晴れ、12度、67%
私のブログにコメントを寄せてくださる方のブログを拝見すると、2年ほど前、飼っていた犬をなくされたご様子。コメントの返事の折、立ち入って次の犬を飼うつもりはと、お聞きしてしまった。その方のご主人が、次は成犬か問題のある犬をと考えていらっしゃるとのこと。
そのお返事を読んで、テツのことを思い出した。パグ犬モモは私が結婚して飼った3匹目の犬。実家は、犬や猫が絶えることなくいて、動物がそばにいるのは当たり前だった。
結婚して初めて飼ったのがテツ。我が家にやってきたとき、5歳くらい。 その頃、私たち家族が住んでいたのは、美観上生垣しか作ることを許されない町だった。テツはこの生垣をくぐってあちこちの家でえさをもらっていた野良犬だった。かなり大きい。我が家にもある頃から立ち寄るようになる。夕飯時、窓の向こうにテツのしっぽが見える、チーズやハムやミルクと少しでもあげていた。野良犬といっても、町の人にえさをもらっていて、優しく穏やかな犬だった。
私が堆肥を作ろうと、落ち葉を梅の木の下に集めていたら、日の当たる時間帯はその上でゆっくりと休むようになった。
そんなある日、静かな住宅街で、私が小さい頃見た、大きなひもの輪を持った男の人たちが走って何かを追いかけているのを見る。とっさに、テツのことが頭をよぎる。幼稚園帰りの息子に先に家に帰るように言い、私も彼らに付いて走る。どうにか逃がそうと思ったのだ。間違いなく彼らは、テツを追いかけている。追いかけている人間は生垣をくぐることは出来ない。テツは見事に追いかける保険所の人たちを巻いた。その日以来、定刻に我が家に寄る事はなくなる。会うたびに優しかった目が険しくなる。ただ、あちこちでえさをもらうので痩せはしなかった。
見ない日が続くと心配だが、梅ノ木の下の落ち葉の山のくぼみを見ると、留守のあいだ立ち寄ったことが分る。そうして冬になった。27年ほど前、東京に大雪が降ったときのこと。
雪の中、我が家にやってきたテツ、寒さもあり、いよいよ私たちも気持ちを決める。えさを与えながら玄関に入れた。それ以来、テツは我が家の犬となる。
伊豆にキャンプに行くときも、どこにも一緒だった。朝の散歩は息子の幼稚園のお見送り。時には多摩川に入って鳥を追って、川崎のほうにまで行きかけたり。そして、24年前、香港に発つ私たちは、香港では犬を飼える状況ではないため、テツともう一匹の犬を、私の実家に預けることにした。
香港に発つ前の写真。息子ももう32歳、この写真を載せること許してくれると思う。推定で14歳ぐらい、最期は私の母が見取ってくれた。テツは、実家の大きな楠の木の下に今は寝ている。