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京都からの話題003 伝統建築工匠の技 京都市関係

2021年01月24日 18時34分10秒 | ニュースいろいろ

伝統建築工匠の技のホームページより

 

3檜皮葺・(ひわだぶき・こけらぶき)

選定年月日:昭和51年5月4日

保存団体名:(公社)全国社寺等屋根工事技術保存会

概要:
檜皮葺(ひわだぶき) 及び柿葺(こけらぶき) の技術は,建造物の屋根葺(ぶき) 技術として我が国特有のも のである。

この技術の発祥は詳(つまび) らかでないが,檜皮葺は8世紀の中ごろ に既に用いられており,

柿葺は古く発生した板葺(いたぶき) を源流とし,中世の末にはその技法が定着し大成したとみられている。

現在,多数の檜皮葺・柿葺の建造物が,重要文化財として保護されており,

これらの建造物を保存するためには檜皮葺・柿葺の技術は欠くことのできないものである。

一般の建築ではほとんど用いられなくなりつつあり,伝承が困難となっていたが,

保存会の取組により技術者の数が回復しつつある。

 

 

 

4.茅葺(かやぶき

選定年月日:昭和55年4月21日

保存団体名:(公社)全国社寺等屋根工事技術保存会

概要:
茅葺(かやぶき) は,我が国では草葺(くさぶき) の一種として古くから建造物の種類と地域を 問わず広範囲に使用され,

農・山村の民家では,今なお若干ながらそれを みることができる。

しかし,一般には茅場制度の消滅と原野の開発によっ て良質の茅が得られなくなり,

「茅手(かやて) 」と呼ばれた葺師(ふきし) も年とともに減少し,

現在では兼業としてわずかにその技術を伝えているにすぎず,それも老齢化して,

一般の需要がない今日では,専業として成り立たないことから後継者を育成することも困難となっている。


茅葺は,古代に行われたと考えられる「元(もと) 吊づり」の工法から次第に改良されて

近世には既に現在みられる工法になっていたと思われるが,なお地域的には幾つかの技法の差がみられ,

それが茅葺の地方色として伝統的に残されている。


現在重要文化財として保存されている茅葺の建造物を維持し,

後世に伝えるためには茅葺の技術は欠くことができない重要な技術である。

 

 

5.檜皮採取(ひわださいしゅ)

選定年月日:平成30年9月25日

保存団体名:(公社)全国社寺等屋根工事技術保存会

概要:
檜皮(ひわだ) 採取(さいしゅ)とは,屋根葺の一種で社寺に多く見られる檜皮葺に用いるため,

80から100年生以上の檜の立木(たちき)から,樹皮である檜皮を剥ぎ取る技術である。

立木の檜は10年ほどで樹皮が形成され,再び採取が可能と なるが,

そのために樹皮下の形成層を傷つけない技術が必要である。

檜の立木の下部からヘラを入れ,上方(じょうほう) にめくり上げ,

麻(あさ)縄なわを巧みに使って足掛かりとして,高い木では20メートル以上まで登り剥いでいく。


檜皮の採取は樹皮の形成期間である4月から7月までは剥ぐことができず,労働期間が限定される。

単独で山中深く入り,高い木に登る等,危険を伴い,採取した檜皮を担いで山裾まで下ろす等,重労働も要求される。


現在重要文化財として保存されている檜皮葺の建造物を維持し,

後世に伝えるためには檜皮採取の技術は欠くことができない重要な技術である。

 

6.屋根板製作(やねいたせいさく)

選定年月日:平成30年9月25日

保存団体名:(公社)全国社寺等屋根工事技術保存会

概要:
屋根板(やねいた) 製作(せいさく) とは,屋根葺の一種で柿葺(こけらぶき) ,

栩葺(とちぶき) ,瓦葺(かわらぶき) 下地(したじ) の土居葺(どいぶき) に用いるため, 

椹(さわら) や杉(すぎ) 等の木材を手作業で割り,形状を整えて屋根葺に適し た板を製作する技術である。

屋根面に葺く平葺板(ひらぶきいた) ,軒先に使用する軒付板(のきづけいた) や上目板(うわめいた) ,

曲面部に使用する隅板(すみいた) 等,用途に応じた仕様があり,板の厚さ や長さも多様である。

原木(げんぼく) の良否を見極め,良質の板を,手際良く大量に製作することが重要で,熟練が求められる。


板葺屋根の耐用年限は20年から30年程度であり,

重要文化財となっている多くの建造物の保存継承のためには,

屋根板製作の技術は欠くことのできない重要な技術である。

 

8.建造物装飾(けんぞうぶつそうしょく)

選定年月日:平成19年9月6日

保存団体名:(一社)社寺建造物美術保存技術協会

概要:
文化財建造物を装飾する技術には,漆塗(うるしぬり) ,彩色(さいしき) ,錺(かざり) 金具製作,

鋳物(いもの)製作,鍛冶技術などがある。特に仏教伝来とともに様々な技術が伝わって,

古代仏堂が華麗に彩られ,やがて寺院以外の建造物にも盛んに用いられるようになった。


これらの技術は,建造物を装うという意匠性だけでなく,

部材表面の風化抑制などの機能性も担っている。建造物の修理においては,

その両者を考慮して適切な技法を吟味して施工する必要があり,そのためには豊富な知見と熟練が求められる。


また建造物の保存修理を適切な周期で行うためには,これらの技術の円滑な継承が不可欠である。

 

 

14.畳製作(たたみせいさく

選定年月日:平成16年9月2日

保存団体名:文化財畳保存会

概要:
畳は,貴族邸宅である寝殿造(しんでんづくり) 建築での座具や寝具,寝台の上敷(うわしき) として使用され,

後に,室内周囲に「追い回し」に敷かれたり,室内全体に敷き 詰められるようになった。

やがて室町時代ころには書院造(しょいんづくり) 建築の発展とともに畳を敷き詰める習慣が広まり,

近世以降,一般住宅にも徐々に浸透した。

畳は,稲藁(いなわら) を交互に積み重ねて麻糸で縫い締めた畳床(たたみどこ) に,

い草を編んだ畳表(たたみおもて) を張り,両側に畳縁(たたみべり) を縫い付けて仕上げる。

畳製作技術は,多様な規模や形状の部屋を正確に採寸して,規格外の畳を加工し,

特殊な紋縁(もんべり) を畳相互の紋合わせに注意して縫い付け,敷き込む技術で,

その一連の工程には高度な熟練を要する。

伝統的な畳製作技術を有する技能者の確保が不可欠となっている。

 

 

15.装潢修理技術(そうこうしゅうりぎじゅつ)

選定年月日:平成7年5月31日

保存団体名:(一社)国宝修理装潢師連盟

概要:
我が国では絵画,書跡,古文書などの文化財が,千数百年から数百年の永い年月を経て,

今日に伝わっている。特に我が国特有の高温多湿の気象条件の下では,

湿気,カビによる腐食や虫害による損傷が起こりやすく,必ずしも恵まれた環境とはいえない。

こうした中で,多くの文化財が今日に伝えられたのは,

優れた伝統的な保存修理技術:装潢 そうこう の技によるところが大きい。


我が国伝来の書画類は四季の温湿度変化の影響を受けやすい紙や絹を主材料とするものが多いため,

原状のままに伝来するものは稀で,いずれも本紙を紙,糊(のり) によって補強した巻子(かんす) ,

掛幅(かけふく) ,屏風(びょうぶ) ,折帖(おりちょう) などの様々な表具の形態に仕立てられて伝わっている。

これら文化財は紙,糊による裏打によってのみ本体の保存が図られているといっても過言ではなく,

こうした脆弱(ぜいじゃく) な文化財を後世に維持,保存していくためには,50年から100年を周期として,

本紙を支える裏打紙の打替(うちか) えが必要となっている。

これらの修理は,表具の解体,解装(かいそう) から旧裏打紙の除去,繕い,裏打替から表具仕立てへの工程を要する。

この修理に当たっては,伝統的な技術に裏付けられた卓越した装潢(そうこう) の技が必要不可欠となっている。

 

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