ジャスティン・ロング:マシュー(マット)・ファレル
   マギー・Q:マイ・リン
   ティモシー・オリファント:トーマス・ガブリエル
   クリフ・カーティス:ボウマン
   メアリー・エリザベス・ウィンステッド:ルーシー・マクレーン
   シリル・ラファエリ:ランド
   ケビン・スミス
2007/米/129mins.   ☆☆☆☆★

 前作『ダイ・ハード3』から12年ぶりに作られた、ブルース・ウィリス=ジョン・マクレーンが想定外の事件に巻き込まれながらも心・技・体を駆使して敵と戦い抜く、大人気アクションシリーズ第4弾です。全米国内と全世界トータルの興行収入はシリーズ最高額を記録しました。1作目『ダイ・ハード』が作られたのが1988年でパート2は2年後の90年に製作され、そこからさらに5年経た95年にパート3が作られています。続編公開の間隔が開いていくのは、主演のブルース・ウィリスが売れっ子になり、『アルマゲドン』(98)や『シックス・センス』(99)といった作品に出演したからです。当然その後、2000年代早々に『ダイ・ハード』4作目が作られても不思議ではありませんでしたが、2001年9月11日に、アメリカで同時多発テロが勃発し、事件の影響でハリウッドでは多くのアクション映画が企画進行をストップさせたらしいのです。『ダイ・ハード4』も…?。公開に漕ぎ着けた今作は、『ダイ・ハード』シリーズの伝統ですが、犯人側の目的が思想信条の問題ではなく金目当てだとしている点も、9.11テロから離れる意味では良かったのではないでしょうか。
 敵役ガブリエルにもう少しカリスマ性が欲しい(どうみても部下のマイ・リンの方が強い)ところではあるけれど、今回は敵役のキャラクターを立てるより、主人公マクレーンの前に次々関門を作ることが主眼らしく、演じているブルース・ウィリスのキャリアや私生活が反映されてます。映画の中でマクレーンは離婚し、『ファイナル・デッドコースター』のメアリー・エリザベス・ウィンステッド演じる娘“ルーシー”との関係がぎくしゃくしてますが、ブルース・ウィリス自身も『ダイ・ハード3』の後でデミ・ムーアと離婚しています。12年前の『ダイ・ハード3』で、ほとんど髪の毛がなくなっていたブルース・ウィリスは今回スキン・ヘッドで(時代の流れ?)これまでにない包容力溢れる(拉致された反抗期(?)の娘のみならず、生意気な若造ハッカーをも包み込む大らかさ)主人公ジョン・マクレーンを演じるほか、製作も兼任してます。第1作目からの熱烈な『ダイ・ハード』ファンを自認する『アンダーワールド』のレン・ワイズマンを監督に迎え、全米をパニックに陥れるサイバー・テロの野望に立ち向かう最高に「運の悪い」男の不死身の奮闘を描いています。主人公の「ワシントンD.Cへ犯人を護送するだけだったのに」というセリフが、映画「16ブロック」のセルフパロディであったり、娘のルーシーに呼び捨てにされて「その呼び方はやめろ」という演出が「アルマゲドン」のセルフパロディであったり「アルマゲドン」というセリフも劇中で何回か言われているのは監督のお遊びのような気がします。閉鎖的な空間での死闘が多かった前作までに比べ、カーアクション満載の豪快なアクションの数々に圧倒され129分が短くさえ感じます。
 北米での原題は"Live Free or Die Hard"ですが、北米以外では"Die Hard 4.0"のタイトルで公開されています。北米での題名"Live Free or Die Hard"の由来は、ニューハンプシャー州の標語 (state motto) Live Free or Dieのもじりである為、本作のプリントをイギリスへ運ぶ際には「ニューハンプシャー」という暗号名を使って、何の映画か分からないようにしたそうです。それ以外の"Die Hard 4.0"は、サイバーテロが扱われてることもあって「4.0」とソフトウェアのバージョン番号風になっています。日本での邦題の読みは、CM等では「ダイハード・フォー」となっていますが…。
 劇中とエンド・クレジットで流れるCCRの「フォーチュネイト・サン」もジャスト・フィット!アメリカンなジョン・フォガティの声に『トワイライト・ゾーン』(83)冒頭で出会った時以来の感動を覚えました。
 独立記念日前夜、FBIのサイバー犯罪部が突然何者かにハッキングされた。FBI副局長のボウマン(クリフ・カーティス)は、犯人の可能性のあるハッカーを全員連行するよう指示を出す。同じ頃、ニューヨーク市警の刑事ジョン・マクレーン(ブルース・ウィリス)は、大学生の娘ルーシー(メアリー・エリザベス・ウィンステッド)に会うために、管轄外のニュージャージー州に来ていた。彼氏とキスをしている場面に遭遇し、3人の間で言い争いになる。娘に冷たくあしらわれて憮然とするマクレーンの元に、無線で連絡が入る。そして、近くに住むハッカーのファレル(ジャスティン・ロング)の身柄を確保し、ワシントンD.C.のFBI 本部まで連行するように指示が出された。渋々、ファレルを訪ねるマクレーン。しかし、ファレルを部屋から連れ出そうとしている時、突然銃撃される。訳が分からないまま敵を倒し、二人は何とかその場から逃げ延びる。FBI本部に着いた二人は、アメリカ合衆国全土にわたるサイバーテロが始まりつつあるのを知った…。