本日も前回に引き続き秩父のドライブ巡礼に出かけた。朝7時に首都高速に乗ったら意外と流れている。交通量は多いけど山手トンネルから4号線、そして中央自動車道と渋滞で止まる事無く順調に進み、いつものように八王子から圏央道で北上して狭山日高ICで一般道に出る。
交通量が多めで詰まるのではないかと心配の国道299号線も滞りなく流れていた。今日はツーリングのバイクをやたらと見かける。
順調に正丸トンネルを抜け午前9時に秩父に入った。家から丁度2時間で着いたが、西武線特急なら1時間半を切るのだから電車のコスパは素晴らしい。
コンビニで朝食を取り、カーナビを調整して浦山口方面へ進路を取る。秩父の札所はあちこちに道標や案内板が出ていて、徒歩でもクルマでも安心して巡る事ができる。浦山ダムへ至る県道73号線を途中で逸れて細い道を進んでいくと、高さが65mある石灰岩の絶壁が出現した。
武甲山の外れに位置する札所28番の橋立堂はその絶壁を背後に建つ独特の景観だ。34ケ所ある札所の中で唯一馬頭観音を祀るお寺だ。加えて境内に鍾乳洞がある寺はここだけ。
過去に鍾乳洞目的でこの寺に来た事があるので今回は二度目の参拝だ。その時は札所を34ケ所全部巡ろうなんて無謀な行いは頭にも浮かばなかったが、こうして順打ちで札所を巡ってきたかと思うと我ながら失笑。
境内の一部で紅葉を散見できたが、まだ時期尚早のようだ。
埼玉県でも数少ない鍾乳洞を観て行く事にした。入場料は一般200円。順路の石段をずっと降りて行くと小さい鍾乳洞入口に着く。中はいきなり狭くて腰をかがめ気味に進んでいくと間もなく登りの階段。ここは下から上に向かって登っていく珍しい縦型の鍾乳洞なのだ。なので後は出口までひたすら登りである。
洞内は照明完備で通路も舗装されて足元は安心だが、階段が急でものによっては垂直に近いハシゴ登りの階段もあって下半身にゾクゾクくる。探検約10~15分と短いながらもスリルあって楽しめたのでココはオススメだ。この鍾乳洞は橋立堂の奥の院なのだそうだ。
御朱印を書いて下さる叔母さんは清掃点検で毎日鍾乳洞に入ると言っていた。ちなみに来月から冬季閉鎖になるので今日入れて良かったと思う。
本日の撮影機材はデジカメ5機種に増やしてみた。旗艦のGM5、スナップのG9X、トリミングのGR
、望遠のTZ85、超広角のKM170とそれぞれ役割を発揮させようという魂胆だが、早くも現場でアレコレ撮った撮らないで混乱している(笑)。恐らく帰宅後の編集はもっと混乱するかも。
続いて29番の長泉院へ。庭園が見事なお寺だ。橋立堂からクルマでは割と近いがガイド本によれば徒歩40分の道程。
参道入口のオドロオドロしい木が魔界村っぽい雰囲気だが「よみがえりの一本桜」という枝垂桜なので、満開シーズンは景色が激変する事だろう。境内の緑に囲まれた石庭に暫し見とれる。性空上人が巡礼で納めた石札が由来で別名・石札堂とも言われる。
元は笹戸山の山頂付近に建っていたが焼失・崖崩れで再建できず、現在の場所に落ち着いたとの事。そうと知って助かった(笑)
再び石庭をボーッと眺めて御朱印を頂きついでに「写真で見る秩父札所」というガイドブックも買っていく事にした。内容が分かり易くて東京の本屋では見かけないのでイイ記念になった。
さて札所も20番台が終わって最後の30番台に入る。今までわりと札所間が近かったが次の札所30番・法雲寺は7キロ先とかなり離れている。
29番からは車で約15分、徒歩だと2時間20分という道程。ここで区切って次回にまわすかと判断の分かれる所だが、こういう時のクルマは実に有り難い。最寄りは秩父鉄道の白久駅で、そこを過ぎて1㎞ほど細道を進んで行くと山の中腹で行き止まり、その先が法雲寺である。徒歩で来られた巡礼の方にはホントに頭が下がるね。
池を囲った見ごたえある庭園の奥にデーンと構える観音堂の存在感に暫し見とれる。余りに気を取られてスマホアプリのチェックインを忘れてしまった。これは失態!
江戸初期に建てられた朱塗りの観音堂は歴史の重みを感じる実に癒される光景だった。
専用駐車場にはマイカー巡礼の車が3台ほど停まっていた。玄関口の白久駅は熊倉山登山の下車駅でもあり、登山客やハイカーの方も散見した。ナルホドそうか今日は日曜日だった。だからいつも人ッ気のない巡礼もあちこちで巡礼者を見かけたのか。
30番を後に次へ向かう。30番~31番の札所間距離は全札所の中で最も長い。ガイド本によれば最短で約17㎞先の山中にある。歩いて行けば約5時間半かかる一番の峠である。
30番から先、31番、32番、33番、34番はそれぞれ距離があって1日で巡るのは無理だろう。富士登山で言えば八合目を過ぎた胸突き八丁といった所だろうか。
カーナビの案内で車を走らせるが、この距離を徒歩となると遭難という二文字も浮かんできそうだ。恐らく電車徒歩巡礼だったら31番1ケ所だけで1日が終わりそうだ。やがて県道から集落を抜けて細道は山へ分け入り、終点の駐車場に着いた。
視界に入ってくる仁王門は他とはちょっと違ったオーラを放っている。仁王門らしい威厳はないが珍しい石で出来た仁王像が仁王立ちしていた。観音院裏山から採掘した石材で彫られ明治元年に奉納された。高さは約3mあり石像の仁王像としては日本一大きいものだという。
周囲は森に囲まれた山寺で、街中の札所と景色が一変する。本堂は上の方にあるので仁王門だけがポツンと建っている感じだ。門から296段の石段を登って行くのだが、一直線のモンスター石段ではないので精神的な衝撃は無い。
点在する石仏や句碑を眺めながらの登段は気が和んで疲労も和らいだ感がある。やがて境内に到達して分岐を右に行けば本堂、左は西奥の院へ続くのだが、岩盤の崩落事故で通行止になっている。
境内に進むと、巨大な岩壁の窪みに建つ本堂の迫力ある景色が飛び込んでくる。観音山(698m)の中腹にある山寺だ。
左脇に落差20mの聖浄之滝、その上に石段と鎖を伝って登る「滝の上石仏群」があるが、これも落石崩壊の類で通行止になっていた。滝の手前には弘法大師による一夜爪彫の磨崖仏を見る事ができる。埼玉県の文化財で雨を凌ぐ屋根が設けられている。
この山一帯には十万八千躰の石仏があると言われるほどあちこち至る所に石仏が居て、崖の途中の窪みや路肩の茂みなど探しながら歩くのも面白い、石仏ファンには堪らない石仏ワンダーランドだ。
昭和47年に再建された割と新しい本堂を参拝して納経所で御朱印を頂いた。
御朱印ゲットの安心感でついアプリまで気が回らないものだが、忘れないうちにチェックインしておこう。でないとまた296段往復するハメになる(笑)
納経所の奥に東奥の院への参道が続いていて、更に登って行くと石仏や道標が現れ奥の院に至る。
手前の案内板に「東奥の院ミニハイキングコース」とあり、奥の院を含めてぐるっと石仏群を巡る参道が設けられている。よく見ると一周約15分と簡単そうだったので踏破してみる事にした。まずは奥の院を参拝して休憩所で一休み。そして振り返ると木々の間から遠くの山々が一望できた。さすが札所中最西端の31番である。しかしこんな山の中に在るとは些かクリビツ!
対岸の崖の中腹に、先程通行止めで行けなかった「滝の上石仏群」が見えた。といっても遠くて肉眼ではよく見えないので望遠デジカメで拝観。この札所31番は結構見所が多いので予想以上に時間を食ってしまったので、本日満願はちょっと無理そうだ(笑)ってどんだけ刻んでんだか。
あと3ケ寺を残すだけとなったが、それは次回に見送って今日はこの観音院で終了。
巨大な岩山をぐるっと回り込むように参道は続き、裏手に岩窟(かぶり岩)石仏群と畠山重忠馬繋跡を見る事ができる。観音院は東西2つの奥之院があるが、西の方は岩盤崩落の通行止めで観る事はできない。
味わい深い石仏を一躰一躰拝んでいては日が暮れてしまうので、キリのいい所で撤収する事にした。
拝観には約1時間半弱、もし西の奥之院も参拝していたとしたら2時間はかかっただろう。
駐車場まで戻り、来る途中にあった手打ちそばの観音茶屋で遅めの昼食&休憩をとる事にした。コンビニすら無い山の中だから食事は街中に出て…なんて思っていたから、このタイミングでお茶屋ってのは凄く有り難い。
店の中は早くもストーブが焚かれ、土産物フロアもある古民家風の良い雰囲気だ。鍋焼きうどんで身体を暖めた。秩父名物「鬼ころり」(山芋とそば粉を練って油で揚げた郷土料理)はここでしか味わえないそうだ。
ここで暫く休んで、今日の巡礼ドライブはこれにて終了。あとはカーナビに自宅を設定して帰るだけだが、ここまでは順調だったのにまさか想定外の大渋滞!
31番の山を下りて秩父市内を抜けて峠を越える予定が、秩父市内の予想以上の渋滞で流れが停まってしまった。そうか!今日は日曜日だからか。交差点の信号が青になっても進まず、恐らく青信号5回は見送っただろうか。メインの国道299号は酷道と化したのでコースアウトして急がば回れで空いてる道をショートカットした。
しかし大渋滞は秩父市内だけじゃなかった。299の正丸峠越路も断続的な渋滞で気ばかり焦る。
一番困ったのはトイレではなく猛烈な睡魔だった。これには参ったね。無事に帰宅する自信を失いかけながら窓全開にして目を覚まし、ようやく圏央道に乗れたのが18時。予定だと遅くとも17時には帰宅する計算でいたので飛んだトバッチリだ。まずは狭山PAでトイレ休憩。
睡魔の撃退アイテムとして「わさびチーズ」なんて美味そうな武器をゲットして高速を急ぐ。このチーズ鼻にツンツンきてとても美味いので睡魔が襲ってくる前に完食してしまった。
圏央道は流れていたが、中央自動車道&首都高速は断続的に渋滞したため、帰宅は3時間遅れの20時過ぎだった。