mapio's STREETS OF MOVIE

観た映画の感想とそれから連想したアレコレ(ネタバレ有)。

Mr.&Mrs. スミス

2006年12月30日 | Weblog
監督:ダグ・リーマン
製作:ルーカス・フォスター
    アキヴァ・ゴールズマン
    エリック・マクレオド
    アーノン・ミルチャン
    パトリック・ワックスバーガー
製作総指揮:エリック・フェイグ
脚本:サイモン・キンバーグ
撮影:ボジャン・バゼリ
プロダクションデザイン:ジェフ・マン
衣装デザイン:マイケル・カプラン
編集:マイケル・トロニック
音楽:ジョン・パウエル
出演:ブラッド・ピット(ジョン・スミス)
    アンジェリーナ・ジョリー(ジェーン・スミス)
    ヴィンス・ヴォーン
    アダム・ブロディ
    ケリー・ワシントン
    キース・デヴィッド
    クリス・ワイツ
    レイチェル・ハントリー
    ミシェル・モナハン
2005年/米/118mins. ☆☆☆☆
 ブラッド・ピットとアンジェリーナ・ジョリーが夫婦役で競演するアクション・エンターテインメント。監督は『ボーン・アイデンティティ』のダグ・リーマン。お互いの正体を暗殺者と知らず、すれ違いの生活を送る夫婦をコメディタッチに演じるブラッド・ピットとアンジェリーナ・ジョリーの演技が最高。特にキッチンでの駆け引きは迫力満点。
 旅先で運命的な出逢いののち、電撃結婚をして“Mr.&Mrs.スミス(スミス夫妻)”となったジョンとジェーン。しかし、お互いに重大な秘密を明かしていなかった。実は二人の正体は別々の対立する組織に所属する第一線の暗殺者。直感で行動するMr.スミス(ブラッド・ピット)と綿密な計画の元に任務を遂行するMrs.スミス(アンジェリーナ・ジョリー)。お互い相手に正体を知られないように結婚生活を送っていたが、ある日、それぞれの秘密組織が出した任務先で二人はバッタリと出くわしてしまう。正体がバレたら、愛する相手でも48時間以内に始末しなければいけないのが、 この世界のルール。二人は一瞬にして対戦モードに突入し、そのバトルは巨大秘密組織を巻き込む、想像を絶する戦闘へエスカレートしていくのだった!!
 ふと思い出したのが、デニス・クエイド、キャスリーン・ターナー扮する、同じような凄腕のスパイ夫婦が活躍するアクション・コメディ「アンダーカバー・ブルース Undercover Blues」(1993・米)。こちらの名前はジェフとジェーン。007のジェームス・ボンドといい、何故か腕利きの頭文字は“J”が多いようです。

父、帰る VOZVRASHCHENIYE THE RETURN

2006年12月23日 | Weblog
監督:アンドレイ・ズビャギンツェフ
製作:ドミトリイ・レスネフスキー
製作総指揮:エレーナ・コワリョワ
脚本:ウラジーミル・モイセエンコ
アレクサンドル・ノヴォトツキー
撮影:ミハイル・クリチマン
音楽:アンドレイ・デルガチョフ
出演:イワン・ドブロヌラヴォフ(弟イワン)
ウラジーミル・ガーリン(兄アンドレイ)
コンスタンチン・ラヴロネンコ(父)
タリヤ・ヴドヴィナ
2003年 ロシア映画 111分 ☆☆☆☆

 2003年のヴェネチア国際映画祭で北野武監督の「座頭市」、アンレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督の「21g」を抑えて、グランプリの金獅子賞と新人監督賞をダブル受賞する快挙を果たしたアンドレイ・ズビャギンツェフ監督による静かで衝撃的な人間ドラマです。12年ぶりに突然帰郷してきた父親を前に、事情も呑み込めず戸惑うばかりの兄弟の姿を、ロードムービー風に鮮やかに描き出します。際立ったBGMが使われたり、著名な役者が演じている訳ではないけど、見ているうちにグイグイ引き込まれていく演出は受賞をうなずかせます。
  ロシアの片田舎。2人の兄弟、アンドレイとイワンは母とつつましくも幸せに暮らしていました。父親は12年前に家を出て行ったきり音信不通で兄弟は写真でしか父の顔を知りませんでした。そんなある夏の日、父が突然家に帰ってきます。寡黙な父はこれまでのことを何も語ろうとはせず、母も事情を説明しようとはしません。兄弟の戸惑いをよそに、翌朝父は車で彼らを小旅行に連れ出します。道中、父は兄弟に対し威圧的に接します。そんな理不尽な振る舞いにも、父を敬う兄に対し、弟イワンは徐々に反抗心を募らせていきます…。
 この映画は2人の兄弟と父親の3人芝居の作品です。まだ兄弟の記憶にない幼少の頃に、家を出た父親。彼らは父親の顔を一枚の写真でしか見ておらず、そんな父親が12年ぶりに家に帰ってきて父親と言われても、物心ついてから会ったのは初めてです。兄弟はその父親と名乗る大人に動揺します。そんな得体の知れない人間と兄弟だけで旅に出ることになる…。
 ラストに関しては、重く胸に響く人もいれば、極めて不快になる人もいるでしょう。なぜ、父親は12年を経て帰ってきたのか?この父親は兄弟たちへ何を伝えんとしていたのか…?父親の理不尽な行動に憤りを爆発させる兄弟。そして、彼らに巻き起こる悲劇的な事件…。彼らは母親に育てられてきたわけだから、本来父親から学ぶ力強さというものを知りません。実際、イワンは度胸がないことで友達にバカにされていました。突然、現れた父親は力強さの塊のような人で、兄弟は父親が強引に押し付ける試練をいやいやながらこなし、次第に成長し、「男」になっていくのかも知れなかった。言葉少なに行動だけで兄弟の心を荒らしたまま消える事になる父親に何を見出すかによって、評価が分かれる作品だと思います。
 残念な事に本作撮影終了後、ロケ地だった湖で兄アンドレイ役のウラジーミル・ガーリンが不慮の事故で溺死する不幸な出来事がありました。

M:i:Ⅲ

2006年12月17日 | Weblog
監督:J・J・エイブラムス
製作:トム・クルーズ、ポーラ・ワグナー
製作総指揮:ストラットン・レオポルド
原作:ブルース・ゲラー
脚本:J・J・エイブラムス
アレックス・カーツマン
ロベルト・オーチー
撮影:ダニエル・ミンデル
音楽:マイケル・ジアッキノ
テーマ音楽:ラロ・シフリン
出演:トム・クルーズ 、フィリップ・シーモア・ホフマン 、ヴィング・レイムス 、マギー・Q 、ジョナサン・リス=マイヤーズ 、ミシェル・モナハン

2006/米/2h6m  ☆☆☆☆

トム・クルーズが製作と主演を兼ね、名作TVドラマ「スパイ大作戦」をリメイクした人気スパイ・アクションのシリーズ最新作。冒頭から終わりまでノンストップ・アクションで一気に見れます。テレビシリーズに準じてスパイの妙技を楽しめた第一弾、ひたすらアクションで圧倒した第二弾という前作両方の長所を活かし、第三弾となる今作は、総合的にシリーズで最も面白い仕上がりです。3作目の本作は前二作とは全くの別物として予備知識無しで素直に観た方が楽しめます。テレビ界出身の新鋭J.J.エイブラムズが監督に抜擢され、絶体絶命の危機の中でミッションを遂行する敏腕スパイ、イーサン・ハントの活躍を描きます。『カポーティ』でアカデミー賞の主演男優賞に輝いたフィリップ・シーモア・ホフマンが、外見からは想像できない悪役を怪演している点も見逃せない。
 現役を退き、教官となっていたイーサンだが、教え子が捕らわれたことでミッションに参加。救出に失敗した彼は敵のボスをつかまえるが、逆に自分の愛する者を人質にとられるきっかけを作ってしまう。
 ドイツ、イタリア、中国、アメリカと、四カ国でのロケによってスケール感が出たのはもちろん、トムが自ら過激なスタントに挑むことで本物の迫力を伝えることに成功。スター俳優としてのオーラはビンビン放たれている。全編、アクション場面がびっしりだが、合間でスパイの裏テクニックを紹介するシーンが楽しい。とくに相手の顔を撮影し、そのデータから瞬時にマスクを作る過程が見どころだ。普通に考えたら、ありえない事だらけだが、それすら感じさせない勢いのあるエンターテインメント映画です。