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読書感想【空の境界(上)】

2010年10月14日 13時29分14秒 | おしらせ
 文庫版『空の境界(上)』を読了した。
 1冊読むのに3、4日かかってしまっている辺り、さすが遅読家である。
 最初に思った感想は、よく調べられているなぁ、だった。
 もちろん面白いとかカッコイイとか漢字の使い方が巧いとか、そちらが先行するのだけれど、専門用語連発シーンがあって、半端ねぇ! と思ったのだ。
 解説で、綾辻氏が述べられているとおり、空の境界は《伝綺ノベル》でありながらも《新本格ミステリ》の性格も持っている、そのものずばり《新伝綺》なのだ。
 ただ、奈須きのこにしてはまだ文章力が弱い。
 ゴツゴツした、堅苦しさもある。
 まだまだ粗い。
 しかし、それがまた作品の持つ味、つまり持ち味となっていたりする。
 面白かったのは、後に登場する荒耶(あらや)という敵の伏線の一つとして《嵐夜》で《あらや》と読ませたところがなかなか豪快だった。
 そんな軽妙なことをやりつつ、偽名として《荒耶宗蓮》の名を使用するという大胆不敵なこともするのだから実に面白い。
 奈須きのこは、特異な才能の持ち主である。
 キャラの立て方からストーリィの建て方まで、実に巧妙で論理的。
 理詰めすぎるのがたまに瑕(きず)だけれど(苦笑)。
 この空の境界という物語は、奈須きのこの若々しさが宿る作品、といったところだろう。

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