今日の行楽は秩父札所巡礼の続きを車でまわろうという企画だ。巡礼は自由で期間限定は無く、札所の番号通りに巡らなくても良い。まわりやすいように好きな番号から参拝してOKだそうだ。しかも徒歩はもちろんクルマで巡っても電車バスで巡ってもOKなのだ。
でもあまりにも自由すぎるので、個人的な拘りとして札所の番号通りに巡ろうと思う。
という事で前回7番法長寺の続き、今日は8番西善寺から駒を進めよう。

秩父へは中央自動車道から圏央道を上って狭山日高ICで降りるルートを取った。世間的に3連休初日という事もあって乗っけから首都高速大渋滞を覚悟して早めに車を出したが、意外と予想がハズレてくれて嬉しい。ちと出発時間早過ぎたかな。

交通量はそこそこ多いが渋滞は全く心配なしでスイスイ走れた。今回はチョロQで今までにない距離を走る事になるのだが、ネットの評価ではあまり長距離の運転には向かないという声が多かった。ホイールベース2mという短さからくる乗り心地は乗り手によってまちまちだが、やはり高速道路の継ぎ目や僅かな段差などにシビアに反応してしまう。さすがにベンツと比較するのは酷というものだが、今までになかった路面の振動がモロに伝わってくる。結論を言うとこういう乗り心地だから長距離が向かないという理屈なのだろう。まあ今の所個人的には大した疲れも感じない。

まだ時間も早いし何気に寝不足気味なので狭山PAで仮眠を取る事にした。グッスリ寝た筈なのに夜中に起きた大きい地震で起こされたのが原因だった。
狭山PAでは何と2時間も寝落ちしてしまった。
急いで狭山日高ICを降りてあとは国道299号線を道なりに直走る。といっても秩父まではこのクネクネ道が約40kmも続くのだ。

そのクネクネ道も「ハンドリングが楽しい車」という評価から楽しみにしていた区間だが、実際走ってみたら意外と楽しくて飽きが来ない印象だ。革巻きで握りやすく、ある程度抵抗があるので安易に回りすぎる事もない快適なハンドリングだ。お陰でほとんど信号がない単調な山道もベンツとはまた違った感覚の「楽しさ」を味わう事ができた。やがて長い正丸トンネルに入る。甲州街道で言えば笹子トンネルみたいな存在だろう。これを越えると芦ヶ久保を経てようやく秩父だ。

ドライブネタでだいぶ引っ張ってしまったが、ようやく札所の案内板が見えてきた。案内に従って路地に入り、急坂を上がって行くと今回のスタート地点、縁起の良い「八番始め」の札所8番西善寺だ。狭山PAで仮眠を取り過ぎたため到着が10時半になってしまった。当初は8番だけに8時を予定していたので大幅な時間ロスである。

ようやく秩父巡礼再開となり、めでたく八番始めとなったが、逆に末広がりの八にちなんで縁起を担いでこの札所8番を結願にする人が多いそうだ。十一面観音を祀る西善寺はボケ封じの寺としても知られ、境内のシンボル、コミネカエデが有名。この楓が見頃になる時期は拝観料が必要になるそうだ。

2ケ月ほど埃をかぶっていた御朱印帳に墨が入った。34番とはまだまだ先が長い。秩父は行くまでが大変だが、札所間の移動が車というのは膝への負担軽減と大幅な時間短縮になる。ここから次の明智寺までは地図的にはそう遠くなさそうに見えるが約1.9kmも歩く。初のマイカー巡礼はすごく楽だ。徒歩巡礼の方を瞬時に抜き去ってもう9番に着いた。

札所9番の明智寺は如意輪観音を本尊とする寺で、六角堂が本堂というのも珍しい。
参拝を終えて納経所で呼出のピンポンを鳴らしたら直ぐに窓が開いて「ここに居る時は鳴らさないでくださいよ!失礼でしょ!」と叱られた。なんだコイツ?
だったら居る時は鳴らすなぐらい書いとけ!と語気を荒げてやろうかと思ったが、御朱印を貰えないとマズイので適当に吠えさせておいたが、9番の納経所は感じが悪いので要注意である。他のクチコミでもっとひどい事を言われた方もいた。皆さん心の安らぎを求めて来るのだからこれではブチ壊しである。
こんな所に長居の価値はないのでさっさと次に進もう。

9番から10番札所間は2.2kmと少々開きがある。ガイドには歩けば45分とあるが車ならあっという間だ。札所は34ケ所全部に専用駐車場を用意しているのでマイカー巡礼も安心してまわる事ができる。
札所10番の大慈寺(だいじじ)は聖観音を本尊とする寺。参拝を済ませ御朱印を頂いた。大慈寺の駐車場は少し離れた所にある。今日の全行程で一番距離を歩いた区間だ(笑)

続いて札所11番の常楽寺へ。大慈寺からは1.1kmと近い。割と市街地寄りで札所が密集する中盤戦は本来なら徒歩巡礼には持ってこいなんだけど、膝のコンディションを考えると断念せざるを得ない。
当然ながら車ではあっという間に到着。前回のオール徒歩とは比べものにならない程ペースが早い。

距離的には僅かだが大慈寺とは山を挟んで反対側に位置する。観音堂と庫裡だけのひっそりした佇まいだが明治の大火で焼失するまでは立派な伽藍の大寺院だったという。伺った時はちょうど3~4人の巡礼の方が御朱印帳を手に訪れていた。

膝の調子は相変わらず横這いで急な下り階段は少々辛い。しかし今日は膝の塩梅よりも風邪の症状が気になる。寒気も癒えないまんま強行したので突然ぶっ倒れはしないかとそっちの方が心配である。
お次は札所12番の野坂寺へ。常楽寺からは1.3kmと近い。ここから暫くは市街地の札所を巡る事になる。前にも述べたが札所は全部まわると距離にして100kmあるそうだ。自分は膝を痛めて早々に徒歩巡礼を断念したが、この先とても歩いて行けないような遠い札所もあるので、これからもマイカー巡礼を続ける予定だ。

聖観音を御本尊とする野坂寺(のさかじ)は芝桜で有名な羊山公園のそばにある。車移動だとカーナビ頼りでピンと来ないが、西武秩父駅からも気軽に歩いて行けそうな距離にある。重厚な山門にはインパクト大のあずかり観音や十牛観音が参拝者を出迎える。四季折々の花の寺としても知られ、羊山公園観光にはセットで訪れたい寺院だ。

次の札所13番慈眼寺は駅から最も近い場所にある。野坂寺からは1.5kmの距離、西武秩父駅を過ぎて御花畑駅の直ぐ近く。まだ福井さんが生きていた時代からこのお寺の前を何度も通り過ぎてきたが、その当時から「札所の順番」を強く意識していたため、今まで一度も門をくぐっていない。

彫刻が見事な大悲閣は1番の四萬部寺を模したものと言われている。目の薬師としても知られ、境内には漢方薬のメグスリノキが植えられている。御朱印を頂いてる間、メグスリノキで煎じたお茶を出して下さった。納経所ではそのお茶も販売していた。

足早に次の14番に向かう。慈眼寺からは僅か600m、以前訪れた今宮神社の先にある。
札所14番の今宮坊は路上に札所14番の横断幕を張っているので遠くからでも直ぐわかる。他にもマイカー巡礼をしてる方が数名いらして、さっきの札所で見かけた車が止まっていた。

8番で徒歩巡礼の方を見かけたが、ペースが圧倒的に違うのでその後は見ていない。自分も徒歩巡礼だったら今頃はまだ10番辺りでヒーヒー言ってたかも知れない。今宮坊は永観2年(984年)創建と実に古く、弘法大師が訪れた際に観音像を祀る御堂を建てたのが始まりとされる。

かつて今宮神社の方まで寺域だったが明治の神仏分離で今のスタイルになったそうだ。御朱印を頂いて次へ進む。バス通りを横切り、秩父鉄道の踏切を越えるとすぐである。今宮坊から次の札所15番少林寺までは1km未満と歩くには丁度良い。

本堂は一見洋館風の佇まいだが、これは札所唯一の土蔵造りだそうだ。秩父の大火で焼失した本堂を再建する際、防火対策で外壁を漆喰にしたためだ。ここも御朱印を頂きに見えた巡礼者と数名すれ違った。こうして見てきたが土曜日にしては人出はそんなもんかという印象だった。最悪行列も覚悟していたので少々肩透かしだったかも(笑)

さて、8番から駆け足で15番まで札所を巡ってきたが、時計を見たら何とまだ午前中だった。なんというマイカー巡礼の効率の良さだろう。このペースなら今日中に橋立辺りまで行けちゃうんじゃないだろうか?って位のハイペースだ。と思ったがそうは甘くなかった。
次の16番をカーナビで検討していた時、急に体調のダルさが露呈してきた。身体を動かしていたから寒気に気付かなかったのと、まだ不慣れな運転疲れがドッと出てきて、身体は16番よりも温泉を欲求してきたのだ。
という事で本日の札所巡礼は8番から15番までと少々中途半端な区切りで終わってしまった。とは言え車運用の巡礼は予想以上に効率が良い事が分かったので、結果的には満足である。
本来夕方頃を予定していたシメの温泉を早くも昼過ぎに味わう事となった。
とりあえず駅前のコインパーキング式の駐車場に入れたら自分の車で満車になった。ギリギリセーフでラッキーだった。もし駐車できなかったらどうなっていただろう。この体調を思うとゾッとする。
温泉の前に食事がまだだったのでフードコートでわらじかつ丼を所望。

さすが土曜日でフードコートは大変な賑わいだ。なんとか座る場所を確保して昼食にありつけたが、今度は食気より眠気が襲ってきた。やっぱり今日は普通と違う。早々に祭の湯に入って身体を癒した。今回入った高濃度炭酸泉は今まで入った中で一二を争う程の気持ち良さだった。風呂から上がって、まだ時間に余裕があるのでお休み処で仮眠を取る事にした。意に反して風邪の影響で身体に結構なダメージを与えていたらしく、仮眠どころか2時間ほど爆睡してしまった。夕方ある程度快復して運転ができる程度に元気を取り戻したので温泉を後にした。駐車場はまだ順番待ちが出る満車状態だった。
カーナビをセッティングしてきた道を戻る。あれだけの距離をまた走るのかと気が滅入る。

帰りは関越道コースを選択すればよかったかな。慣れない距離感にウンザリだが、幸い天気にも恵まれ、氷点下でも路面凍結は無く快適にドライブする事ができた。
圏央道に乗って再び狭山PAへ。ワインディング疲れで軽く睡魔が襲ってきたので仮眠を取る。しかし軽く10分程度のつもりが1時間もガッツリ寝落ちしてしまって外は真っ暗になっていた。

これはマズイ。大幅な時間ロスである。急いで圏央道を走り、中央自動車道から首都高速を経て何とか無事に帰宅。到着予定はまさかの2時間の遅れだ。本来ならタッチ&ゴーで横浜に向かうはずが、疲労がドバッと出て再び寝落ち。
おかげで出発は更に2時間遅れて22時過ぎになった。結果的に身体は風邪の影響でフラフラ状態になってしまったが、今回初のマイカー巡礼は予想以上に効率が良かったので大成功である。