晴れ、27度、89%
私が生まれて育った福岡の大名教会の横に、「ツンドラ」というロシア料理の店があります。小さい頃、ここでいただくものの一番の楽しみは、ピロシキでもキノコのつぼ焼きスープでもありませんでした。最後にいただく、いちごジャムが入った紅茶でした。いちごの形が残っているジャムがたっぷりと入っていました。お店には、ピカピカに磨かれたサモワールがありました。
クスミティーは、ロシアのお茶商人クスミチョフが、ロシア革命でフランスに亡命して、未だに続くお茶屋だそうです。今の経営者は、クスミチョフの子孫ではないらしいのですが。
先日、知人が、クスミティーのアールグレーはちょっと変わったお味よ。などとおっしゃいます。どうしてもそのちょっと変わったお味を一口、と思い急ぎ買いに行きました。香港では、2年ほど前からセレクトショップのレーンクロフォードで売られていましたが、どうも缶の形が気に入りません。そんな訳で、今まで買わずにいたのです。
アールグレーと言っても、作っているところで味も香りもずいぶん違います。缶を開けると、ヴェルガモットのいい香りです。
きちんと4分。色もいい色。さてお味は?んーん。ちっとも変わったお味ではありません。少し香りも控えめな普通のアールグレーです。でも、飲み終えて、不思議にもう一杯いただきたくなるいい紅茶です。私にとっては、変わったお味でなく、美味しいクスミティーのアールグレーです。
缶の中の小さなパンフレットを読むと、「ズブロッカ」という名前の紅茶があります。ズブロッカは、お酒のウオッカにバッファローグラスという香草で香りをつけた、香りも味もまろやかなおいしいお酒です。そのバッファローグラスの香りの紅茶だそうです。さすがウオッカ好きのロシア人が考えた紅茶です。このクスミティーの「ズブロッカ」一度は飲んでみたい紅茶です。