お絵描き日記~イラストレーター照井正邦

職人、照井正邦の似顔絵、意匠など。画力の向上を目的に練習しています。

似顔絵とAI、下手と絵心(似顔絵雑記)

2018-08-11 04:51:10 | 雑記
似顔絵は「顔パーツを記号化して配置を整える」ことをすれば、ほぼ誰にでも描けます。

けれどそれは似顔絵アプリや人工知能のロボットでも出来ることだと思います。

仕事なら別ですが、似顔絵は人間にしか描けないことを考えなければならない。

そうでないと「似顔絵のAIロボットが描いた原画を、人間がトレースする内職」をする悲しい未来が見えます。

また、描く行程もそうです。
似顔絵が描けるようになるプロセスを分かりやすくしていくと、PDCAのようなビジネスフレームワークになってしまう。
私も似顔絵指導者として、そのジレンマと闘っています。

結論としては、「似顔絵が描けるようになる」「似ている絵が描けるようになる」以前に、
子供の頃のように、(親の)人間の顔を描けていた感覚を取り戻すことが大事だと思っています。

「下手、絵心がない」と思う方もいらしゃると思いますが、
何をもって下手と言うのでしょうか。
何をもって絵心がないと思うのでしょうか。

はっきり言うと、「上手い絵」というのは、その絵よりも上手い人が見ると、それほど下品なものはありません。
「絵心」も、「似顔絵の絵心」という話になると、「過去の有名な誰かの似顔絵に似せて描くことができない」だけなような気がします。

これは自戒も込めていますが、自分にしか描けない絵を描けるようになることが重要で、「いっけん上手げ」「絵心ありげ」に描くことが、似顔絵ではないと思うのです。
そういうことが必要なのは、プロだけです。

誤解してほしくないのは、「下手なままでいい、努力する必要はない」と言っているのではありません。

もし、「下手、絵心がない」と思っている人がいるなら、西洋美術史をさらっと覚えることをお奨めします。
おそらく、その「下手、絵心」という概念でみたら、「下手」で「絵心」のない、全く評価できない作品のオンパレードではないでしょうか。
そしてその「上手い」というのが、長い歴史から見て、極一部の時代の一つの主義でしかないと感じられるかもしれません。

無理に下手に描く必要は全くないですが、(私もそうですが)自分にしか描けない線、面を見つけていくことが、似顔絵を描く以前に大事だと、今は感じています。

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