YB&YBRダイアリー

中国ヤマハのYB125SPとYBR125でバイクライフを満喫するブログ
(自己責任を伴う整備・改造を多く含んでいます)

ハイカムにしてみた

2016年07月23日 | YBR125改造

前回の「ハイカム化作業の問題点」で色々出て来た問題点だが、
考えてばかりじゃ進まないので、手を動かしながら解決する事にし
たよ。
今回使うハイカム。

「天剑125高角度凸轮轴」でタオバオ検索して見つけた物だ。
他にこの種類も見かけた。

カムプロファイル(形状)を見ると、いかにも「ハイカム!!」
な感じなんだけど、どうも写真はCBF125用の取付構造になってる
ので、この出品は信用しない事にしたのだ。w

さて、クドクドと説明をしてもわかりにくいはずだから、写真
を追って簡単に工程を書いてみる。
もしも手元にYBR125の英文サービスマニュアルが無ければ、予習
も兼ねて「YBR125ED-3D9-E0.pdf」をDLして置くとなお良い。
古い2005年モデル用だけれど、エンジン関係はほぼ同じなので、
十分参考になる。

色々悩んでたけれど、結局「BBR社方式」をやって見ることに
した。
とにかくタイミングホールのフタを外して、圧縮上死点の直前に
ある「点火時期範囲」の印内にセットする。

この場所でもカムプロファイルの「ベースサークル」なので、
作業上は問題ない。
サービスマニュアルの通りにカムスプロケットを外し、ベアリ
ングストッパーを外して純正カムシャフトを抜く。

M8の長いボルトと適度に大きなワッシャー数枚、ナットと
「塩ビ継手 異径ソケット」(TS継手異径ソケット TS-30×25)
でカムを抜いた。
意外とすんなり抜けたから、ここはボルトを力強く引っ張るか、
スライディングハンマー式でいけるだろう。

こんなカムシャフト抜きを作っても良い。

鉄の5㎜厚フラットバーを切って8mmの穴を開けてボルト・ナッ
ト・ワッシャーを入れただけの物。
ボルトをカムシャフトにネジ込み、ボルトが回らないようにレンチ
で固定してながらナットを締めこむと抜けて来る。
TSソケットと比べて抜け具合が見えるから、この治具の方が
安心だと思うよ。

追記:後に自作ベアリングプーラーでハイカム付属の奥側ベアリ
ングを抜き、シャフトを手削りする事で以下の作業を省略し、
そのまま純正カムシャフトと入れ替える事が可能なのが分かった
リンク 自作ベアリングプーラー

BBR方式なので「適当な工具」が見つけたよ。

普通の形のタイヤレバーがピッタリだった。
うまく引っ掛けてテコの要領でロッカーアームごとバルブを押す。
「点火時期範囲」だからピストンは完全には上がりきっていない
ので、バルブが突き出してもピストンに衝突しないのだ。w
丈夫なヒモでタイヤレバーを固定する。

エンジン下部からメインスタンドの足に結んで固定した。
これで排気側ロッカーアームのパドルはベアリング外周より外れる。

この瞬間、9割は成功したようなもんだ。
早速、購入した中華・筒型・ベアリングプーラーを使ってみた。

付属のワッシャーの剛性が少し足りないので、新たに厚いワッシャー
を追加して作業したよ。
プーラーの組み合わせ構成はこんな感じ。

追加のワッシャーは建築資材の丸座金で、スーパービバホーム
で見かけたのだ。(数十円)
これによって剛性が上がり、「バキッ」と音を立てながらベアリング
は徐々に抜けてきた。

☆https://ワールド.タオバオ.com/item/40634557763.htm
(カタカナを英字小文字に変えてください)
の店でフライホイールプーラーと共に買ったが、軸先のテーパーが
緩くて広げやすく、ワッシャーの厚みも少し増しているであろう
https://ワールド.タオバオ.com/item/24311096324.htm
の方が良いかもしれない。
ただし、写真と現物が一致するとは限らない中国の商習慣なので鵜呑み
にしないで判断してくだされ。
また、「摩托车轴承拆卸器」(モーターサイクルベアリング抜き器?)
で検索すると他の店も見つかる。

「排気側パドル」を通り越して第一段階終了。

今度は「吸気側パドル」が邪魔をするのだ。
吸気側は手持ちの「自作コインドライバー」を利用してみた。

焼き入れ鋼材なので曲がる事無く、バルブを押せたよ。
ベアリングは自由な状態だから、一時的に手で押さえて無事に
抜くことができた。
純正カムシャフトとハイカムを並べて見たよ。

抜けたベアリングは簡単にはめる事ができたので、比較しやすい。
カムハイト(バルブを押す距離)を比較してみる。

極わずかだけどハイカムの方が高い。
実測は吸排気ともに純正よりも0.5~0.6mm高い、長さ26.50mm
だった。オーバラップなどバルブタイミングは素人なので謎のままだ。

さて、ハイカムを組み込む。
組む前にエンジンオイルをカム摺動面などに塗っておく事。

適当なM8ボルトをねじ込んでから、先ほどと逆順でバルブを避け
ながら入れる。
切り欠きの凹みが上死点と反対側になるので、下方へ向けてセット。
ハンマーで叩きながら少しずつベアリングを挿入した。
本当はベアリングの外輪を押す工夫をしたり、打撃挿入せずに
大きなシャコ万(Cレンチ)でヘッドをつかみながら徐々に圧入
したいんだけど、構造と工程上、こうするしかなかった・・・

ベアリングストッパーを仮組する。

ここで少し回して「動きは渋くないか?」を確認したところ、
なんだか少し渋いのだ。

軽く2回ほど追い打ちをしてみた。

これで動きの渋さは無くなって、スルスル回転するようになった。
ベアリングストッパーのボルトを本締めする。

バルブクリアランスを調整する。

凹みを下に、ヘッドの凸部と1直線になるようにして置く。

調整後、トルクレンチ8Nm(ニュートン・メートル)セットで
本締めと再確認。 吸・排気、両方行う。

カムスプロケットとカムチェーンを仮組する。
「カムチェーンテンショナー」を組んでからタイミングホールで
「圧縮上死点」のIマークの位置にて、カムスプロケットのIマーク
がヘッドの凸部と一致するか、何回も確認する。

ここが一致しない時は、またカムチェーンテンショナーを外して
チェーンを架け替えて調整するしかない。
非常に面倒な作業だが、ここで大きくずれると最悪時はエンジンを
一発で壊す事になる。
まあ、1歯ずれても壊れないけどね・・・涙

完全に一致したらカムスプロケットボルトを本締め。

マグネットローターを固定しながら、トルクレンチ20Nmで締める。
もう一度バルブタイミングやバルブクリアランスを確認し、ゆっくり
回転させて異音や変な衝突が起きていないか最終確認した。

「大丈夫だ、問題ない」

あとは色々な箇所のフタを元通りに組み込んで完了。
写真撮影や測定も含めて、ここまでで約2時間の作業だった。

これらの作業に必要なのは、
・基本工具類
・トルクレンチ(8Nm、20Nmに設定できる範囲を持つ物。安物でOK)
・ベアリングプーラー(ベアリング6002の内径15mmで抜ける物)
・サービスマニュアル(英文だけど簡単)
・ある程度のエンジン分解・整備の経験(バルブクリアランス調整程度)
・転んでも泣かない心
って感じで、初めて行うにしても、各工具の正しい使い方を
会得していないと、思わぬミスでエンジンを壊す事になる。
特にトルクレンチはセットの仕方と手つきに間違いがあると、
規定トルクで締められないし、最悪時はオーバートルクで壊すかも。
壊して覚えるか、壊さずに覚えて慣れるかは個人差があるので、こうだ!!
とは言い切れないけど、予習と練習は必要だよ。(^ω^;)

次回は試走した感想ですよ。



2 コメント

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ハイカムについて (モンキー)
2017-09-01 20:34:36
いきなり失礼します。
いま雷太さんのブログを見ながらハイカムを組んでいるのですがハイカムをいれる時に吸気側のパドルが邪魔してカムがはいらないのですがなぜでしょうか?
返信する
逆手順です (雷太)
2017-09-01 23:45:56
頑張ってますね!
無事に純正カムが抜けたという事は手順に間違いは無いと思います。
逆順なので、今度は先に吸気側のロッカーアームを押し下げてパドルを上げておきます。
この時に上げ距離が足りないようでしたらタペットクリアランスアジャスターをいったん
外してみてくさい。ただし、この状態にうまく合う適当な棒や板状の物があるかどうかも
重要でしょう。
カムの奥側ベアリングをパドルにくぐらせるように入れてから、今度は排気側のロッカー
アームを押してあげる要領です。
出来ることなら吸排気両方を同時にパドルを上げる作業であれば楽でしょうが、この場合は
2本押し下げ道具が必要ですね。
カム角度の切り欠きは下向きを保持するとパドルがベースサークル内に収まってパドルと
カムフェイスの離隔距離を稼げます。
現物が目の前に無いのでうまく通じるか不安ですが、当記事を参考に何人も方が成功され
てるので、ちょっとした見えにくい場所が障害になっているんでしょう。
ロッカーアームを押し下げる臨時の道具もアレコレ変えてみてください。
最悪、急ごしらえの専用工具を考えて作ってみるのも手です。
BBR方式はこの手頃な道具が手元に有るか否かが別れ道なのです。

成功をお祈りします。
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