何をどうもがいても、天候だけは操作できない。
早朝の街は、しっぽりと雨に濡れていた。
昨夜の予報では、曇りだったのに。
そのうちに上がることを願って、我が家を後にする。
愛車が目指すは、話題になってから久しい兵庫県朝来市の『竹田城跡』。
ずっと気になりつつも、さほど遠くなく、いつでも行けると言う思いが災いしていた。
JR竹田駅近辺に何ヵ所かある駐車場のひとつに車を止める。
どうにか雨も途切れ、曇天の空が重苦しく広がっていた。
竹田駅舎の裏手から「駅裏登山道」を登るつもりで、駅舎内の観光案内所に立ち寄り周辺地図を入手。
駅前にいる私達は、線路を横切るために、来た道を戻り大きく迂回せねばならないらしいが。。。
案内所で得た、近道云々の耳寄り情報。
その近道とは・・・。
小さな鉄橋の下を、腰をかがめてくぐり抜ける。
初っ端から、こんな珍しい体験ができるなんて楽しいね。
約800m(40分)の山道は、きれいに整備されたほぼ完全な階段コース。
5分も登れば、汗が噴き出す。
先をゆく2人連れに追いつき挨拶を交わし、ちょっと立ち話。
その1人から湿度が90%だと聞き、尋常でない暑さの訳を理解する。
早々とパーカーを脱ぎ、腕まくり。
噴き出す汗にタオルはグッショリ。
25分ほど登りくると、何やら建物が見える。
休憩所かな・・・それは無いはずだよねぇ。
辿り着いてみれば、料金所だった。
ってことは、ほぼ登り切ってるんだ。
カウンターに置かれた扇風機がブンブン回っていた。
その前に暫く立ち尽くすと、汗が引いてめちゃくちゃ気持ちいい。
観覧料を払い歩き出すと、泣いても笑ってもあと3分、と係員の励ましが飛んできた。
ここまで来れば、笑って、笑ってゴールだよ。
観覧コースの指示があり、それに沿って歩く。
スケールの大きさに圧倒された。
ロープで仕切られたコース内は、シートが敷き詰められ歩行しやすい。
途中から小雨が降り出し、少々早足で回る。
山々が見事に色付き、深まる秋を堪能した。
下りは「表米神社登山道」を使ったが、こちらも往路に劣らぬ急階段が全てだった。
半ばで、膝がガクガク笑い出す始末。
いにしえ人達の健脚ぶりを思い知る。
街なかから見上げた石垣は、冷たい雨に霞んでいた。
昼食を挟んで、雨天でも平気なスポットへ。
駐車場から2,3分なので、カサを差していても大丈夫。
滝好き一家が訪れたのは、『猿尾滝』。
車道から既に滝の一部を垣間見ることができた。
くねった岩盤を撫でるような流れの上流へ、ぬれ落ち葉を踏みしめ歩を進める。
滑らぬよう足元に注意しながら。
猿の尻尾に似ていることから、その名が付いたとか。
この時季は、紅葉と白の瀑布とのコントラストが美しい。
今にも、尻尾の端が跳ねそうな気がする。
数日前の、小雨に煙る滝壷にて。