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「時代」  2015-08-04

2022年04月26日 | I LOVE M&S 

2015-08-04

随分前のTVだったが、八神純子(この字だったろうか?)自身のドキュメント番組が放映されていた。

透き通るような声で、いくつかのヒット曲をもつ彼女であるが、

そこで、語られていた事は、華々しさの裏側の葛藤そのものだったと思う。

「ポプコンで、1位になりたかった。それを阻んだのは、中島みゆきと彼女の歌「時代」だった」

歌唱力とか声の綺麗さでいえば、八神純子が1位をとってもおかしくなかったかもしれない。

ところが、八神純子は、完璧なトラウマをかかえてしまった。

20年以上たっていても、中島の「時代」をきくと、

家に帰ってベッドにころがりこむと、我知れず、涙がこぼれ、大声をこらえながら、泣き続けていた。と・・

どうして、1位じゃないんだ。八神の口惜しさと悲しさ・・・

それは、自分の歌への自負以上に、中島の「時代」を認めようとしなかったせいだろう。

そんな八神純子が東北地震のとき、歌うことしかない。歌で被災地の人々の心をいやしたり、励ましたりしたいと考える様になった。

そして、八神純子が被災地にむかうと・・・・・

あろうことか、被災地の方々の口から出てきた言葉は

「中島みゆきの「時代」をうたってくれないか」だった。

今、出来る事は、被災地の方々が欲しいという歌を歌う事、一番必要とされることを渡せないなど歌手じゃない。

もっと、たいへんなのは被災地の人々なのだと

八神は自分のトラウマをおさえこんで、憎き「時代」を歌い始めた。

すると、聴いている人が

涙をぽろぽろながし、拭おうともせず、八神の歌う「時代」に耳を傾け心を預けているのが八神に判った。

後に八神は言う。

「あんな若いころから、こんな歌をつくれた中島みゆきだったんだ」と。

八神はその時にはじめて、トラウマから解放され

中島みゆきの「時代」のもつ「力」に衝撃をうけた。

そして、八神はむしろ積極的に「時代」をうたうようになった。

そんな風に、大きな地震が一人の人間の心をも崩し去り

八神が打ち立てた復興は

「メッセージをつたえていく・エールをおくる」ということだったろう。

その方法に、中島だから、八神だからというものは介在しないと知ったとき

「時代」が自分の心に響いてきたことだろう。

その当の中島のインタビューが有った。

ー 無で歌えない。

なにかしら、こう受け止めてほしいとか

此処をうけとってほしいとか

作為的な思いがはいってしまう。

いつか、きっと、無でうたえるようになりたい ー

この世の中の歌は、

その時々には、右から左に流されていくものもあろう。

ちょっと、光ってるね。と、そうしかおもわなかったものが

30年近くの時をへて、多くの人の心をささえるとは

中島とて思いはしなかっただろう。

その「歌を作りたい」という、最初の一歩はもうすでに無我の境地だったろう。

 

歌を楽しむ。と、いうのは そういうところかも知れない。

ただただ、音をききたい。

そんな思いをシェアしていった、ある男性の事を次回あたりにかいていきたいと思っている。

 


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