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『彼らの流儀』 沢木耕太郎

2024年02月07日 21時34分17秒 | 書籍
鉄道に乗り旅をする旅行記を書いたほかの著者の本を、
アマゾンで見つけて読んでみたが、退屈でリタイア。好みの問題なのかもしれないが、
申し訳ないが事実の羅列で正直面白くない。
いくらノンフィクションでも事実だけを並べてみても面白くない。
読み手の中に、人の心を動かす何かが必要だ。
で、この本。『彼らの流儀』沢木耕太郎


毎年大晦日になると、新しく買った手帳に、自分が万が一のことがあれば
ここに連絡お願いしますと、何人かの男友達の名前を記入するOLの話「手帳」、
平凡なサラリーマンがデパートのネクタイ売り場でよみがえった
若い時の想いを描いた「ネクタイの向こう側」、
北海道の国語教師になった女性から来た電話でのやり取りを書いた
「もう一つのホットライン」

など、何気ない些細な出来事を題材にした作品が三十数編。
もっと深いものを求める読者にとっては物足りないかもしれないが、
気軽に軽く読め、にもかかわらず、一つの作品を読み終えた時、
何かが心に残り、次の作品に進む前に、
もう一度その作品を振り返る時間が生まれる。

読んでいくとこれは沢木に実際起こったではないかと思うものもあり、
人から聞いたことを題材にしてそれを基に創作したもの、
これは全くの創作なのではないかと思われるものなど、いろいろだ。
要するにノンフィクションだけを集めたものでも、
フィクションだけでもない独特の世界が広がっている。

解説を読んでみると、沢木もこの本の完成後読み返してみると、
コラムでもなく、エッセイでもなく、ノンフィクションでも、
小説でもないと感じたと書いている。

本の帯に、
『あり得たかもしれない人生のいくつかを失いながら、人は歩む…
現代人のひそやかな「生」を切り取る33のストーリー』
という謳い文句が載っている。

なるほど「ストーリー」か。
事実であれ創作であれ、そこに「生」を切り取った「ストーリー」が
表現されていれば、形式にこだわることはない。
読者にそんなことも思わせる本でもある。

沢木は、自分が発光体となるような身辺雑記風なコラムではなく、
発光体は外部にあり、書き手はその光を感知することを意識した文章を
書きたいと思っていたようだが、
この本の中でそれは充分成し遂げられているようだ。


おまけ。






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