うめと愉快な仲間達

うめから始まった、我が家の猫模様。
犬好きな私は、チワワの夢を見ながら、
今日も癖が強めの猫達に振り回される。

私の、ある長い一日のこと

2024年03月30日 | 日記

肩にカバンを掛けゴミ袋を片手に、

実家を飛び出すと、外は酷い嵐だった。

私は構わず飛び出そうとした。

ところが、その時、近所のおばさんに引き留められた。

「あんた、やだもう!そんな恰好でぇ。

この傘、貸してあげるから、傘さして行きなさい。

濡れたらどうるすのぉ、まったくもう。

うちは傘いっぱいあるから、急いで返さなくていいからね。」

私は、ペコペコと何度も頭を下げながら、傘を受け取った。

「いってらっしゃい。濡れんじゃないよ!」

「ごめんなさいごめんなさい、行ってきまーす。」

大きな声を出して、嵐に向かって走り出した私の心は、

凄まじく晴れやかだった。

こんな歳になって、

自分を疎かにして叱られるだなんて、どうしようもない。

どうしようもないくらい、嬉しかった。

 

おはようございます。

父の右肩の腱板断裂は、相変わらず痛いようで、

ついに手術を前提に、MRIで詳細の確定診断をした。

が、主治医が考えているより軽傷だった。

「あれ?完全断裂してると思ったのに、ほんの一部剥がれてるだけだね。

これは、手術しないほうがいい。」

これで治療方針が定まった。

とにかく保存療法で行く。

 

という事で、手術は逃れたが、

日常のことに関しては、逃げ方を考える隙が無いほど、

私が忙しくなっている。

お久しぶりの投稿です。

 

父の肩は、非常に治りが良くない。

訳はハッキリしている。

毎晩の飲酒を、一切控えないことだ。

怪我の治癒にとって、アルコールを接種することは

傷の治りを邪魔してしまう。

痛みが軽くなったなぁと安堵しても、

翌朝には、また炎症がぶり返す。

飲酒のせいで筋肉も脱水状態だから、二次傷害も起こりやすい。

2週間、父はこの繰り返しをしているばかりだ。

「だから言ってるじゃん?

お酒をちょっとの間でも控えないと、いつまでも痛いよ?」

そう諭そうにも、父は、

「ふん、ばかやろう。呑まずにやってられっかよ!」

と吐き捨てる。

呑まずにやっていられなくなる理由は、

痛い→イライラする→ヤツ当たる→腹が立つ→痛い

を繰り返しているせいだ。

絵にかいたような、負のループだ。

「俺は、昔っから痛い思いばっかりさせられとる。

なんのバチがあたってんだ?このやろうめ!」

とグチグチする父に、私はハッと気が付いた。

 

ああ、この負のループこそが、バチなんじゃない?

ねえ、そうなんじゃない?

 

そう気付いたら、私は今更大発見した気分になった。

私は心の中で、

「そのバチは断ち切ろうと思えば、いつでも断ち切れますよ。

それは・・・あなた次第なのですよ。」

と父に伝える自分をイメージしていた。

白い袈裟みたいな服着て、すっくと立ち上がり、

晴れやかな空を見上げ、穏やかに語るイメージだ。

だけど実際は、何も言わず俯いて、編み物を続けた。

私なんかに何を言われようと、父には響きやしない。

父さんにとって、私は「私なんか」か「私ごとき」なのだ。

 

こんな夜を毎晩繰り返しているおかげで、

ほら!

編んでいたカーディガンを編み過ぎた。

もはやワンピースの長さにまで編み過ぎた。

ついでに、袖も編み過ぎてる!

 

やっちまったーっと倒れ込むように眠りに落ち、

不意に目が覚めると、時刻は午前3時だった。

カーテンの隙間からは、欠け始める歪んだ月が覗いていた。

なんて素敵な午前3時だろう。

私は、月に見守られている気分で、再び眠りについた。

おかげで、その朝には小さな奇跡が起きた。

これ、奇跡的に美しい寝ぐせじゃない?

ここだけが、嘘みたいにぴょんってなってるー!

私は、どうにも勿体ない気持ちになって、

そのまま直さずに一日を過ごそうと決めた。

 

ところが、外は春の嵐だった。

実家へ行けば、父は相変わらず

「痛くて、何にも出来ん」とキレ気味だ。

かずこは、荒れた天候に影響されやすく、かずこの心も嵐だ。

「ねえ、見て、かずこさん?」

私は、ここぞとばかり、ぴょんっと跳ねた寝ぐせを見せた。

実家へ向かう際、雨に濡れたせいで、ぴょんの元気は半減していたが、

しかめっ面を決め込んでいたかずこは、堪らず吹き出した。

この、堪えて堪えて、でも笑っちゃう、かずこの間が天才的に面白い。

内心、私はガッツポーズだ。

ガッツポーズの勢いのまま、父に声を掛けた。

「父さん、痛いな?痛いね?昨夜もようけ呑んだもんなぁ。

こうなったら、じゃんじゃん呑んで人の倍かけて、

それでも治していこうな!頑張れ、クソしじぃ!!」

父が素っ頓狂な顔になるくらい、無駄に景気のいい声だった。

 

そして、

私は肩にカバンを掛けゴミ袋を片手に、実家を飛び出したのだ。

近所のおばさんに借りた傘を車に積んで、

私は会社へ向かった。

嬉しくって、有難くって、

せっかく濡れずに済んだのに、私の頬は涙で濡れていた。

父が怪我して以来、

私の心は嫌な感情で覆い尽くされそうになる。

そんな時、空を見上げると、

発見や感動や感謝が見つかるかもしれない。

 

荒れていた空は、会社に着く頃、

嘘みたいに晴れていた。

「あっ、ツバメだ!」

晴れた空には、ツバメが帰ってきた。

会社へ入れば、季節外れに花芽を付けた胡蝶蘭が、

ついに満開になっていた。

「ランさん、ありがとう。」

傘をかしてくれた近所のおばさん、

笑ってくれたかずこ、

歪んだ月、寝ぐせも酷い嵐もツバメも、ありのままの父までも、

なんだか有難いなって思える一日を、私は過ごしている。

そう思うかどうかは、自分次第なんだ。

 

さあ、のんちゃんは何に感謝してんの?

ああ、ガスファンヒーターの風ね?

 

のん「この風、あったかいんら」

なびかせてるね~。

 


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12 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
寝ぐせ (しゃちくん)
2024-03-30 11:17:10
寝ぐせが魔法使いサリーの弟カブみたい^^
Unknown (suzulove)
2024-03-30 14:37:20
こんにちは。
素敵なカーディガンの長さは、おかっぱちゃんの忍耐の長さかと思うと、かあちゃんの無い胸が痛む😢
それでも感謝の気持ちを忘れないおかっぱちゃんは、素敵過ぎる✨ 
尊敬します✨⤴️
Unknown (桜吹雪)
2024-03-30 16:32:32
近況が知れて良かったです。
家事に仕事にご両親のお世話にと、本当に大変でしょうけど、出来るだけ無理せず適度に踏ん張ってください。そんな中、恐らくもうほぼ瞑想に近い状態で編んだであろう作品。大は小を兼ねるという言葉もありますし、お尻も手首も温かそう♥
こういう時、編み物にも救われちゃいますね。

人はいろいろな存在に助けられながら生きているんでしょうね。
おかっぱさんのように、お父ちゃまもすべてを感謝に変えられたら少し痛みが和らぐかもですね。
(*´∀`*)一日も早い回復を祈っています。
Unknown (ポンまま)
2024-03-30 21:45:58
どうしてるかなぁ。大丈夫かなぁって
ず~っと毎日思ってたよ~。
あー淋しかった(ToT)
でも久しぶりのおかっぱ節を味わった!
そうだねぇ、無限ループがバチなのかもねぇ。
それがわかってたって、やめられないっていう
父さんの気持ちも分からなくはないけど
この状況は自分のせいだって、父さんが
本当に気付いてくれたら・・・ね。良いのにね。
うちの父は胃がんになって、でも
父さんほど根性無かったんだと思う~。
お酒飲めなくなると機嫌が更に悪くなって
家族に八つ当たりだよ(ToT)
どっちにしても、面倒くさい昭和一桁。笑
カーディガン、いっそワンピースってことに
しちゃえば良いじゃんヽ(^。^)丿
それで全然イケるって~( ≧∀≦)ノ
なんかさ、しんどい時って特に
そういう、人の優しさが沁みるよね。
満開になったランたちも、おかっぱさんを
応援してるんだよ~。
あたしはね、今日もアタフタしてたよ~。
明日はかずえさんの面会だし
明後日からは仕事だし(^o^;)
のんちゃん!なびいてるね~。
それにしても細いし、生意気な顔しとるのぉ~!爆
Unknown (solo_pin)
2024-03-30 22:12:52
こんばんわ。

素敵なご近所のおばさまですな(*´▽`*)
良かったなあ、
おかぱちゃんに心を配ってくれる人が
おかぱちゃんの周りにいてくれて
本当に良かった。
長いカーディガンも素敵よ~。

そうよねえ、ケガには
アルコールを控えないとねえ。
あと、餅も良くないって母が良く言ってました。
治りが遅くなるんだってさ。
お父様、お大事に。

のんたん、ふわふわな毛だねえ。
爪切りさせてあげてね🌸
しゃちくんへ (おかっぱ)
2024-03-31 05:40:31
しゃちくん、おはようございます。
そそ、カブのように美しい寝ぐせだったんです(笑)。
ありがとうございます。
suzuloveさんへ (おかっぱ)
2024-03-31 05:42:32
かあちゃん、おはようございます。
かあちゃんの胸を痛めさせてしまって、
申し訳ありません。ありがとうございます。
短気は損気でしたっけ?
こんな時は根気よく待つしかないんですよね。
せっかちだから、苛立つわ~(笑)。
桜吹雪さんへ (おかっぱ)
2024-03-31 05:50:11
桜吹雪さん、おはようございます。
手が必要な時間って、同じなんですよね。
暇な時間も同じだから、どうしても忙しくなる時間帯が
綱渡りみたいになっちゃいますね。
ありがとうございます。
たしかに、このカーディガンなら、
中にどんどん着重ね出来る大きさですよね(笑)。

本当に、支えられるってこういうことなのかなって感じます。
全然関係のない人の、全然関係のない優しさが
思いのほか、パワーあるんですね。
感服しながら感動しちゃいます。
父さんも、こういう気持ちに気付けたら
今の自分も幸せを感じられるのになぁ。
こううのって、なかなか言葉では伝えられないですね。
親であろうと人は人、私は私。
ある意味、線引きして向き合うのも必要なのかもですね。
ポンちゃんままさんへ (おかっぱ)
2024-03-31 06:03:38
ままん、おはようございます。
更新はなるべくしたいなって思いつつ、
なかなか時間がとれませんでした。
でもね、元気はとっても元気なんですよ~。
安心してくださいね。
どんな時でも、幸福というのは、何をしているかじゃなく、
何を思っているかなんだって思ってるんです。
ああ、腐りそうって時こそ、美しい物や美しい心に触れて、
それに気付くアンテナだけは立てておかないとなって
思っています。
でも、うちの父さんも、まあ見苦しいほどの八つ当たり状態で。
病気やけがの時は、いつもそんな感じ。
うちのおじさんの亡くなったお父さんは、
最後まで本当に立派で見事だったの。
それが、うちの父のたかが怪我でのこの有様を前に、
より一層、残念に思います(笑)。
でも、そんなことでどうする、おかっぱよ。
父に美しい心を見つければっと奮起してて、
一生懸命、父さんの美しさをさがしてるんだけど、
今のところ、見つかりません(爆)
今日は、かずえさんと会える日なんだね。
楽しくおしゃべりできるといいよね~。
そして、ついにお仕事が始まるんですね?
なんかまた、すごい奇跡的なことが起こっているのでしょ?
記事、拝読するのを楽しみにしております。
ままん、ファイトファイト、頑張ってー!!
ああ、私までドキドキしてくる~。
solo_pinさんへ (おかっぱ)
2024-03-31 06:10:05
solo_pinさん、おはようございます。
近所のおばさんは、口は悪いんですが、
なんだかんだと優しいんですよね~。
本当に、こんな優しさを分けてもらえて、
有難い限りなんです。
素敵な人は、たーくさんいますね。
かくありたいなって思いつつ、引っ込み思案な私は、
そういうさりげない優しさに憧れちゃう。

そうですよね、今絶賛治癒中って時に、
がばがば酒飲んで治る訳ないですよね。
餅が良くないってのは、初めて聞きました。
朗報、ありがとうございます。

のんたん、なぜか夏のほうが毛が長く濃くなるんです。
そろそろモッサモッサ期に入って参りました。
爪切りが、さらに難しくなります(笑)。
頑張ります!

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