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『古本大全』岡崎武志

2024年02月04日 21時08分57秒 | 書籍
『古本大全』岡崎武志


近くの本屋で、平積みにされていた文庫本。
「古本」という言葉と、表紙の写真に反応して、思わず手に取った。
平積みだったのでおそらく最近出版された本だろう。
奥付を見ると、初版で発行が今年の1月10日と書いてあった。
文庫にしては分厚く400頁以上ある。値段も1000円。税込みで1100円。
文庫本も千円以上するものが出る時代になった。

古本というと、思い浮かぶのは学生時代。
街に古本屋が数件集まっているところがあった。
お金がないので、手元にぜひ残したい本は除き、
読んだ本はまとまると、惜しみながらも売りに行くのか決まりだった。

当時の古本屋の店主というのは古本に関しては専門家。
今の〇〇〇オフのように、発行年で機械的に値段はつけず、
一冊一冊を表紙から奥付といったところをチェックし、
パラパラとめくってその状態を確かめ、そのあと値段を決めていく。
古いものであっても需要があると思ったものには
定価の3分の1前後の値段が付いた。

何度も本を売っていると、どの古本屋が高く買ってくれるかとか、
自分が持って行った本がいくらで買い取ってもらえるのかが
だんだんとわかっていく。
しかし予想していった値段より安いことがほとんどだった。

この日も十何冊かまとめて持っていき、店主の前に置いた。
いつものように自分で値段を予想した価格に
どれぐらい迫れるか期待しながら待つ。
店主が一冊一冊品定めをして紙に値段を書いていく。
そしてそろばんでそれを足していく.

「今日はいったいいくらで買ってもらえるんだろう?」

自然と胸が高まる。
計算が終わり、「2700円です」と聞こえた。
あるいは1700円だったか。とにかく700円というところは
今でも覚えている。

それが自分の予想とぴったりで、
「予想とぴったりです!」と思わず口に出た。
得意げな自分を店主はどう思ったのかわからないが、
何も言わずメガネの上の縁から、ギョロリと上目遣いに
自分を見た場面を今でも覚えている。

とにかく初めて値段が一致したことに、
何か一つの達成感もあり、その日は何か心が浮き立った。



前置きが長くなったが、
この本は名前の通り、古本に憑りつかれ、古本を買い、
読み、書いてきた著者の古本仕事の集大成。
三日も古本屋を覗かないと心身に不調を覚え、
コロナ禍で古本屋が閉店していた時は、
夢に何度か古本屋をめぐる自分が出てきたという。
著者の古本愛がすさまじく、古本、本好きには共感する部分も多く、
読んでくと、「そう。そう」とうなずく場面もたびたび現れる。

解説の部分で作家角田光代が著者を、
「楽しいからである。単純に古本屋は楽しい。その楽しさは一種類ではなく
何通りもある。その楽しみを実に丁寧に、惜しげもなく私たちに教えてくれる」
と、評しているが、その通りだと思う。

おまけ。





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