MacTiger!

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映画評論90「東京物語」(1953年 日本)

2008-01-02 20:17:22 | Weblog
(ストーリー)

昭和28年、尾道に住む周吉、とみ夫婦は、東京に住む息子、娘の下に上京する。息子たちは、歓待するようでいて、夫婦を邪魔者扱いする始末。唯一、親身に面倒を見てくれたのは、死んだ次男の嫁、紀子であった。子どもたちが親離れしていく風景に、寂しさを感じつつ、夫婦は尾道に帰郷するが…

DVD

(評論)☆☆☆☆☆

小津安二郎監督の日本の家族の縮図、風景を描く名作。ものの評論によっては、戦後の日本の家族関係の崩壊を描くというが、これは昭和28年の物語ではなく、現在進行形(そういう意味では近代以降の普遍的な家族のあり方)の日本の家族風景である。一方で情愛の絆、他方で希薄な冷めた関係、二つの相矛盾する構造が、今の日本の家族である。それでいながら、本作が決して悲観的な映画でない印象を受けるのはひとえに笠智衆が演じる周吉と原節子演じる紀子の人柄の良さである。人が幸せになるために家族は生まれるが、また、幸せになるためにばらばらになっていくのは避けられない。本作のラストパートは、深い家族観、哲学に満ちあふれている。ぜひ、見るべし。
あと最近、昭和レトロブームだけど、「3丁目の夕日」より、本作や1950年代の日本映画を見る方が、よっぽど昭和に浸れます。よく右翼や保守よりが、「日本」を語るけど、本作や黒澤明、大林作品等の日本映画を名作こそが、本当の等身大の日本らしさを語っています。
どうでいいが、本作と大林映画は「尾道」つながりで、次回評論予定の周防監督のデビュー映画「変態家族 兄貴の嫁さん」は、本作を含め小津作品へのオマージュだそうです(笑)


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