『チェーンスモーキング』沢木耕太郎
食べ物でもがっしりした重いもの食べた後には
軽くてあっさりしたものが欲しくなる。
それと同じで書物でも歯ごたえのあるものを読んだ後は、
軽くて柔らかなものを自然と欲してしまう。
この前読んだ『知覚力を磨く』は結構頭を使ったので、
軽いものが欲しかった。
そんな時は沢木耕太郎のエッセイ。
これがぴったりだ。
読み進むとやはりなめらかな、何とも言えない文体が続き、
一つのストーリーを読み終わると、そこにある種の感情が醸し出され、
それが心にしみわたり、それを味わう時間が生まれる。
それは『彼らの流儀』と同じだ。
『彼らの流儀』は以前書いたように、
自分の経験なのか、実際あったことを脚色したものか、
あるいはまったくの創作なのかわからないところがあった。
その疑問が読む興味をさらに深めていたことも事実だが、
逆に言うと統一感がないとも言えたかもしれない。
『チェーンスモーキング』は、『彼らの流儀』の5年後に発行された。
この本では実在の人名も出し、すべて事実に基づいたエッセイのようだ。
そこから沢木は一つのストーリーを描き出す。
自分が言うのもおこがましいが、『彼らの流儀』がさらに洗練され、
沢木流のスタイルが定着した感がある。
現実に起こった日常の些細な出来事を、
些細な出来事では無くする鋭い感性と
それをストーリーに仕上げる文筆家としての能力が
円熟味を増した感がある。
これは事実か、脚色したものか、あるいはまったくのフィクションか
ということを探りながら読んでいく楽しみはなくなったが。
タクシーの運転手との会話から生まれた興味深い話を書いた
「タクシードライバー」、
小林秀雄の受賞パーティーで出会った円地文子と塩野七生、
それと沢木の様子を中心に描いた「メランコリーの妙薬」、
公衆電話が空くのを待つ時間に、ふと耳に入ってくる様々な会話から
それらの人々の人生を想像した「赤や緑や青や黄」等々、
どれもが読み終わった読者の胸に響いてくるものがある。
裏表紙にはこの本について、
「…エピソードの断片はさらなるエピソードで、
あたかもチェーンスモークのように連鎖しながら一つの世界を作る。
同時代人への濃やかな共感と共に都会の息遣いを伝え、
極上の短編小説を思わせる味わいのエッセイ15編」
とある。
また山口瞳が解説の中で,「沢木耕太郎はエッセイを小説のように書く」
と言っている。
さすがに専門家は表現がうまい。
これらの言葉が、この本を中身を見事に表しているように見える。
どんな音楽をバックに読もうかと思って選んだのがこれ。
この音楽が『チェーン・スモーキング』気分をさらに盛り上げてくれた。
アコーディオンの音がなぜか切ない。
Relax Music - Jazzy Paris - Cafe Accordion Background Music Instrumental
#モンテディオ山形
食べ物でもがっしりした重いもの食べた後には
軽くてあっさりしたものが欲しくなる。
それと同じで書物でも歯ごたえのあるものを読んだ後は、
軽くて柔らかなものを自然と欲してしまう。
この前読んだ『知覚力を磨く』は結構頭を使ったので、
軽いものが欲しかった。
そんな時は沢木耕太郎のエッセイ。
これがぴったりだ。
読み進むとやはりなめらかな、何とも言えない文体が続き、
一つのストーリーを読み終わると、そこにある種の感情が醸し出され、
それが心にしみわたり、それを味わう時間が生まれる。
それは『彼らの流儀』と同じだ。
『彼らの流儀』は以前書いたように、
自分の経験なのか、実際あったことを脚色したものか、
あるいはまったくの創作なのかわからないところがあった。
その疑問が読む興味をさらに深めていたことも事実だが、
逆に言うと統一感がないとも言えたかもしれない。
『チェーンスモーキング』は、『彼らの流儀』の5年後に発行された。
この本では実在の人名も出し、すべて事実に基づいたエッセイのようだ。
そこから沢木は一つのストーリーを描き出す。
自分が言うのもおこがましいが、『彼らの流儀』がさらに洗練され、
沢木流のスタイルが定着した感がある。
現実に起こった日常の些細な出来事を、
些細な出来事では無くする鋭い感性と
それをストーリーに仕上げる文筆家としての能力が
円熟味を増した感がある。
これは事実か、脚色したものか、あるいはまったくのフィクションか
ということを探りながら読んでいく楽しみはなくなったが。
タクシーの運転手との会話から生まれた興味深い話を書いた
「タクシードライバー」、
小林秀雄の受賞パーティーで出会った円地文子と塩野七生、
それと沢木の様子を中心に描いた「メランコリーの妙薬」、
公衆電話が空くのを待つ時間に、ふと耳に入ってくる様々な会話から
それらの人々の人生を想像した「赤や緑や青や黄」等々、
どれもが読み終わった読者の胸に響いてくるものがある。
裏表紙にはこの本について、
「…エピソードの断片はさらなるエピソードで、
あたかもチェーンスモークのように連鎖しながら一つの世界を作る。
同時代人への濃やかな共感と共に都会の息遣いを伝え、
極上の短編小説を思わせる味わいのエッセイ15編」
とある。
また山口瞳が解説の中で,「沢木耕太郎はエッセイを小説のように書く」
と言っている。
さすがに専門家は表現がうまい。
これらの言葉が、この本を中身を見事に表しているように見える。
どんな音楽をバックに読もうかと思って選んだのがこれ。
この音楽が『チェーン・スモーキング』気分をさらに盛り上げてくれた。
アコーディオンの音がなぜか切ない。
Relax Music - Jazzy Paris - Cafe Accordion Background Music Instrumental
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