唯記【実績／十隻】

　母が要らないと言った明太子を引き取って、タラコスパゲッティーにした。
　ちと砂糖を入れすぎて甘くなったが、かなり美味だった。
　まだ明太子あるし、今晩も作ろうかなぁ。
　ところで。
　７月１日にここに荷物を搬入してから、もう３ヶ月が過ぎた。
　実質的に棲み始めたのは家電が届いた５日からだけど、まぁ、だいたい３ヶ月だ。
　デイケアの担当スタッフと話し合って、《まずは誰にも影響されずに独りきりで３ヶ月生活しよう》と決めていた。
　本当はこの３ヶ月は誰も部屋に上げてはならなかったのだけど、一度だけ内緒で上げた。
　それは完全に秘密裏になっているから、ボクはこの３ヶ月を独りきりで暮らし切った、ということになるわけである。
　この３ヶ月は早かったけれど、いざ３ヶ月前のことを思い出してみれば、とても懐かしく感じられる。
　一人暮らし３ヶ月の実績。
　これが一つ目の階段(課題・目標)だった。
　ようやく一段目。
　しかしここからはとんとん拍子に事が運ぶようだ。
　次の階段は、就労査定（適性検査）。
　障害者職業センターにて色んな作業をして、自分がどんな職業に向いているのかを見定める訓練。
　まぁ、これもざっと１～３ヶ月くらいかかるらしいのだけど、これは人によってマチマチなのだという。
　その次の階段。
　就労。就職。
　ここまで来ればもう、ほとんど最終段階で、次はこれを維持すること、継続すること、というのが課題となるわけだ。
　ここまで来ると、もしかしたらデイケアは卒業になるかも知れない。
　別に、たいした心残りはないのだけれど。
　卒業が旅立ちを意味するのなら。
　旅立ちの鐘を鳴らせばいい。
　半年後には確実に働いていたいものだ。