
マジシャンの紹介として、これまで自分がとても影響を受けたマジシャンを紹介しまして、次はトミー・ワンダー氏あたりと考えておりましたが、思い入れのあるマジシャンの記事を書くのは非常に時間がかかるため、もう少し軽い感じで、カップ&ボールを行うマジシャンの紹介もしていくことにしました。
今回紹介するのは、Johnny Ace Palmer(ジョニー・エース・パーマー)(敬称略)です。Palmerは1988年のFISM大会でクロースアップマジシャンとして初のグランプリを受賞したマジシャンです。また、アメリカ人としてはランスバートンに続く2人目の受賞者です。それ以前に、アマ―やダロー、ポールガートナーが参加してますが、グランプリは受賞していません。ちなみに今年(2022年)のFISMではパーラー部門で緒川集人さんが1位(アメリカ代表ですが…)、Jonioさんが3位と盛り上がりましたね。
また、Palmerはマジック・キャッスルでもベストクロースアップ賞を1度やベストレクチャー賞を2度受賞し、 International Brotherhood of MagiciansのゴールドカップやSociety of American Magiciansの金メダルを獲得するなど、多くの賞を受賞しているマジシャンです。
Johnny Ace Palmer - Magicpedia
これだけの経歴のあるマジシャンなのですが、私はお恥ずかしながら氏のことを良く知りませんでした(松田氏の「世界のマジシャン・フーズフー」にも記載がありません…)。これは私がマジックを始めたのが90年代後半だったことや、これまで1度もマジックのサークルやクラブ、団体に所属せず、マジシャン仲間がいなかったこと、そもそも視界が狭かったのでしょう…。また、氏が本やビデオなどをあまり出していないのも理由の一つにあるかと思います。
氏が出しているビデオとしては「Trilogy」という作品があり(逆にこれくらいしかない??)、おそらく3本組のビデオが以前出ていてそれを2枚のDVDにしたと思われるコンテンツが販売されています。
Trilogy by Johnny Ace Palmer (2 Volume Set)
トリロジー(ジョニー・エース・パーマー)|DVD,カードやメンタルマジックグッズ通販のマジックショップ|フェザータッチ
現在もペンギンマジックで購入できますが、DVD ではなく、ダウンロードかと思います。このDVDではFISMアクトが収録されており、一部解説されています。内容も基本的なテーマが多いですが、良いと思います。ただ、ビデオをそのままDVDにしたのか画質がちょっと良くないのが残念です。
さて、このブログではマジック全体というより、やや(?)カップ&ボールよりの紹介ということで、氏を紹介することにしたのは、このFISMグランプリ受賞のアクトの中でカップ&ボールがあり、彼の代表作品の一つとなっているからです。FISMアクトそのものではないかもしれませんが、(スポンジボールの手順が抜けている?)、動画がありましたので紹介します。約1分50秒くらいからカップ&ボールの演技となります。
また、プライベートのショーでしょうか、一般の人向けに演じている映像がありました。上記映像にないスポンジボールの手順も含まれています(個人的にはこのスポンジボールの手順が凄いと思いました)。カップ&ボールは22分くらいからです。
氏のカップ&ボール手順をご覧になったことが無い方のために、敢えて書きませんでしたが、氏の手順の特徴は最後に生きたヒヨコを出すことです。そして、その3匹のヒヨコをフライドチキンの箱に入れて、オープニングで出したコーラとセットでランチ?とギャグにします(;^ω^)。生き物が出現するのはやはりインパクトがあると思います。ランスバートンは白ネズミを出していましたね。ただ、Palmer氏の手順にではミスディレクションは効いているものの、技法としては全く新しいものやマジシャンが「追えない」手順ではないと思います。上記DVDの演技では、演技中の声をしっかり拾うためにマイクが設置されているせいか、途中からピヨピヨとかなり大きなヒヨコの鳴き声がマイクに入ります(笑)、また、1つめの動画ではカップから足が出てたりしますし、ロードの時にやはり少しですが違和感がありました。やはり生き物を扱うのって難しいですよね…そういえば、トミーさんがヒヨコのゼンマイおもちゃをロードして、カップを持ち上げたらそれらが飛び出していくという演出を紹介していました。
氏がカップ&ボールを演じる場合、多くは2つ目の動画にあるように、観客参加型で割とシンプルなカップ&ボールを演じるようです。観客がボールやカップを確認して、カップをボールに被せたり、最後は一斉にみんなでカップを持ち上げたり、という感じです。かなりの至近距離で演じるので、観客のコントロールが非常に重要で、難しいのではないかと思います。さすがだと思いました。上記DVDの中でも、ヒヨコを出したFISMの手順ではなく、最後はイモが出る参加型のカップ&ボールの解説をしています。カップセットを片付けるとき、最後のイモを上に投げるが消えてしまうという演出があります。定番のバニッシュですがまんまと引っかかりました(笑)、楽しい終わり方だと思います。観客の方に投げるふりをするのも面白いかもしれませんね。また、ペンをウォンド代わりにして、回すと不思議なことが起こる、ペンのキャップから3つの玉が出現するなどの現象に利用しています。確かに回しやすいですし、キャップからの取り出しもコインの定番であるように良いとは思いますが、個人的には、カップが特別の道具でウォンドだけ日常的なペンというのはどうなのかなぁと思いました。ただし、このあたり、すでに普通の見方を自分はできなくなっている可能性があるので、良くないとは言えません…ちなみに上記2つ目の動画ではペンではなく木製のウォンド(なかなか良さげなウォンド)を使っていました。キャップを開けてその中からという代わりにウォンドを吹き矢のように吹く動作でボールが出現したという演出です。
さて、1978年に撮影されたという氏のカップ&ボールの動画を見つけました。髪型や服装が非常に時代を表していますね(;^ω^)。
Johnny Ace Palmer Cups and Balls | Magicana
まだこのころの手順ではバーノンの手順的なものを含んでますし、最後は大きなボールが出現しています。FISMアクトに向けていろいろ自分なりの改善が行われていったのでしょうね。でも、アピアリングケーンが出てくるカップ&ボールも珍しいですよね(;^ω^)。
氏のカップ&ボールを知ったのは本当に最近でした、上記DVDの存在は知っていたのですが、スルーしていました。そこへ、先日マジシャンのフィギュアをツイッターで紹介されているkerokeroさんのツイートで、カップ&ボールを演じているフィギュアのツイートが紹介されました。素敵なフィギュアです。
「Cups and balls worker: FISM」と名付けられた、カップアンドボールを演じているマジシャン。
— kerokero (@tjngkr) July 24, 2022
テーブルの側面には「fism’88」と、第17回FISMオランダハーグ大会のロゴマークが彫られている。樹脂製。7×4.5×13cm。#マジシャンフィギュア#FISM
#0180 pic.twitter.com/mdop9noMNY
フィギュアのカップの持ち方が不自然というか特徴的だったので、手に持っているのはカップなんでしょうか?とお伺いしたところ、詳しい情報を頂けました。そして、FISM88でヒゲのカップ&ボールを演じている人と言えばPalmerでしょうというkeisuke_izumiさんからのコメントも頂いたので、そこから、スルーしていたPalmer氏のDVDを購入してカップ&ボールの演技を見ていろいろ知らなかった知識を得ました。お二方のおかげです、ありがとうございました。
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