黒磯カヌークラブ

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BE-PAL チョッと見直したぞ

2006-08-01 23:43:25 | アウトドアー
 本当に久しぶりに雑誌「BE-PAL」を買った。創刊25年記念特別号だった。この種の雑誌としては、国内では草分け的な存在だろう。知人が載っているので付き合いで、それも数週間前に買ったが掲載号が間違っていたため、ほっぽり投げておいた。

 ご推察どおり、ぼくはこの雑誌があまり好きでない。アウトドア業界のいわゆる「カタログ雑誌」であり、軽薄さを売りにすらしている。海や川、山での事故が減らないのは、この雑誌に多大な責任があるのではないかとすら思っている。楽しさばかり強調し、その裏に潜む危険を伝えようとしないのは、カタログ雑誌の宿命でもある。スポンサー様には勝てないのだ。

 それはともかく。何年か前にあのノダ・トモスケが書いていた記事を思い出す。彼はヘルメットにライフジャケットを着込んだパドラーを嘲笑するかのようなことを書いていた。記憶が正しければ「たまにはTシャツ1枚で漕いでみろ」みたいな。

 ノダトモが数十年前に書いたルポ「日本の川を旅する」は名著だと思っていただけに、あの記事にはあきれた。老い先短いオッサンが勝手に死ぬのは自由だが、ご自分の影響力を少しは考えてもらいたいものだ。最近、この人の書く原稿は投げやりであるか、説教臭くて困る。かつての文体からはふつふつたる静かな怒りが伝わってきたものだが、どうしたものだろう。

 そんなこともあり、ノダトモを必要以上に持ち上げるこの雑誌を、なるべく敬遠していた。

 しかし連載企画「風景の皿」で、ダム湖に沈み行く岐阜県・旧徳山村を取り上げたルポは珠玉の出来栄えだ。20年前に村を出た少女アユミが大人になり、来春には湖底に沈むかつての自分住居跡でキャンプする。無人の村は山菜の宝庫。故郷の山菜の味を記憶にとどめようとするアユミの行動を、乾いた文体で淡々と追った。実は山菜の料理をする過程を追っているのが、いつしか少女が村を出て大人になった過程を紡ぎだしていた。筆者の蜂須賀公之氏がどれだけ意図していたかは知らないが、料理の記事でも見事なルポになるものだと、あらためて証明したことになる。

 昨秋、この徳山ダムを見てきた。国内最大のロックフィルダムは、間もなく試験湛水が始まる。あの学校のあとも、あの炭焼き小屋も湖底に沈むのだ。

 パドラーの雑誌や会話でよく「上流にダムがあるから水量が安定している」と言う言葉を見たり聞いたりする。そのたびに強い違和感を覚える。

 ある釣り雑誌では「ダム放流水が冷たいおかげでマス類の生息範囲が広がった」と発言したライターが、釣りライター仲間から総スカンを食らったことがあると聞いた。釣り人の間では、ダム建設に反対している人が多いためだ。

 ここでダム建設の是非を書き連ねる野暮はしないが、少なくとも多大な犠牲の下に「安定した水量」があることを認識してもらえたらと思う。

 BE-PAL、チョッと見直したぞ。   muna

 


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