【圧縮コイルばね(スプリング)は伸縮時に回転運動しようとする】
こんな特性を妨げないようなサスペンション改造があるらしくてネット上で色々調べて
みたら先人達が実行してたので興味が湧いてきたよ。
YBRのフロントフォーク内にもスプリングがあるよね。
赤丸の平ワッシャー(スプリングシート)がフォークスプリングやカラーパイプの間にあって
他のバイクも似たり寄ったりの構造になってる。
ここにベアリングを入れるとスプリングの伸縮動作の回転が円滑になってフォークの動き
が滑らかになるとの事。
いつもの様に簡単説明、画像多めで27枚! 長文覚悟せよ~
とにかく車体の調査。
フォークの内径を測るためにフォークトップを掴んでるアッパーブラケットの固定ボルトを
緩める。
これをやらないとフォークトップキャッブを回せない。
トップキャップはお馴染み対辺14mmの高ナットで緩める。
外すとカラーパイプが見えるので抜く。
外径24mmの17mmソケットは奥の段差にギリギリ入らないので内径24mmな感じ。
図面にあるワッシャーを針金で吊り上げて外径を測ると23.22mm。
内径と隙間はあったから外径23.0~23.8mmくらいのベアリングでも有ればいいん
だけど汎用規格の最小は24mmジャストだからダメ。
ベアリングってヤツは精度が高いのでピッタリでは入らない。
ニードルタイプの24mmスラストベアリングを使いたいんだけど、リテーナー(保持器)
の硬度と構造的に外径研磨加工は危険と判断してあきらめた。
GN125で実行した先人さんがボールベアリング型スラストベアリングで成功した例が
あった。
純正ワッシャーと追加購入ワッシャーで挑戦してみようと思い立ち、ホムセン加工用平
ワッシャー外径25mmを購入。
グラインダーで削って24mm以内に削り込めばイケるか?
旋盤でやれば正確な円運動で削れるが素人だからそんな設備は無い。
無い頭を絞って考えたのが固定冶具。
M10×30mmボルトとM10ナットでワッシャーを二枚重ねに固定して電動ドリルで
掴んで回転させる。
そして固定台で保持した電動グラインダーも使って削りこむ。
これなら円運動しながら削るので円形に近くなるだろう。
ベアリング使用時はワッシャーを保持しない構造なので少々精度が悪くてもいいし、
純正ワッシャーでさえ隙間があったので大丈夫と予想した。
荒削りして約23.5mmに。
さらに回転砥石の目を細かくして仕上げる。
これで左右フォーク分の二枚できたよ。
仕上がりは23.34mm。
これならフォーク内に入れられる。
数日経ってIHCモノタロウから注文してたNTN製のボール型・外径24mmスラスト
ベアリングが到着。
モノタロウブランド・大阪魂の物が少し安いんだけどNTNと同じくリテーナー外径は
公開されておらずGNさんの情報を元に寸法が確定しているNTNにした。
ボールレースの外径はやはり24mm。
いや、もしかしたら・・・入るか?
試しにフォーク内に入れてみた。
やっぱり途中で引っかかってスプリングまで到達できない。
リテーナー外径は23.3mm。
これなら純正ワッシャーと同様に入るだろう。
針金で吊って入れてみた。
ちゃんと純正ワッシャーまで落としこめた!
さらに追加工した市販ワッシャーを入れてみる。
これもベアリングまで落とし込めた。
隙間の具合を見ると外径23.5mmでも良かったかな。
ついでにこの構成で厚みを測っておいた。
約7.8mmなので純正ワッシャーの厚み1.5mmを引くと6.3mm分がスプリングに
プリロード(初期荷重)される計算である。
ボール直径は4.74mmで測定誤差があるから規格3/16インチ(4.7625mm)だ。
NTNの部品構成も測った。
8.91mmだけど図面上では9mmなので測定誤差範囲内。
この構成で使うならば7.5mmのプリロードになる計算だ。
他の方々はベアリングの厚み分だけカラーパイプをカットしたり新たにパイプを用意して
長さ合わせしてるけれど、元々YBR純正は若干フニャフニャ感があるのでパイプをその
まま使う事にしたよ。
YBRのカラーパイプ長は150mm・外径21.25mmだから気になる人は厚み分を切るか
22mm径くらいのパイプ(水道エンビパイプ等)で作っておくと良いだろう。
どうにかベアリングを放り込めたのでカラーパイプを戻し、トップキャップも締め込んで
アッパーブラケットのボルトも忘れずに締めて作業完了。
早速フロントブレーキをかけながら車体を前後に揺すってみると・・・
「え?すっごく滑らかに動くよ!ぬるぬる動くぞ!!」
こうなるとベアリング付属のボールレースも追加工して本来の構成を試してみたくなった
ので、25mmワッシャ研磨時に使ったボルト・ナットに装着してみた。
ボールレースはワッシャーよりも硬度が高いから削れるのか不安だったけど、いざやって
みると意外と削れるもんだ。
23.6m程度まで荒削りしてから細目で仕上げ。
23.5mm。
これならインナーチューブ内に落とし込める。
純正ワッシャーは必要無いから針金で吊り上げて取り除いた。
内側の穴径が大きいボールレースを針金で引っ掛けてそっと落としこんでみた。
みごとにスプリングまで到達。
ボール・リテーナーも入れる。
これは実証済。
残りの穴径小ボールレースも落としこむ。
はい成功!
カラーパイプを入れてみるとベアリング+ボールレース分の厚みだけ飛び出したけど
どうせ押しこむんだから問題ない。
トップキャップをねじ込む時にベアリング効果でスルスル回る感触がする。
キャップには気密用Oリングがあるのから軽く締めるだけで十分で、最後にアッパーブラ
ケットのフォーク固定ボルトを締めて完了。
これを左右共に行った。
【試走してきた】
・路面の細かい凹凸ショックがかなり減った。
・道路表示の白線の盛り上がりがほとんど感じないくらいの効果。
・フルブレーキング時のダイブ速度が速くなったので荷重移動がしっかりできて停車
しやすい。
・ツギハギだらけの荒れた舗装路でも腕に感じるショックがすごく減った。
・カーブ途中の継ぎ目や排水溝のフタ通過時に跳ねなくなって安定するようになった。
・高速カーブでの不安定感、浮遊感が減ってフロントタイヤの吸い付きが増した。
・マンホール等の盛り上がりや凹みを通過する時に衝撃が柔らかくなってフワリと
通れる。
・コンビニへの進入時に段差ショックが明らかに減った。
・伸びの反応速度がよくなったお陰なのか切り返しやコーナリングが上手になったと
錯覚する。
・Uターンや8の字旋回がやりやすくなって旋回速度が上がった。
・ダート路面、玉砂利路面での衝撃がかなり減って悪路での直進安定性が増した。
・減速帯の凹凸がゴツゴツからフワリフワリへ変化した。
・総合的にギャップ通過のゴツゴツ感ははっきり減ったと感じ取れる。
・フロントの動きが良くなった分、リアサスの動きが感じ取りやすくなった。
・この調子で宝くじを買えば当たりそう。
スプリングがよく動くようになった証である。
しかも俺のYBRはフォークオイル油面を少し上げていて踏ん張りが増しているにもかか
わらずだ。
もしも実行するならNTN製にこだわらずモノタロウのブランド名・大阪魂のベアリングでも
使える。
実は読者さんが大阪魂品を試し買いしててボールリテーナー外径が23mmである事は
確認済なのだ。
約1,000円程度の出費でこんなに変わるとは思わなかったよ。
追加工の手間はあるけれど、乗り心地が高級車へ変わるなら苦労して加工する価値は
あるもんだ。
お試しなら下に無加工外径22mm平ワッシャー、中間にベアリング、上に純正ワッシャー
の構成で組んでみて、気に入ったら暇を見つけてボールレース研磨加工をすればいいと
思うよ。
こうなるとリアサスペンションもやってみたい気がしてきたぞ。
調べると四輪も含めてアウタースプリング式サスペンションのベアリング追加例があるん
だ。
河原のゴロタ石路面でさえベアリング効果を感じたくらいだから悪路走行も想定したGや
KGならもっと実感できると思うし、スクラブラー化したYB125SPでも有効な改造だと思うよ。
サスペンションの動きに不満がある他車種でもフォーク内径を測って一度やってみる価値
はあると感じた改造であった。
追記:YBR125MEMOさんが無加工でニードルタイプのスラストベアリングを組み
込んだようです。
http://kogin.main.jp/ybr125/frontfork-bearing.html
この方が絶対に楽だよ。
(モテモテになったり馬券に当たったりはしませんか?)
通常はバネのねじれ成分による反力も含めてバネレートが出ているわけで、ねじれ成分を逃がすことは、単に低いレートのバネに変えたのと同義だと思います。
さらに、ベアリングの機嫌しだいでストロークの途中でバネレートが可変になる可能性も含みます。同じことを達成するなら可動部品は少ないに越したことはないと思います。
(どうしてもバネは交換したくないけど、レートを落としたいという需要には応えてると思います。)
4輪用の車高調でも社外品のベアリング式のスプリングシートが売ってますけど、アレなんか泥や砂が付着し放題で、ベアリングの安定動作の点で不安だらけです。(さすがにフォークの内部でしたら期待通りに作動すると思いますが・・・)
ただ純正スプリングシートと違って初期動作の細かさが顕著に現れる感触もあるので個人的には気に入ってます。
摺動幅は油面によるエアークッション域で決定されてる感じもしました。
純正に不満がなければそのままでいいと思います。
オイル粘度や油面でも感触が変わるのでサスペンションは難しい分野と痛感しましたよ。w
とにかくフタ開けてポンと入れるだけなのがバネ交換に無いメリットかな。
リアサスのベアリング追加については構造上規格品をそのまま使えない感じだとわかり、ご指摘のとおり開放
空間ゆえに性能維持が難しいしレース向けなのかもと思ってやめました。w
代わりにスプリングの座面に注油する方法を試してみたところ変化が体感できたので、この方法で過ごそうと
思ってます。
YAMAHA G15(SAE 5W) 163(165)cc
液面 142mm
で、ベアリングは大阪魂のをレース部分を23.5mm位まで削って使いました。
試乗したら、何がどうとは言えないけど、かなりよくなって、にやけてくるほど(笑)。贅沢をいえばもう少し固いほうが良いかなくらい。次回は油面を少しあげてみようと思います。
記録をとっておいて満足する油面が見つかったら次回の交換時にはそれで行けばよいで
しょう。
私もさらに微調整してやっと満足できる油面を見つける事ができましたよ。
2.5cc減らして約5mm下げましたが、たったこれだけでも細かい印象が変わるのに
驚きました。
今回色々やってみて、数年前までは固めが好みだったのに今は柔らかめでかつ、最後は
踏ん張りが効くような好みに変わってしまいました。
油面でエアーダンパー域を調整してる感じです。
伸縮速度はオイルの硬さで微調整なんでしょうが、一時期ブレンドに手を出して泥沼に
ハマりそうになったから今後はG10で統一します。
余ったG15はフラッシング用に使います。
あまりに奥が深いフォークチューニングなので、これ以上深みにハマらないように
これからは140mm+ベアリングで過ごす事にしました。
votre article sur les roulements de fourche m'a bien aidé et vos appréciations sur le comportement sont bien claires.
merci
Continuez votre bonne vie de moto.