mapio's STREETS OF MOVIE

観た映画の感想とそれから連想したアレコレ(ネタバレ有)。

CHARLIE'S ANGELS: FULL THROTTLE

2006年09月28日 | Weblog
監督:マックG
製作:ドリュー・バリモア
   レナード・ゴールドバーグ
   ナンシー・ジュヴォネン
製作総指揮:パトリック・クローリー
   ジェンノ・トッピング
脚本:ジョン・オーガスト
   コーマック・ウィバーリー
   マリアンヌ・ウィバーリー
撮影:ラッセル・カーペンター
編集:ウェイン・ワーマン
音楽:エド・シェアマー
   ピンク
出演:キャメロン・ディアス (ナタリー・クック)
   ドリュー・バリモア (ディラン・サンダース)
   ルーシー・リュー (アレックス・マンデー)
   バーニー・マック
   デミ・ムーア
   クリスピン・グローヴァー
   ジャスティン・セロー
   ロバート・パトリック
   ロドリゴ・サントロ
   シア・ラブーフ
   ジョン・クリーズ
   マット・ルブラン
   ルーク・ウィルソン
   ロバート・フォスター
   キャリー・フィッシャー
   ジャクリーン・スミス (クレジットなし)
   アシュレイ・オルセン (クレジットなし)
   メアリー=ケイト・オルセン (クレジットなし)
   ブルース・ウィリス (クレジットなし)
   スヴェン=オリ・トールセン (クレジットなし)
   声の出演:ジョン・フォーサイス
2003/米/1h46m  ☆☆☆☆

 諜報スペシャリスト美女3人組の活躍を描く1970年代の人気TVシリーズを映画化した第2弾。主演キャメロン・ディアスがハリウッド女優当時最高額の2000万ドル(25億円!)のギャラをゲットした、セレブ娯楽映画の最高峰。爆発、サーフィン、カーアクション、キャメロンとデミの水着対決、モトクロス、カンフーなどヒット作品の要素を全て詰め込み指揮した監督は前作に引き続きマックG。1作目に引き続き、女の子の変身願望を満たし、主役3人のキャラがたっていて魅力的。めちゃくちゃ強いし、賢くて美しくてセクシー・・・キャメロン、ドリューもルーシーも全員30歳を過ぎているのにこのはしゃぎっぷりには圧巻。アメリカ女性ならではのキャラ。
 3人のエンジェル、ナタリー(キャメロン・ディアス)、ディラン(ドリュー・バリモア)、アレックス(ルーシー・リュー)の今回のミッションは、大陸の奥深く、モンゴルとシベリアの国境にテロリスト集団によって拉致された米警察機構要人カーター(ロバート・パトリック)の救出。彼女達は、いつものように得意の変装でテロリストのアジトに潜入して武術などを華麗に駆使し、鮮やかに作戦を遂行するが、テロリストの真の目的は連邦証人保護プログラムで匿う対組織犯罪の最重要証人リストであり、要人レイはリストにアクセスする為の重要アイテムである“指輪”を奪われてしまっていた…。とストーリーがあるにはあるが、この作品は音楽盛り沢山でパロディ満載のミュージック・ビデオ位の気分で観た方がいいと思う。
 今作の敵は「伝説のエンジェル」マディソン(デミ・ムーア)。久し振りの映画出演のデミが『GIジェーン』に勝るとも劣らない“脱いでも凄い”貫禄たっぷりの強敵を熱演。勿論、「ダムから落ちるトラックから飛び出して空中でヘリコプターに飛び移るシーン」や「モトクロスで空高く舞い上がったまま二丁拳銃をぶっぱなす場面」やら「ビルの屋上でくんずほぐれつ」やらの“あり得ないアクション”は前作以上のスケールで展開する。また映画やTV番組のパロディ・オンパレード。The Who「Who are you ?」はイントロだけなんだけど「CSI」、「ターミネーター」、「シカゴ」、「フラッシュダンス」、「雨にぬれても」、「ブルース・ブラザース」、「スパイダーマン」、炎の中から男が出てくるのはやり過ぎでしょう…そしてまた炎に帰っていく「ストリート・オブ・ファイヤー」etc.。更にデミの元夫ブルース・ウィリスや、初代エンジェルの一人、ジャクリーン・スミス、オルセン姉妹や曲の提供だけでなく歌手のPINK!などのカメオ出演も見どころ。エンドクレジットにNGシーンを流す手法はジャッキー・チェンがよく使うやり方だが、BGMにかかるジャーニーの「お気に召すまま Anyway You Want」(80年映画「ボールズ・ボールズ」以来!)が非常にマッチしていてカッコいいのです。

モンキーボーン MONKEYBONE

2006年09月22日 | Weblog
製作:マイケル・バーナサン
マーク・ラドクリフ
製作総指揮:ヘンリー・セリック
クリス・コロンバス
ラタ・ライアン
サム・ハム
脚本:サム・ハム
撮影:アンドリュー・ダン
音楽:アン・ダッドリー
出演:ブレンダン・フレイザー: ステュ
ブリジット・フォンダ: ジュリー
ウーピー・ゴールドバーグ:デス
デヴィッド・フォーリー:ハーブ
クリス・カッタン:首骨折で死んだ元体操選手
ジャンカルロ・エスポジート:ヒプノス
ローズ・マッゴーワン :キティ
   声の出演:ジョン・タトゥーロ:モンキーボーン
2001/米/1h33m ☆☆☆★

  「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス」や「ジャイアント・ピーチ」などの作品で知られる映像派ヘンリー・セリック監督が実写とCGIによるマペットアニメーションとを融合させて作った愉快なファンタジー・ラブコメディ。セリック監督の持つダークな世界観はダウンタウン(字幕は何故か“ダークタウン”これは原作の絵本から訳されてるようだ)でいかんなく発揮されている。「ハムナプトラ」のブレンダン・フレイザー、アニメのキャラ・モンキーボーンが異世界と現代を舞台に大冒険を繰り広げる。
 世界的に有名な売れっ子マンガ家、ステュ・マイリー(ブレンダン・フレイザー)の最新作『モンキーボーン』がついに完成し、盛大な完成披露パーティが開かれるが、ステュは華やかなだけの映画界にも、新しいキャラクターを作ることにも飽きて独りうんざりしていた。恋人のジュリー(ブリジッド・フォンダ)にプロポーズしようと彼女を誘ってパーティを抜け出したステュは偶発的な事故に遭い昏睡状態に陥る。そして目覚めたステュの前には、奇怪な住民達と共に歌って踊って悪態をつくモンキーボーンが現れた。そこは昏睡状態にあるほかの人々と、その人たちの妄想で出来た虚構が入り交じった悪夢のイマジネーションで構成された世界“ダーク・タウン”だったのだ!妹がかつてステュと立てた誓いに従って、生命維持装置を外す準備をしていると知った時、ステュは悪夢の神であるヒプノス(ジャンカルロ・エスポジート『ドゥ・ザ・ライト・シング』)と取引をし、死の神、デス(ウーピー・ゴールドバーグ)から復帰パスを盗むのを手伝うことになった。
 映画はこのままダーク・ファンタジーで進んでいくのかと思ったら、モンキーボーンに出し抜かれ、乗り移られたステュが昏睡から醒めてからがお笑いで、まるで別人となった主人公をB・フレイザーが絶妙の演技力で見せている。本当のステュが首の骨折でドナーとなった元体操選手(C・カッタン)の死体を借りて生き返るシーンはもう何度観ても笑える!首の骨が折れてる上に司法解剖中なのでT定規を背中に突っ込んでガムテープぐるぐる巻きで走る時の顔もすごい。モンキーボーンよりこちらの方がインパクトが強い。猫メイクで登場するR・マッゴーワン(『スクリーム』)もセクシーでバットマンに出てくるM・ファイファーのキャットウーマンに負けず劣らず素敵です。他にも飼犬の悪夢のシーンなど、笑ってしまうインパクトの強い映像がいくつもあるので最後まで飽きは来ない。がしかし、舞台の半分が悪夢世界だから、どぎつい映像もあり、見る人を選ぶ映画かも知れない。
 音楽はマービン・ゲイ、ジミ・ヘンドリックスからブレンダン・フレイザーやジョン・タトゥーロ自身が歌う曲まで全編ほどよく散りばめられています。

HOUSE ハウス

2006年09月16日 | Weblog
監督:大林宣彦
製作:大林宣彦、山田順彦
原案:大林千茱萸
脚本:桂千穂
撮影:阪本善尚
音楽:小林亜星、ミッキー吉野、ゴダイゴ
CAST:
池上季実子 (オシャレ)
池上季実子:一人二役(オシャレの母)
大場久美子(ファンタ)
松原愛(ガリ)
神保美喜(クンフー)
佐藤美恵子(マツク)
宮子昌代(スウィート)
田中エリ子(メロディー)
尾崎紀世彦(東郷圭介先生)
笹沢左保(オシャレの父)
小林亜星(西瓜を売る農夫)
石上三登志(写真屋さん)
鰐淵晴子(江馬涼子)
南田洋子(オシャレの伯母)
1977/日本/1h28m  ☆☆☆

 コマーシャル監督として活動していた大林宣彦の劇場用初監督作品。画面隅からの太陽射光線入れ、コマ撮り実写アニメ、左右分割撮影など自主製作映画の教科書みたいな撮影技術オンパレードのCGに頼らない映画。大林宣彦はこの後、代表作となった尾道三部作「転校生(1982年)」「時をかける少女(1983年)」「さびしんぼう(1985年)」を製作する。
 中学生のオシャレを中心に仲間のファンタ、ガリ、クンフー、マック、スウィート、メロディーたち(今では考えられないようなネーミング)が経験する夏物語。オシャレが学校から帰ると、イタリアから父が帰国していた。父は彼女に、自分の再婚の相手だと言って涼子を紹介する。新しい母など考えてもいないオシャレはショックで自分の部屋に籠もり、近年会っていないオバチャマへ手紙を出し、夏休みに仲間と行くことにする。そして夏休み。オシャレは仲間とオバチャマの羽臼邸へ向かって出発。学校の人気者、モミアゲがハイカラな東郷先生も一緒に行く筈だったが、あとから来ることになり、七人でオバチャマを訪ねる。都会育ちの七人は田舎の雰囲気に大喜びだったが、それもつかの間で、次々と怪異現象に遭遇する。実はこのオバチャマというのが戦争で死んだ恋人のことを思いつつ、数年前に死亡して、今はその生霊が羽臼邸(オバチャマの身体)となって七人を迎えていたのだった。まず最初に冷やしておいた西瓜を取りに入ったマックが井戸の中に引き擦り込まれ、探しに行くと首だけが飛んで来る。他にも、ピアノや、ふろ桶や、布団に次々と少女らが襲われ、その度に一人一人この家から消えてゆくのであった。オバチャマは、若い娘を摂取した時だけ若返り、自分が着るはずだった花嫁衣裳が着られるのであった。最後は、オシャレになりすまし、後から来た涼子をも襲うのだった。
 神保美喜扮するクンフーが若い頃の夏目雅子を思わせる。小林亜星の西瓜売りは西遊記に出てきても違和感無い位、妖しい雰囲気を醸し出している。笹沢左保はダンディな役で彼の書く小説からのイメージとかけ離れていた。とにかく一見の価値有り。

オーケストラの少女 One Hundred Men and a Girl

2006年09月11日 | Weblog
監督:ヘンリー・コスター
製作:チャールズ・R・ロジャース 
ジョー・パスターナク
原作:ハンス・クレイリー
脚本:ブルース・マニング
チャールズ・ケニヨン
ハンス・クレイリー
撮影:ジョセフ・ヴァレンタイン
音楽:チャールズ・プレヴィン
出演:ディアナ・ダービン
アドルフ・マンジュー
レオポルド・ストコフスキー
1937/米/1h24m ☆☆☆☆☆

 オーストリアのユニヴァーサル社でMGM社から移籍した子役ディアナ・ダービンの長編初出演作『天使の花園』が製作され、映画はその年のスタジオ最大のヒットを記録する。その演出を手掛けたヘンリー・コスターとパスターナクが、ダービンの美声と愛らしさを最大限に生かして、人気作家ハンス・クレイリー原案の映画化を企画して製作された一篇。冒頭、ストコフスキーの十八番、チャイコフスキー交響曲第5番での颯爽とした指揮振りで始まるこの映画は、当時、指揮棒を使わずに両手の指でオーケストラを指揮することで有名だったスター指揮者ストコフスキーが、常任指揮者を務めるフィラデルフィア管弦楽団とともに、台詞付きで初めて映画に出演していることでも大きな話題となった。財政難に陥っていたユニヴァーサルは『天使の花園』とこの映画の成功で倒産を免れ、ダービンは一躍トップスターの仲間入りを果たし、ティーンエイジャーのアイドル的存在として人気を博した。
 失業中のトロンボーン奏者ジョン(それまでプレイボーイ的な役柄が多かったアドルフ・マンジュー)の娘パッツィ(ディアナ・ダービン)は、父を始めとした多くの腕利きの演奏家が失業しているのは、オーケストラの数が少ないからだと気が付き、気まぐれな富豪フロスト夫人(アリス・ブラディ)の口約束を信じて失業中の楽士達を集めてオーケストラを結成。 妻の愚行をもみ消そうとする夫のジョン(ユージン・パレット)は、有名な指揮者を出演させてコンサートを成功させればオーケストラのスポンサーになると公約。 パッツィはコンサートホールにもぐりこんで、世界的な名指揮者レオポルド・ストコフスキーに失業楽団の指揮を頼むのだが…。ストコフスキーが本人の役で楽団と共に出演。劇中、フィラデルフィア交響楽団はチャイコフスキーの『第五交響楽』、ベルリオーズの『ラコッツイ行進曲』、モーツァルトの『ハレルヤ』、 リストの『ハンガリア狂詩曲第二番』、ワーグナーの『ローエングリン』、ヴェルディの『ラ・トラヴィアータ』の6曲を演奏。 当時15歳のダービンは随所で、『ハレルヤ』、『乾杯の歌』、『光の雨』、『心は自由』の4曲を歌い、その澄み切った美声は「天使の歌声」と評された。ホームドラマにクラシック音楽を組み合わせるという試みに挑んだ本作は、世界最高の指揮者ストコフスキーの出演も相まって空前の大ヒットを記録。第10回アカデミー賞では作品賞を含む5部門にノミネートされ、作曲賞を受賞した。
 ストコフスキーも、準主役級の役どころで、素人とは思えないほどの意外な演技者振りを見せている。中でも終盤、100人の失業者楽団がパッツィに率いられて、ストコフスキー邸に忍び込んで1階から吹き抜けの階段も全て埋めて繰り広げる演奏は絶品。最上階の自室でピアノを弾いていたストコフスキーが忍び込んだパッツィに導かれ、フロアを埋めた100人を見た瞬間、驚きと怒り混じりの表情が演奏と共に和らぎ、やがて曲に合わせて手がカクカクと動き出す。そしてそのままフィナーレの演奏会へと移行する。喜びに頬を濡らしながらパッツィが歌う『乾杯の歌』とその合間にトロンボーンを吹く父に嬉しさ一杯のフェイス・コンタクトを送るシーンはこの映画の感動のハイライトだ。満点。
 余談だが音楽担当のチャールズ・プレヴィンは名指揮者アンドレ・プレヴィンの親戚であり、ストコフスキーがピアノを弾くようにアンドレ・プレヴィンも又、同時にピアノもよくする音楽家である。指揮者レナード・バーンスタインも同様である。世に指揮者は多いが、レナード・バーンスタインのものほどには広く知られているとは言い難いとしても、ピアノを愛するアンドレ・プレヴィンも作曲家としてかなりの数の作品を残しており、こういった映画出演があれば、さぞ楽しかっただろう。

ジャンピン・ジャック・フラッシュ JUMPIN' JACK FLASH

2006年09月05日 | Weblog
監督:ペニー・マーシャル
製作:ローレンス・ゴードン ジョエル・シルヴァー
音楽:トーマス・ニューマン
出演:ウーピー・ゴールドバーグ
スティーヴン・コリンズ
キャロル・ケイン
ジョン・ウッド
アニー・ポッツ
ジョナサン・プライス
ジェームズ・ベルーシ
パクストン・ホワイトヘッド
トレイシー・ウルマン
1986/米/1h46m   ☆☆☆☆★

 これが認められて後に「ビッグ」や「レナードの朝」「プリティ・リーグ」等の作品を世に贈る女流監督P・マーシャルのデビュー作。上司からの説教も聞く耳持たず、コンピュータ・ネットの井戸端会議に夢中のノーテンキなOLテリー・ドリトル(ウーピー・ゴールドバーグ)。彼女がいつものごとくコンピュータを使っていると突然ローリングストーンズのヒット曲“ジャンピング・ジャック・フラッシュ”と名乗る何者かからメッセージが入り、コンタクトを取るうちに彼が東欧圏に囚われている英国スパイである事が判明します。彼からのメッセージに従い舞台は波止場から英国大使館までCIAやKGBを交えて孤軍奮闘するテリー。この様子が各シーンに流れる曲と見事にフィットしたコメディ。前作の映画「カラーパープル」から一転、コメディ俳優としても十分通用する所を見せた演技者ウーピーが後にアカデミー俳優となるのを察するのは難くないです。サントラも、勿論ローリング・ストーンズ、そしてバナナラマ、クール&ザ・ギャング、シュープリームス、フェイス・トゥ・フェイス等、豪華陣。フェイス・トゥ・フェイスの紅1点ローリー・サージェントは映画「ストリート・オブ・ファイヤー」で組まれたオリジナル・バンド“Fire Inc.”のボーカルとしてダイアン・レインの歌声をやってました。そしてサントラには入っていませんが、ハッピーエンドに相応しい最後に流れる『ジャンピン・ジャック・フラッシュ』はレディ・ソウルの大御所アレサ・フランクリンのカバーが流れます。これにはストーンズのキース・リチャーズとロン・ウッドもギターとプロデュースで参加しています。ミュージック・ビデオ・クリップでは、これらのミュージシャンにウーピーも加わって本当に楽しそうに演奏しています。この映画を歌詞の抜粋でありウーピーのセリフにも出てくる言葉で表現するなら「Gas!Gas!Gas!(最高!)」

レッド・サイレン La SIRENE ROUGE (THE RED SIREN)

2006年09月02日 | Weblog
監督:オリヴィエ・メガトン
製作:キャロル・スコッタ シモン・アルナル
原作:モーリス・G・ダンテック
脚本:ノーマン・スピンラッド  ロバート・コンラス アラン・ベルリネール
オリヴィエ・メガトン
撮影:ドゥニ・ルーダン
音楽:ニコラス・ビキアロ
 
出演:ジャン=マルク・バール (ヒューゴー)
アーシア・アルジェント (アニータ警部補)
フランシス・バーバー (エバ)
アレクサンドラ・ネグラオ (アリス)
アンドリュー・ティアナン (ケスラー)
エドュアルド・モントート (オリベイラ)
ヴァーノン・ドブチェフ (ビターリ)
ヨハン・レイセン (トラピス)
ジャン=クリストフ・ブヴェ (ルーカス)
カルロ・ブラント (ボンド大佐)
フランソワ・レヴァンタル (ソルパン)
2002/仏/1h58m ☆☆☆☆

 母親に追われる一人の少女と東欧独立戦争中に子供を誤射殺して心に大きな傷を負った元傭兵との逃避行を描いたサスペンス&アクション映画。元傭兵役に扮するのは、85年に映画「グラン・ブルー」のジャック・マイヨール役でセザール賞主演男優賞を受賞した、ジャン=マルク・バール。またイタリアン・ホラーの巨匠ダリオ・アルジェントの娘でもあり「トリプルX」で人気を博したイタリアのアーシア・アルジェントがアニータ警部補役として、映画初出演ながらポルトガル出身のアレクサンドラ・ネグラオが母親に追われる少女を熱演している。さらに、「101」シリーズのグレン・クローズ扮するクルエラをより残酷で強烈な感じにした母親エバを演じるのは英出身の女優フランシス・バーバー。国際色豊かなこの映画の監督・脚本はリュック・ベッソンがプロデュースを買って出たスリラー映画「EXIT イグジット」で長編デビューしたオリヴィエ・メガトン。
 冒頭、モノトーン調のやるせない東欧の戦争場面の後、いきなりドイツのへヴィ・ロック・バンド、ラムシュタイン(Rammstein)の『Sonne』(アルバム“ Mutter”収録) という激しい曲と共にアーティスティックなオープニング・タイトルとなる。この時点で監督のセンスに付いて行けず観るのをやめる人がいるかも!?
 東欧の戦争が終わった頃のパリ。ある日、12歳の少女アリスが1枚のDVDを携え警察を訪れる。アニータ警部補が映像を確認すると、そこにはアリスの母エバがメイドを殺害した残虐なシーンが記録されていた。アニータは早速アリスを保護しようとするが、大富豪で政界や役人と深い繋がりが有り、武器商人でもあるエバに不干渉を上司から警告される。そしてアリスは母の元へ戻されることを恐れ、警察から逃げ出して1台の車に身を隠す。その車の持ち主は、元傭兵のヒューゴーだった。2人は、アリスの父親が住むポルトガルへ向かうが、その頃、娘を取り戻したいエバ、そして自分を頼ってきたアリスを救おうとアニータも後を追っていた。タイトルの「レッド・サイレン」は父からのハガキに描かれた「赤い海の精(セイレーン)」を指し、美しい容姿と声で船乗りを殺すギリシャ神話の怪物の事。邦題は「原題をカタカナ表記しただけ」という悪いパターンで、日本では普通に訳して「赤い警笛」と思えば緊急事態的なイメージを与えると思う。内容的にはそれでも合っていそうですが、製作者の意図とは明らかに違うのが残念。
 それと人物設定だが「レオン」を見た方なら、きっとその2番煎じ(デ・ジャ・ヴー)感を受けると思う。そしてジャン・レノの演じた殺し屋やナタリー・ポートマン扮するマチルダの魅力、ゲーリー・オールドマンの悪ぶりには一歩届かない気がしそうだ。でも観ているうちにどんどん引き込まれていく勢いがあるから最後まで飽きは来ないです。
 あと疑問だが、アリスはアニータ警部補を指名して母の犯罪映像を記録したDVDを渡すのだが、なぜアニータ警部補なのかという理由が最後まで明かされなかった。