あのマイケルの訃報を聞いたのは、美瑛に来た翌日の朝のニュースでした。
「えっ!」そんなはずは無い・・・と思いながらも、次々に飛び込んでくるニュースに釘付けになりました。
20代の頃はビートイットやスリラーで注目を集め、誰もが知っているアーティストになりました。でも、アーティストよりもスキャンダラスな注目度が大きくなり、だんだん離れていきました。
イギリス公演の準備の模様を克明に残し、この映画になったことが、マイケルの違う才能を見つけるきっかけになるなんて、思いもよりませんでした。
亡くなっていなければ観ることの出来なかった姿だったのかも知れません。
アーティストというのは、普段どんな努力をしていても、本番にはそれを感じさせないパフォーマンスを見せる人だと思います。
本番で夢や感動を与えられれば、その行程は知らなくても良い、そう思います。
でもマイケルはエンターティナ-なのだと感じました。
アーティスト以上に自分以外の人や音楽を、もっと高いところで聴かせたいと思う人なんだと思いました。
若い女性のギタリスト。マイケルが「一番高い音を長く」と指示を出します。
遠慮がちに弾く彼女が、マイケルの3回目のアドバイスに対し、素晴らしい音を出します。一つの楽器、一人の演奏がこんなに変わるのか、と驚いてしまいます。
謙虚でいて妥協を許さない姿勢は、いつしか彼のスタッフまでも彼のファンにしてしまいます。
よく知っている曲「ビリージーン」は感動的でした。
途中何度か泣きそうになりました。
50才という年齢で、これほどまでのパフォーマンスを見せられる人は、彼以外にいないでしょう。
スキャンダルに踊らされ、本当のマイケルを見ていなかった自分に後悔します。
皮肉にも、亡くなって初めてマイケルの大きさをこの映画で知ることになりました。
ほんと、格好いい人です。
ステージで活躍する人が本当の言葉を発せられるのは、ステージの上だけなのかも知れません。
マイケルありがとう。青春時代を同じ時代に生きて幸せでした。