mapio's STREETS OF MOVIE

観た映画の感想とそれから連想したアレコレ(ネタバレ有)。

リベンジ・オブ・デス LADY DRAGON

2006年06月29日 | Weblog
監督:デヴィッド・ワース David Worth
製作:ゴープ・T・サムタニ Gope T. Samtani
脚本:クリフォード・モア Clifford Mohr
撮影:H・アズマウィ
音楽:ジム・ウェスト Jim West
 
出演:シンシア・ラスロック Synthia Rothrock
リチャード・ノートン Richard Norton
ロバート・ギンティ Robert Ginty

1992/インドネシア/1h36m ☆☆★

1993年末にはカリフォルニアにマーシャル・アーツ・スクールも開いた元全米空手チャンピオン、シンシア・ラスロックを主演にしたアクション映画。結婚式当日に夫を殺されたCIA諜報員のキャシーは復讐の為、東洋でストリートファイターとして鍛錬していた。ある日、仇のハウプトマンを見つけ戦いを挑むが返り討ちに遭いレイプまでされて道端に捨てられる。口の不自由な老人と8才の少年に助けられた彼女の意志は挫ける事無く、彼らの元でより過酷な訓練を始めるのだった(ここからがインドネシアで撮影)。日本のビデオには92年アメリカ映画とあるが、インターネットで調べるとインドネシア映画が正しいようである。シンシア・ラスロックは実力があって、もっと興奮してアクションシーンが見れると思ったが、ワン・シーンのカット割りが多いうえに、繰り返し同じシーンをアングルを変えて何度も流すので全体的に安っぽい感じがして拍子抜けしてしまった。80年の映画「エクスタミネーター」でベトナム帰りの野性的な孤高の処刑人を演じたロバート・ギンディが顔が弛んで冴えない悪役で出演している。

ストリート・オブ・ファイヤー Streets of Fire

2006年06月19日 | Weblog
監督:Walter Hill
製作:Lawrence Gordon/ Joel Silver
製作総指揮:Gene Levy
脚本:Walter Hill / Larry Gross
撮影:Andrew Laszlo
音楽:Ry Cooder
美術:John Vallone
衣装(デザイン):Marilyn Vance
キャスト(役名)
Michael Pare マイケル・パレ(Tom_Cody)
Diane Lane ダイアン・レイン(Ellen_Aim)
Rick Moranis リック・モラニス(Billy_Fish)
Amy Madigan エイミー・マディガン(McCoy)
Willem Dafoe ウィレム・デフォー(Raven)
Bill Paxton ビル・パクストン (Clyde)
Deborah Van Valkenburgh デボラ・ヴァン・ヴァルケンバーグ (Reva)
Marine Jahan マリーン・ジャハン ("Torchie's Dancer)

1984/米/1h33m ☆☆☆☆☆

 “音楽と映像の融合”“音の似合う絵”の完成版がこの映画だ。冒頭、広大な宇宙を想像させるユニバーサル映画のロゴ・クレジットの後に画面が真っ暗になりリズミカルなエレキギターのイントロが流れ出す。ここだけでこの映画は勢いのある映画だ、と感じさせられる。タイトルに続き“A ROCK & ROLL FABLE(ロックンロールの寓話)”のクレジット。最後まで観て思うが、これほど端的にこの映画を言い表す言葉は無い。クレジットは続く“ANOTHER TIME ANOTHER PLACE...(どこか…の物語)”場所も時代も設定しない。似た表現で“SOMEWHERE IN TIME(ある日どこかで)”という映画もあった。こちらはクリストファー・リーブ主演、R.マシスン脚本のSFメロドラマの秀作。監督ウォルター・ヒルは「自分自身が10代の頃見たら最高だと思う映画を作った。カスタム・カー、雨の中のキス、ネオン、夜汽車、乱闘、ロック・スター、モーターサイクル、革ジャン―こうした当時私が“すごい”と感じ、今でも気に入っているものを、すべて今回の映画の中に投入した」と言っている。だから時代は50年代後半が近いと思うが設定は必要無いのである。
 ストリート・ギャングに誘拐されたかつての恋人を救う為、故郷に帰ってきたヒーローの活躍を描く。高架線と路地裏の多い街、リッチモンド。リッチモンド出身のロック・クイーン、エレン・エイム(ダイアン・レイン)がアタッカーズを引き連れて凱旋公演に来ていた。ステージが最高潮に達しようとした時、ストリートギャング“ボンバーズ”のリーダー、レイヴェン(ウィレム・デフォー)が手下を指揮してステージに乱入、エレンを連れ去った。その夜、レストランで働くリーヴァ(デボラ・ヴァルケンバーグ)は弟のトム・コーディ(マイケル・パレ)に手紙を出した。トムはエレンのかつての恋人で、彼女の危機を知れば街に戻ってくることをリーヴァは知っていた。数日後、ロングコート(刑事コロンボみたいな色型だが着る人次第で格好良い)に身を包みトムが帰ってきた。劇中の衣装はデザイナーのマリリン・ヴァンスがジョルジオ・アルマーニに協力を求め、赤と黒の鮮烈なイメージを与えるエレンのドレス他、200着以上の衣装がアルマーニのミラノ工場で作られた。
 トムはボンバーズの情報を得る為に行った昔の馴染みの酒場でマッコイ(エイミー・マディガン) と名のる元陸軍の車両係をしていた女兵士と出会い意気投合して、その夜は宿無しのマッコイをリーヴァのアパートに泊めてやる。翌日、トムは武器を調達、武装しエレン奪還の準備を整えた。その日の午後、姉の店に呼ばせたエレンのマネージャー兼恋人のビリー・フィッシュ(リック・モラニス)に救出に成功したら賞金1万ドルを出させることを約束させた。
 マッコイを含めた3人は ボンバーズの根城であるバッテリー地区へ行く。ボンバーズの溜まり場とするストリップ・バー“トーチーズ”に登場するブラスターズはロサンゼルスで活躍中の現役バンド。劇中2曲演奏している。個性的で勢いのある声はタランティーノ総指揮の96年映画『フロム・ダスク・ティル・ドーン』の最初と最後にかかる曲“DARK NIGHT”で再確認出来る。加えてそこでストリッパーをしている(胸まで)のが前年の映画『フラッシュダンス』で主演ジェニファー・ビールスのダンスの吹き替えをしていたマリーン・ジャハンで見応えがある。
 トムが店外でライダーたちのオートバイをウィンチェスター・ライフルで破壊、その間隙をぬってマッコイが単身アジトに侵入し、まんまとエレンを救出する。リッチモンドへの帰路、警察の封鎖を突破するため、ソレルズ(この映画の為に結成された4人の黒人から成るドゥアップ・グループ。撮影終了と共に解散)のバスを乗っ取り、封鎖線を強行突破。無事戻ったエレン達をリッチモンドの人々は熱烈に歓迎した。だが、メンツをつぶされたレイヴェンが黙っているわけがない。彼の仲間を集めトムを倒してエレンを奪おうと全面戦争の準備にとりかかった翌朝、ボンバーズがリッチモンドを取り囲んだ。この時かかるギター曲が50年代後半からヒットしたリンク・レイの“ランブル”。このサウンドは当時(ギャングの抗争を連想させるという点で)インストゥルメンタルとしては初めて一部地域で放送禁止になる程で、このシーンにぴったり。94年の映画『パルプ・フィクション』のトラヴォルタとユマ・サーマンのシーンでも流れていた。
 警官と住民たちが見守る中、トムとレイヴェンの大型ハンマーによる死闘が始まった…。最後にエレンがトムへの気持ちを込めて歌う“TONIGHT IS WHAT IT MEANS TO BE YOUNG(今夜は青春←邦題のセンス?)”は、日本ではドラマ『ヤヌスの鏡』の主題歌としてかかった椎名恵の『今夜はエンジェル』で知られた方が多いらしい。このエレン・エイム&アタッカーズの実演奏は FIRE INC.となっているが、これはソレルズ同様、後のフェイス・トゥ・フェイスの紅1点ローリー・サージェントをリードヴォーカルに迎えた、この映画の為に組まれたバンドである。その他、劇中かかるエレンの曲“NEVER BE YOU”はジャニス・ジョプリンの再来とも言われたマリア・マッキーが、“SORCERER”はスティービー・ニックスがマリリン・マーティンとデュエットしています。このように音楽面でも一部のマニア大喜びのBGMで全ての曲は入っていないが、ライ・クーダー音担のサントラも聴き応え十分。とにかく必見の映画である。満点。

ナインスゲート THE NINTH GATE

2006年06月14日 | Weblog
監督:ロマン・ポランスキー Roman Polanski
製作:ロマン・ポランスキー Roman Polanski
原作:アルトゥーロ・ペレス=レヴェルト Arturo Perez-Reverte
脚本:エンリケ・ウルビス Enrique Urbizu
ロマン・ポランスキー Roman Polanski
ジョン・ブラウンジョン John Brownjohn
撮影:ダリウス・コンジ Darius Khondji
音楽:ヴォイチェフ・キラール Wojciech Kilar
出演:ジョニー・デップ Johnny Depp
   フランク・ランジェラ Frank Langella
   レナ・オリン Lena Olin
   エマニュエル・セニエ Emmanuelle Seigner
   バーバラ・ジェフォード Barbara Jefford
   ジェームズ・ルッソ James Russo
   ジャック・テイラー Jack Taylor
1999/西=仏/2h13m ☆☆☆
 ジョニー・デップ主演のオカルト・ホラー。金儲けを兼ね、世界中で希少本を探す腕利きの書籍発掘人の探偵ディーン・コルソ(ジョニー・デップ)。彼は悪魔の研究家としても名高い富豪収集家ボリス・バルカン(フラン ク・ランジェラ)よりバルカンの入手した1冊を入れて世界に3冊しかないという1666年発表の伝説の悪魔祈祷書『影の王国への九つの扉』の残る2冊を見つけて真贋を鑑定してほしいという依頼を受け、ニューヨークからスペイン、ポルトガルと捜索の旅に出る。法外な報酬もあって引き受けたコルソだが、依頼を受けた日から謎の女(エマニュエル・セイナー)と共に怪しい影が見え隠れする。スペインに飛んだコルソは、この本を売ったセニサ兄弟(ホセ・ルイス・ロペロ)という老書店主から、 本の秘密の鍵を握るのが悪魔ルシファーの署名入り(LCF)の挿絵の版画だと教えられた。秘密を手中に入れた者は悪魔に会えるというのだ。ポルトガルのシントラに住むファルガス、パリのケスラー男爵夫人が持つ残る2冊を調べたコルソは、版画がどれも少しずつ違うことに気づくが、ふたりは相次いで殺された。それは悪魔 崇拝者であるリアナ・テルファー(レナ・オリン)と彼女の配下の仕業で、コルソも狙われるが、守護天使のようにいつも突然現れる謎の女が彼の窮地を救う。リアナは自らの屋敷で秘密の儀式の最中、突然現れたバルカンの手で殺された。バルカンを追い、遂に突き止めた古城で版画を並べて悪魔を召喚する儀式をはじめたバルカンから事の真相を知るコルソ。だがバルカンも無残に焼死した。全ては謎の女が知っているのだった。コルソが現れた謎の女と炎の中で交わった時、その女の顔には見覚えがあった…。
 壮大なセット、快調な滑り出しにも関わらず、後半はポランスキー・ワールドで小さくまとまってしまった感のある佳作。ジョニー・デップが珍しくアクションの少ない役ながら熱演している。