曇り、19度、87%
実家の大きな木の裁縫箱、蓋を開けてみると中にセルロイドの箱が二つ。セルロイドの優しい感触、思わず手に取りました。
セルロイドなんて見るのもほんとに久し振りです。私が小学に入学した時の筆箱は、薄いピンクのセルロイドでした。
そんなことを思いながら、この箱の蓋を開けたところ、蓋の内側にあまりうまくない字で、私の旧姓が書いてありました。紛れもなく私の小学5年のときの字です。あー、そうだった。このセルロイドの箱は私の裁縫箱だったのです。すっかり忘れていました。
小学の5年から始まる家庭科の裁縫。5年になると、裁縫箱セットの申込用紙が配られました。必要な裁縫道具が全部入っているものです。でも、私はそのセットを頼まずに、このセルロイドの箱に、家にある針やはさみを詰めて、運針布だけは買ってもらった記憶があります。授業が始まると、私だけが違う裁縫箱でした。皆、ピンクのプラスチックで出来た、学校で買った裁縫箱でした。なんだか、恥ずかしい思いをしたものです。そのとき、待ち針からすべてに名前を書かなくてはいけないのに、書いていなかった私は、その場で先生から手渡されたマジックで、このセルロイドの裁縫箱に名前を書きました。
実家の裁縫箱を開けただけで、いろいろな思い出が飛び出してきました。
不思議です、この二つのセルロイドの箱、40年は経っているだろうのに、とてもきれいな状態です。セルロイド特有の縦の亀裂も入っていません。
セルロイドの筆箱に入った鉛筆は、ランドセルに入れていると、カタカタと音を立てました。ランドセルを背に走ると、背中でカタカタ。
中の物を移して、この二つのセルロイドの箱を香港に持ち帰りました。
さて、何を入れましょう。 青い目のお人形の歌でも歌いながら、考えましょう。