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会社にケンカを売った社員たち~リーガル・リテラシー~

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【Xセンター事件】東京高裁判決の要旨(平成27年8月26日)

2017年03月08日 08時00分00秒 | 会社にケンカ!の判決
▼ XセンターおよびAは前訴和解後において、和解条項に反する不誠実な態度をとり続け、労務管理において職場環境に配慮する等して、再発防止に努める旨の前訴和解条項に基づく義務の履行を怠ったというべきである。また、Xセンターの前訴和解後の対応は周知義務の履行としても不十分である。

▼ Bの発言は本件総会に出席した会員らにYが問題行動をする職員であるとの印象を持たせ、その社会的評価を著しく低下させる行為であり、その発言内容は総会における議案の説明または質問に対する答弁として必要かつ相当な範囲を超えているから、違法にYの名誉を毀損していると認められ、名誉毀損行為である。

▼ Xセンターは前訴和解条項に基づく再発防止義務および周知義務の不履行について、債務不履行責任および不法行為責任を負い、理事であるBの名誉毀損行為について、不法行為責任を負い、またAは再発防止義務の不履行について、債務不履行責任および不法行為責任を負うとともに周知義務の不履行およびBの名誉毀損行為について共同不法行為責任を負い、さらにD・Eらは再発防止義務および周知義務の不履行ならびにBの名誉毀損行為について、いずれも共同不法行為責任を負う。

▼ Yの精神的苦痛は多大なものと認められるから、これに対する慰謝料額は300万円を下回るものではないというべきであり、弁護士費用は30万円を下回るものではない。

1)原判決を取り消す。
2)XセンターらはYに対し、連帯して330万円およびこれに対する遅延損害金を支払え。
3)訴訟費用は第1、2審とも、Xセンターらの負担とする。
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【広島中央保健生活協同組合事件】最高裁第一小法廷判決の要旨(平成26年10月23日)

2016年03月02日 08時00分00秒 | 会社にケンカ!の判決
▼ 均等法の規定の文言や趣旨等に鑑みると、同法9条3項の規定は目的および基本理念を実現するためにこれに反する事業主による措置を禁止する強行規定として設けられたものと解するのが相当であり、女性労働者につき、妊娠、出産、産前休業の請求、産前産後の休業または軽易業務への転換等を理由として解雇その他不利益な取扱いをすることは同項に違反するものとして違法である。

▼ 一般に降格は労働者に不利な影響をもたらす処遇であるところ、均等法1条および2条の規定する同法の目的および基本的理念やこれらに基づいて同法9条3項の規制が設けられた趣旨および目的に照らせば、女性労働者につき妊娠中の軽易業務への転換を契機として降格させる事業主の措置は原則として同項の禁止する取扱いに当たるものと解される。

▼ 当該労働者が軽易業務への転換および当該措置により受ける有利な影響ならびに同措置により受ける不利な影響の内容や程度、上記措置に係る事業主による説明の内容その他の経緯や当該労働者の意向等に照らして、当該労働者につき自由な意思に基づいて降格を承諾したものと認めるに足りる「合理的な理由」が客観的に存在するとき、または事業主において当該労働者につき降格の措置を執ることなく軽易業務への転換をさせることに円滑な業務運営や人員の適正配置の確保などの業務上の必要性から支障がある場合であって、その業務上の必要性の内容や程度および上記の有利または不利な影響の内容や程度に照らして、上記措置につき同項の趣旨および目的に実質的に反しないものと認められる「特段の事情」が存在するときは同項の禁止する取扱いに当たらないものと解するのが相当である。

▼ 承諾に係る「合理的な理由」に関しては、有利または不利な影響の内容や程度の評価に当たって、上記措置の前後における職務内容の実質、業務上の負担の内容の程度、労働条件の内容等を勘案し、当該労働者が上記措置による影響につき事業主から適切な説明を受けて十分に理解した上でその諾否を決定し得たか否かという観点から、その存否を判断すべきである。

▼ 「特段の事情」に関しては、業務上の必要性の有無およびその内容や程度の評価に当たって、当該労働者の転換後の業務の性質や内容、転換後の職場の組織や業務形態および人員配置の状況、当該労働者の知識や経験等を勘案するとともに上記の有利または不利な影響の内容や程度の評価に当たって、上記措置に係る経緯や当該労働者の意向等も勘案して、その存否を判断すべきものである。

▼ Xにおいて、本件措置による影響につき事業主から適切に説明を受けて十分に理解した上でその諾否を決定し得たものとはいえず、Xにつき自由な意思に基づいて降格を承諾したものと認める合理的な理由が客観的に存在するということはできない。

▼ 本件措置については、H組合における業務上の必要性の内容や程度、Xにおける業務上の負担の軽減の内容や程度を基礎付ける事情の有無などの点が明らかにされないかぎり、均等法9条3項の趣旨および目的に実質的に反しないものと認められる特段の事情の存在を認めることはできないものというべきであり、これらの点について十分に審理し検討した上で上記特段の事情の存否について判断することなく、原審摘示の事情のみをもって直ちに本件措置が均等法9条3項の禁止する取扱いに当たらないと判断した原審の判断には審理不尽の結果、法令の解釈適用を誤った違法がある。原審の判断には判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があり、原判決は破棄を免れない。


原判決を破棄する。
本件を広島高等裁判所に差し戻す。
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【医療法人 稲門会事件】大阪高裁判決の要旨(平成26年7月18日)

2015年07月01日 08時00分00秒 | 会社にケンカ!の判決
▼ 育児介護休業法10条は、労働者が育児休業を取得したことを理由として、当該労働者に対し、解雇その他不利益な取扱いをしてはならない旨定めているところ、このような取扱いにより育児介護休業法が労働者に保障した育児休業取得の権利を抑制し、ひいては同法が労働者に上記権利を保障した趣旨を実質的に失わせる場合は、公序良俗に反し、不法行為上も違法になるものと解するのが相当である。

▼ 育児介護休業規程9条3項のうち、3ヵ月以上の育児休業をした従業員について、その翌年度の定期昇給において、職能給の昇給をしないとする部分(本件不昇給規定)は、1年のうち4分の1にすぎない3ヵ月の育児休業により、他の9ヵ月の就労状況如何にかかわらず、職能給を昇給させないというものであり、休業期間を超える期間を職能給昇給の審査対象から除外し、休業期間中の不就労の限度を超えて育児休業者に不利益を課すものであるところ、育児休業を私傷病以外の他の欠勤、休暇、休業の取扱いよりも合理的理由もなく不利益に取り扱うものであって、育児休業についてのこのような取扱いは人事評価制度の在り方に照らしても合理性を欠くものであり、育児休業を取得する者に無視できない経済的不利益を与えるものであって、育児休業の取得を抑制する働きをするものであるから、育児介護休業法10条に禁止する不利益取扱いに当たり、かつ、同法が労働者に保障した育児介護休業取得の権利を抑制し、ひいては同法が労働者に保障した趣旨を実質的に失わせるものであるといわざるを得ず、公序に反し、無効というべきである。よって、本件不昇給規定を根拠に平成23年度にXを昇給させなかったT会の行為は不法行為上違法というべきである。

▼ I病院においては評価期間1年のうち勤務期間が3ヵ月以上の者全てを人事評価の対象とすると定めており、Xについても22年度の人事評価をし、Bの総合評価を下したことが認められるので、Xは23年度の終了により、総合評価Bを取得した年数が標準年数の4年に達したのであるから、24年度に昇格試験を受験する資格を得たことが認められ、正当な理由なくXに昇格試験受験の機会を与えられなかったT会の行為は不法行為法上違法である。

▼ Xが昇格試験に合格した高度の蓋然性があるとまでは認めることはできないというべきである。したがって、XがT会の不法行為(昇格試験受験の機会を与えなかった行為)によって財産的損害を被ったものと認めることはできない。

▼ Xは23年度に職能給を昇給させなかったT会の不法行為により、昇給していれば得られたはずの給与、賞与および退職金相当額と実際の支給額との差額相当の損害を被ったと認められるところ、その額は8万円余である。

▼ Xは24年度の昇格試験受験の機会を与えられず、同年度の昇格の機会を失ったことによって、精神的苦痛を受けたと認めるのが相当であるところ、一切の事情を斟酌すると、慰謝する金額としては15万円と認めるのが相当である。

1)本件控訴に基づき、原判決を次のとおり変更する。
2)T会はXに対し、23万9040円およびこれに対する遅延損害金を支払え。
3)Xのその余の請求(当審における請求を含む)をいずれも棄却する。
4)訴訟費用は、第1、2審を通じてこれを5分し、その3をXの負担とし、その余をT会の負担とする。
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【千葉県がんセンター事件】東京高裁判決の要旨(平成26年5月21日)

2015年06月17日 07時55分00秒 | 会社にケンカ!の判決
▼ B部長がXを手術麻酔等の担当から外した行為の違法性について、判断の前提となるXのAセンター長に対する上申等に関しては付加訂正のほかは原判決の判断のとおりである。

▼ B部長がXを手術麻酔および術前診療の担当から外した動機について、22年4月から7月までの間、Gセンターにおいては毎月171件ないし207件の手術が行われており、Xはこのうち毎月12件ないし21件の手術麻酔を担当していたのに対し、同年8月9日から13日までの週および同月16日から20日までの週には、麻酔科医が立ち会う手術が各週ともに50件程度は実施されたと認められるところ、Xはこれらの各週は手術麻酔を1件も担当していない。よって、手術の件数に顕著な減少が見られないにもかかわらず、Xの手術麻酔の割当てがなくなったことはいささか不可解である。

▼ B部長による手術室予定表作成行為の違法性について、一部を改めたほかは原判決の説示のとおりである。

▼ Xは手術麻酔および術前診療の担当から外されたことを動機として、Gセンターを退職することを決意したと認められ、そして麻酔の指導の経験を積むことを希望していたXがその担当業務を奪われれば、退職に至ることも自然である等の事情によれば、B部長によって担当業務を奪われたこととXが退職を決意したこととの間には相当因果関係があると認められる。

▼ Xが22年8月、Aセンター長に対し、同年9月末でGセンターを退職し、県が設置する他の病院への異動も希望しない旨の手紙を書いているが、この手紙の中で手術麻酔および術前診療の担当から外されたことへの抗議がないことは手術麻酔および術前診療の担当から外されたことが動機となって、Xが同センターを退職することを決意したとの認定を覆すものではない。

1.原判決を次のとおり変更する。
(1)県はXに対し、30万円およびこれに対する遅延損害金を支払え。
(2)Xのその余の請求を棄却する。
2.訴訟費用は、第1、2審を通じてこれを6分し、その1を県の負担とし、その余をXの負担とする。

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【淀川海運事件】東京高裁判決の要旨(平成25年4月5日)

2015年02月04日 08時00分00秒 | 会社にケンカ!の判決

▼ 整理解雇の有効性については、具体的には(1)整理解雇(人員整理)が経営不振など企業経営上の十分な必要性に基づくものか否か、またはやむを得ない措置と認められるか否か(整理解雇の必要性)、(2)使用者が人員整理の目的を達成するための整理解雇を行う以前に労働者の不利益性が小さく、客観的に期待可能な措置をとっているか否か(解雇回避努力義務の履行)、(3)被解雇者の選定方法が相当かつ合理的なものであるか否か(被解雇者選定の合理性)、(4)整理解雇の必要性とその時期、規模、方法等について使用者が説明をして、労働者と十分に協議しているか否か(手続の妥当性)などを総合的に勘案した上で整理解雇についてのやむを得ない客観的かつ合理的な理由の有無という観点からその効力を判断するのが相当である。

▼ Y社は平成20年9月に発生したいわゆるリーマン・ショックによる景気減速の影響を受けて、1ヵ月当たりの売上げが急減し、燃料費の高騰等も加わり、その採算性が悪化していたこと、同年12月には顧客のA社から代金の繰上げ支払を受け、消費税や社会保険料の支払いを留保して、ようやく従業員の給与等の支払原資を確保できるほどの厳しい経営状態であったこと、Y社は平成13年頃以降、金融機関からの新規融資が受けられず、上記のようなA社等からの支援を得ることができたものの、A社等からは事業規模に合わせた設備や人員の削減を求められ、そのような経緯を踏まえて、本件会社再生計画を作成し、希望退職者を募集した結果、22年4月には技能職員が40名になり、保有車両も38台にまで減少したものの、排ガス規制により、保有するトラクター2台を廃車にせざるをえなくなり、4名の余剰人員を抱えることになり、同年5月に希望退職4名を追加募集したものの、応募者が予定数に達しなかったことから、本件解雇に踏み切ったのであり、本件解雇時において人員削減の必要性があったものと認めるのが相当である。

▼ 22年4月頃の段階において、技能職員4名を削減する必要性があったところ、Xは5月7日に所定の退職金に一律100万円を加算することとして、希望退職者4名を募集したが、結局応募者は3名に止まったため、同月28日に所定の退職金に250万円を加算するとして退職勧奨を行ったものの、Xは応じなかった等本件解雇に至る経緯を考慮すると、Y社はXを解雇するに先立って、これを回避するための方策を講じていたものと評価するのが相当である。

▼ XのY社に対する時間外手当支払を求める訴訟提起は、同社との関係においてはまさに正当な権利行使として、何ら非難されるべきものではないが、そのことと企業の存続と従業員の雇用の継続を優先して権利主張を自ら抑制した他の従業員がXの行動をどのように受け止めていたかということについては、自ずから別の問題である。

▼ 労働契約関係が労使間の信頼関係に基礎を置くものである以上、企業の存続と雇用の継続を第一に考えるY社の他の従業員らが嫌悪感を抱き、反発し多くの従業員が職場復帰を拒絶する意思を表明しているという関係にあったXを業務の円滑な遂行に支障を及ぼしかねないとして被解雇者に選定したY社の判断は企業経営という観点からも一定の合理性が認められ、不合理、不公正な選定ということはできない。

▼ Y社は本件解雇に際して、「会社ならびに従業員間の協調性に欠けるという点を重視して選定した」などと解雇理由等についてXに説明しているから、なお解雇の違法性を基礎付けるほどの手続上の事由があったとは認めることはできない。

▼ 本件解雇が有効な整理解雇とされるための要件を具備している上、不当労働行為に当たるとも解されないから、解雇権濫用には当たらず、有効というべきであり、Xの本訴請求(判決確定後の賃金等の支払を求める部分を除く)はいずれも理由がない。

1)原判決分第2項および第3項を取り消す。
2)Xの請求をいずれも棄却する。
3)訴訟費用は、第1、2審ともすべてXの負担とする。

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