夫が亡くなってから二週間が過ぎました。
まだまだ、実感が伴わず、夢の中で時間が過ぎているような気がしています。
でも、現実には、役所関係の手続きなどやらなければならないことがたくさんあり、悲しみに暮れている暇もありません。
今日は、保健所に行って、夫の『医師免許』を返納してきました。
夫の死後、今日まで、市役所など様々な手続きをしてきましたが、それは、今の社会から夫の名前を、夫の存在を消すための手続きでした。
この世から、夫を消すための手続きとは、なんと辛いことでしょう・・・。
中でも、今日の『医師免許』の返納は、胸が締め付けられる思いがしました。
だって、私は、夫がこの一枚の免許証を誇りに思い、そして、命をかけて仕事をしてきたことを知っていますから・・・。
結婚したとき、夫は私に言いました。
「これは(医師免許)、自分の命の次に大切なものだ。これがあれば、家族を路頭に迷わすこともないし、守ることができる。 もし、火事や災害に遭ったときは、これを持って逃げてくれ」・・・と。
夫の葬儀の時、本当は、この免許証を棺の中に入れてあげたかったのですが、「国に返納をする」と言うルールがあると聞き、断念したのです。
保健所の担当官は、短い会話の中で私の気持ちを察したのか、「ご家族の記念に・・・」と免許証をコピーして渡してくれました。
夫の霊前に、この免許証のコピーを供えました。
そして、この免許証のおかげで、私たち家族は路頭に迷うこともなく、平穏に生きてこれたのだと改めて感謝をしています。