お絵描き日記~イラストレーター照井正邦

職人、照井正邦の似顔絵、意匠など。画力の向上を目的に練習しています。

クロッキーで空間を見る練習の練習(似顔絵の習作)

2018-08-15 13:17:37 | 習作
アマチュアの似顔絵描きに向けて書きます。

中学生に、「線を追うんだよ」ということだけを教えてクロッキーを描かせると意外と描けてしまう。
骨格の把握や、正中線をひかなくても、クロッキーは子供でもできてしまう。

だからと言って大人に、「子供のように骨格を(あまり)把握しないで、正中線をひかないで描こう」
と言われても、そのように描くのは難しいという人もいると思います。
また、ネットで広まっている「人体の描き方」などで、骨格把握から人体を描く方法を学んでしまった人は、それを忘れて描くのは至難の技かもしれません。

そういう場合には、人物ではなく、人物が生み出す「空間」のほうに注目してみたらいいのではないかと思い、写真のモデルをみて、空間を塗ってみました。









ところで、「何で、わざわざ骨格把握を放棄するようにしなければいけないのか」というと、それは『似顔絵』の話だからです。
似顔絵で、骨格を把握して誇張する道を選ぶ場合、骨格の奇形に見えないように描く必要があります。
それは、プロでも相当難易度の高い問題です。

けれど、骨格に依存しすぎない表現を身につければ、誇張も骨格の奇形には見えません。
その対策として、漫画的に描く、抽象的に描く、記号的に描くなどがありますが、その中の一つの表現として、「空間」に重きを置いて描くという方法があります。

形を正確にとらなくてもいい、下手でもよいという気持ちで、「空間」をテーマにクロッキー会に参加して実験してみたいと思います。

また、逆に「空間」ではなく、「人物・像・モノ」だけをとらえようとすることにも挑んでみたいと思います。

【注意】誤解してほしくないのは、「骨格を覚えなくてもいい、空間さえ見れればいい」というのは素人への話であり、似顔絵のプロは全く別です。
私も(似顔絵の)仕事の場合には、正中線をひくこともありますし、骨格を考慮することも多々あります。

【追記】人物の全身を描くには、芯が大事かもしれません。骨格が描けていなくても、子供の人物画でも、棒人間にも芯はあります。

「線をひくとは?」(似顔絵教室)

2018-08-15 08:51:28 | 似顔絵教室談
似顔絵教室で教えたいこと、伝えたいことは何なのかを、頭以外に手で自分が実際に描くことを通じて、ずっと考えてきました。

「線をひくとは、空間とモノ(人物)との間をくぎること」
結論として、これが私の伝えたいことです。

それを次回の似顔絵教室で私の描いた絵入りのテキストで、分かりやすく伝えたいと思います。


※以下は、詳しい説明です。

似顔絵に限らず、絵を描くということは、その「モノ」をよく見て描くということなのですが、「モノ」を見ているだけでは十分ではありません。
「モノ」をおおっている、あるいは「モノ」と「モノ」とにはさまれている「虚構空間」を見る必要があります。
「虚構空間」は「モノ」を通じて見ることができます。
「モノ」があることによって「空間」は発生すると考える人もいると思いますが、私の個人的な考えとしては、「空間」が存在することによって、「モノ」が見えるのだと思っています。

(私を含めて)多くの似顔絵を描く人たちが「モノ」=顔を描くことに必死になって、立体物や像を追うがゆえに、この「虚構空間」も見ることを忘れてしまっているように感じます。

「虚構空間とモノ」を言語化すると、もの凄く難しく感じるかと思いますが、それをもの凄く簡単に分かるように、私の描いたクロッキーの参考作品で表現したいと考えています。

「何で似顔絵なのにクロッキーなんだ?」と思われるかもしれませんが、似顔絵は、似顔絵である以前に、絵でなければならないと考えているからです。

受講生にはクロッキーは描かせませんが、「線をひくとは?」「空間とモノ」それを初心者でも理解できるようにまとめて、次回の似顔絵教室では、通常の課題のほかに、どうしても伝えなければならないと考えています。
仮に今は伝わらなくても、必要ないと思われても、絵を描くことに行き詰まったときに、活かせるようなテキストになるようにします。